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娘役オタクによるOSK初観劇感想ーOSK日本歌劇団公演「Precious Stones(主演京我りく)」

当記事は、宝塚で娘役オタクをしている人間によるOSK初観劇感想と、OSK初心者が沼落ちするまでの記録です。
また、記事には宝塚の愚痴や批判が含まれます。

ストリップ劇場を回る夏旅を計画していたのだが、ストリップファンのくせに、頭・中・結が1日始まりなのを勘違いして、1日スケジュールに余裕ができてしまった。そこで、前から行きたかったOSK日本歌劇団の公演を観に行くことにしました。DX東寺劇場は次の機会に!!
でも、この偶然の出会いが後に私の娘役オタク人生を180度変えることになる。結論から言おう、観劇後すぐにスケジュールを確認し、比較的自宅から近い場所で公演があるとわかりチケットを押さえた。しかも2枚。

OSKは、娘役オタクの理想郷である。


公演概要

今回観劇したのは、大阪にあるOSK専用劇場(規模的にはライブハウス)のOSKレビューカフェ In ブルックリンパーラーで上演されていた「Precious Stones」。公演名で検索すると、同タイトルの公演がたくさん出てくるので、内容と主演を変えて行うレビューショーシリーズなのかもしれない。

ブルックリンパーラーでは、毎週複数の公演が行われライブ配信もされている。ブルックリンパーラー公演は、当日でもチケットが取れそうな雰囲気なので、気軽に観に行けるのがポイント。ストリップと同じ感覚で行けるね!

料金は、私が見た公演だと、S席が6000円、VIP席が6500円(VIP席と同じ席種でU-25席5000円もある)。当日は500円増し。
S席は前方エリアだが、床に椅子を並べただけの席なので、混み具合によっては見切れが発生すると思う。VIP席はステージ後方になるが、段になっているので見切れが少なく全体が見やすい。私が見た回は、観客が10人いるかわからない様子だったので、最前列が簡単に手に入りそうだった。

しかし、公演時間は50分なのでかなり高い。2時間の舞台と変わらない値段である。同じ1時間で同価格帯のバーレスクのようにキャストと話すこともできない。それでも、最高に楽しい一時間だった。

レビューとバブリーと娘役トークと

公演は3部構成になっていて、なんと2部の構成・振付は元宝塚歌劇団宙組の風馬翔さんだった。最近は演出や振付でお名前を見ることが多い気がする。

1部はショーの幕開きにふさわしい、これぞレビューといった華やかなナンバーが続く。ステージは小さめで舞台セットもないが、大きなスクリーンがあるので、小屋っぽさは薄い。何より、観客を惹きつけるパフォーマンスと構成でめちゃくちゃ楽しい。

さて、問題は2部である。そもそも今回私が見に行こうと思ったのも、2部の撮影タイムの動画を見たからである。けたたましいカラフルなスクリーン、ド派手なスーツとサングラス。手にはジュリ扇で踊り狂うスターたち。

そう、2部のテーマはバブルである。
このインパクトで興味を持ち今に至る。だって、オタクはバブリー好きじゃん。ヨシマサのバブルコーナー大好きだし。扇持ってデカいサングラスした娘役はかわいいでしょ!!
でも、2部はこんなもんじゃなかった。OSKのバブルをなめてた。

まず、2部は寸劇構成になっており、バブル時代に主演の京我りくさんがBAR京我を営んでいるという設定。そこに他の出演者演じる常連客が訪れて酒を飲みカラオケを楽しむという流れで、楽曲が披露される。
曲もバブリーだし、逐一会話にバブリーなネタが仕込まれている。この人たち寸劇に本気だ。本気でバブルをやっている(私はバブル時代を生きてはいないが)。

あと、寸劇がイタくない!!!宝塚の寸劇コーナーといえば、演出家の寒いネタと時代遅れの価値観に耐えつつ、ジェンヌのコメディ芝居は珍しいから…となんとかヤバさから目を逸らす時間である。少なくとも私にとっては。
イタいの基準は人によるとは思うが、私はこの公演では見ていて不安になる要素はなかった。過剰に男役を持ち上げたり、無理に男役と娘役を恋愛に繋げようとしたりしないところも快適だった。
酔っぱらって暴れだす娘役芝居があるだけでも、見る価値がある。

2部で印象的だったのは、ひより芽依さん。京我さんと共にバーで働く店員ひよりチャンで、好みの丸顔キュート系娘役さんでした。歌に合わせてタンバリンを鳴らす曲があり、その時の真剣な表情とタンバリン職人的な雰囲気がかわいかった!
バブリータイムのひよりちゃんがかわいくて、それ以降はひよりちゃんばかり見てました。好きになる娘役のタイプがわかりやすい。

2部の最後には撮影タイムがあり、この様子はSNSで調べたら出てくると思う。改めて、バブリーを撮影タイムに持ってきたのは英断だと思った。オタクの需要がバレている。

3部の前にトークコーナーがあり、主演の京我さん以外の娘役全員が登場。バブリータイムのキャラと素が半々くらいのテンションで、お題はひよりちゃんから唯菜ほのりさんへ「どうしたらダンスが上手くなりますか?」と、寸劇で登場したマブダチコンビの話(どなたか失念してすみません)。
娘役だけのトークコーナーがあることに驚いた。そして、男役の話をしないことも、宝塚だけを見ていた人間として新鮮だった。公演数が多いので、男役の話をしていた回もあったかもしれないが。宝塚のトークコーナーは、必ず男役を持ち上げなきゃいけない雰囲気があるんだよな。

3部は現代的な曲も含めた王道寄りのレビューショー。3部冒頭の娘役だけのナンバーの曲名が知りたい。みんなかっこよかった。

OSKの娘役さんは、表情がキラキラしててダンスがかっこいい。全体的に男役を立てようという雰囲気がなくて、場面ごとに主役を盛り上げようという感じがして爽やかだった。男役と娘役が対等に舞台に立つとはこういうことなのだと思う。

物販コーナーには、娘役の写真がたくさんあって感動した。これは破産する。しかも娘役のアクスタ売ってた。羨ましい!!!!!宝塚はいつになったら娘役グッズを増やすんだ!!!!

