語20250125

ペットボトルに入った夜の体液を飲んだ。浴槽の湯に溶けていった昼の水分を補うためだ。若しくは、私が夜という巨大な生命の体内に積極的に入り込みたかったからかもしれない。私は再びキャップをひねり、残りの分も飲み干した。辺りはすっかり夜になっている。カーテンの隙間を覗くと、そこには窓に反射した私の薄い顔が見えた。私はそれに少々の恍惚感を得た。何故ならば、そこに暗い夜の景色の中に溶け込んだ私を認識できたからである。それは「嗚呼、今日も夜の中に居るんだな」ということの実感なのだ。それでいて、つくづく私は臆病者だなあ、と思う。こんなに明るい部屋の中に居ながら、夜を嚙みしめた雰囲気に浸っている。夜の中を、薄暗い懐中電灯を頼りに突き進む勇気すらない。この巨大な安心感を捨て去り、今日も私は夜の闇の中で眠りに就くのだ。ちょっと不安だなあ。

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