語20250109
窓から広がりを見せる純白の光は机上のペンを照らす。その美しさに見とれながら紙面に文字を押し付けて行く。外は晴れているが雪がちらついているように見えた。薄明りの部屋の底に溜まったほこりかもしれない。今日は満足いく文章が書けたようで少しの笑みが筋力の緊張を解すのが分かった。ふいに戦争のことが頭によぎった。今この瞬間も銃や爆弾で殺されている人がいるのだろうか。その家族は何をしているんだろうか。人間が互いに怯え恐れ合う。そして憎しみ合う。私とは別の世界だ。私は自分自身を憎んでいる。彼らはそんな暇すらないだろう。いつ死ぬか分からないという不安といつ自分で自分を殺すか分からないという不安は比べられるのだろうか。あいかわらず窓の外から光が差して紙の上を照らしている。400字詰めが埋まる。人もいつか埋まる。ふとそう思った。