OSKを見ていて、改めて私は娘役が好きで歌劇を見ているのであって、トップコンビにはそこまで興味がないのだと思った。トップコンビならではのコンビネーションとか、二人で切磋琢磨していく様子は美しく思うが、自分の中では優先順位が低いのだと思う。だから、娘役の活躍が確実にあるOSKのほうが私には合ってるのかもしれない。
初めてのOSK、とても楽しかったです。


観劇後、OSKオタクへの道

チケットを取ったのは冒頭に書いた。そして、次にすることといえば、OSKのお勉強である。
OSKは、YouTubeやニコニコ動画に無料で見られる動画がたくさんあるので、まずはそこから見ていきました。

朝ドラ「ブギウギ」ブームで、私も顔と名前が一致している翼和希さん。華やかなレビューだなと思っていたら、途中大阪ノリになるのが面白い。


クンバンチェロだ~!!!どうしても最初は宝塚との比較になってしまうんだが、宝塚で例えるなら雰囲気が2000年代のトップさんっぽい。現在の宝塚の男役トップスターとは、カラーが違う気がする。


そして、順調にOSKに落ちていく私に徹底的な一撃が放たれたのである。

桐生麻耶さま。

とにかく見て。

面長、長身、低音ウィスパーボイスの男役に弱いんだよ!!こっちは!!
しかも、芸歴が私の年齢よりも上なんですが…お姉さま、好きです。こちとら重度の年上好きなので……最近は宝塚でも少なくなってきた私が生まれる前から舞台に立ってるお姉さまにこんなところで出会うとは。


OSKがボカロの名曲「カンタレラ」を舞台化してたんだ。このカンタレラ最高じゃん!!私はこのシリーズなら「サンドリヨン」が大好きです。ニコ動オタクだった頃の血が騒ぐ~!!


桐生さん主演のレビュー「Viva La Vida!!」見ました。最高~!!!!
作・演出・振付は、宝塚でもお馴染みの三井聡先生。
主題歌がかっこいい!!バーの場面で、桐生さんと城月れいさんが組んで踊るところがお気に入り。
城月れいさんのダンスもスカート捌きもかっこよくて、卒業されてるかもな…と恐る恐る調べたら在団されてる~~!!!しかも桐生さんとよく組んでいらっしゃる!?!?
ただ、音楽差し替え時にテロップが出ないので、いつ差し替えられてるか若干疑心暗鬼になる。テロップ出してくれ。

この公演のポスターにも載ってる城月さんのスチール写真かっこよすぎでは??ショートヘア似合いすぎだし、スチール写真でこんなにテンション上がることある??


とりあえず9月になったらニコニコの有料チャンネルに入ります。オギーの作品を見たい。OSKは今もオギーに作品作ってもらえていいな…オギーの作る世界に存在する贔屓を見れるなんて羨ましい。「ロマンチカ宝塚’04ードルチェ・ヴィータ!ー」は永遠の美しさ。

大阪の「Road to 2025!!」と栃木の「Maximum」行きたいよ……


憎みながらすみれの花園を愛している

ここからは、全て宝塚の愚痴です。

私は記事タイトルにもあるように、娘役オタクである。男役さんも勿論好きだけど、宝塚での娘役の扱い、出番の少なさから、素直に男役のパフォーマンスを楽しめていなかったと思う。OSKを見て、初めて心の底から男役のパフォーマンスを楽しめるようになった。大好きな娘役の出番が保証されているからこそ、男役も愛せるのだ。

男役が芝居で女役を演じることで娘役の役が減る、ショーで女装することで娘役の出番が減る。私にはそう映っていた。目の前の男役を恨んだって娘役の活躍が増えるわけじゃないのに、本当に変わるべきなのは運営なのに。

男役を恨んでも、
舞台で娘役の出番は増えない。
娘役のフォトブックも定着しない。
アクスタも出ない。
写真が大きくなることもない。
サヨナラショーに名前が残るわけじゃない。
ファンの誹謗中傷も減らない。

世界で一番好きな女の子が、たかがミュサロのセトリごときで、おかしなクレームをつけられ暴言を吐かれていたことを私は忘れない。娘役を自分の贔屓の嫁扱いして、何を言ってもいいと思ってる奴らがが憎い。トップコンビはお前の子供のお見合いじゃない。

私は敬愛する中山可穂の小説『娘役』で、そんな男役ファンが作品に登場しただけで泣いた。ようやく宝塚ファンの真実が描かれたと思ったから。


誰のせいでこの世界が維持されているかわかっているのに、目の前の男役を恨んで心から好きになれない時があった。だって、宝塚の全てが男役を中心に回っているから。
なぜ現実の男尊女卑を、表面上は女性だけの世界で再生産しなければいけないのか。こんな惨いことがあるか。
OSKを見るうちに、女性だけで男役・娘役として夢の世界を作るには仕方のないことだと諦めていたことを、諦めなくていいのだと知った。夢の世界を作るのに必要なことは、娘役を冷遇することじゃない。男役と娘役が対等にスポットライトを浴びたって、夢の世界は壊れない。
娘役を好きでも苦しくならない場所ってあったんだな。



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