クリニック開業時の固定費として注意すべき5つのポイント
クリニックを開業する際、経営の成否を左右する要素のひとつが「固定費」です。
固定費は、患者数や収益に関わらず毎月発生する費用であり、コントロールが難しいため、開業前から綿密に計画することが重要です。
本記事では、固定費において特に注意すべき5つのポイントを解説します。
1. 賃料(家賃)
クリニック開業において、賃料は大きな固定費の一つであり、立地条件や物件の規模によって金額は大きく異なります。
開業初期は患者数が安定しないため、賃料負担はボディーブローとして効いてきますし、見直しすることは難しく慎重に考えるべきものです。
物件を契約する際には「保証金」「礼金」「仲介手数料」などの初期費用や、契約内容の確認も怠らないようにしておきたいです。
また、できることなら賃料発生のタイミングをずらしてもらえるか交渉にも及びたいところです。
注意点: 人通りやアクセスの良さが集患に直結しますが、過剰に高額な賃料を選ぶと、収支が圧迫されるリスクがあります。
2. 人件費
クリニック運営には、医療事務スタッフや看護師などの人件費は必要です。人件費は固定費としての割合が一番高くなるため、必要な人数や役割を慎重に計画することが求められます。
過剰な人員配置はコスト増加につながり、逆に不足すると業務効率が低下します。
但し、人件費をコストとは考えずに、投資と捉えることも重要です。
昨今は、医療業界のみならず人手不足が叫ばれており、新規開業だからといって採用は一苦労しているのが現状です。
周辺での他業種の給与相場も参考にしながら、自院で働きたいと思わせるアピールに工夫を凝らすことが大切になります。
ポイント: 開業初期は最低限のスタッフ数で始め、患者数の増加に応じて柔軟に調整しましょう。
3. 医療機器や備品のリース料
医療機器は経年的に入れ替えを想定するしない、また高額かどうかで購入するかリースかを判断したいところです。
リース料は経費として計上できるメリットがありますが、毎月の固定費として支出することとなるため、必要な機器を精査して無駄なコストを抑える工夫が必要です。
例: 高機能機器が必ずしも必要ではない場合、基本的な機能を持つ機器で十分なケースもあります。
4. 光熱費や通信費
クリニックの規模や診療時間によって変動しますが、光熱費や通信費も固定費に含まれます。
無駄を減らし、コスト削減を図る方法を検討することが重要です。
節約例: LED照明の導入やエネルギー効率の高い設備を使用することで、電気代を抑えられます。
5. 宣伝広告費
開業初期に患者を集めるための広告費用は重要ですが、過剰な投資には注意が必要です。
特に、固定的に発生する広告契約(例:看板代や定期的なウェブ広告の掲載費)は、収益が安定するまで絶対必要なものになりますが、効果測定をしっかりとすることを心掛けたいものです。
戦略: 効果測定を行いながら、費用対効果の高い手段を選びましょう。
地域密着型の広告や口コミを活用するのも効果的です。
固定費管理が経営の鍵
固定費を適切に管理することで、経営の安定化につながります。
開業準備の段階から、専門家のアドバイスを受けつつ計画を練ることをお勧めします。
特に事業シミュレーションを綿密に練り、運転資金に厚みを持って開業に臨んでもらうことをお勧めします。
この記事が、これから開業を目指す医師の方々の参考になれば幸いです。