語20250106
空疎な知恵のやり取りを「私」という存在の内側にて行う。それは深く美しい結論に至るであったり、自己の研磨を目的としたりするものではない。僕等は白くて薄い布のような知恵を互いに持ち寄って重ね合わせた。いつしかその布同士は強固な地面を形成した。誰かがその上を土足で歩いていく。泥が付いてしまった。だがもう僕等はそれを受け入れるしかないのではないか。泥を落とすための洗浄は布の剥離を必要とするからだ。だってそうすれば仲間外れになるじゃないか。泥は下へと染み込んでくる。その内、布の間に種ができた。次第に伸びてくる根。それをも僕等は受け入れた。その種がいつか芽吹く日を楽しみに待とうじゃないか。白くて薄い布も重ねれば強靭になる。それを水や泥や生命が蝕むかもしれないけど、そうやって自然な僕等になれるのならいいじゃないか。