語20250105
感動は言葉に表れるのだろうか。泣いた映画、小説、楽曲。感動は生まれていく。文脈の流れ着いたその先に。川面に浮かぶ言葉が下流に流されていく。河口で言葉を釣っている人がいる。僕と同じだ。目を海に向けると言葉の波が岸壁に押し寄せていた。割れて白くなってしまった言葉。消しゴムで消されていたとしてもその跡は墓場ではない。次の言葉を紡ぐための余白に過ぎない。まるで死んだ鯨が深海で新たな生態系を形成するように。上書きされても、その言葉は無駄じゃなかったんだよ。そう語るのは他でもない言葉達だった。彼らは生きている。でも何かの拍子に死んだりもする。強い言葉、弱い言葉あるけれど、それらを灯篭のように川面に浮かべ流すのが僕らの仕事だ。活きのいい言葉拾い集め家に持ち帰り水槽に入れて観察するのもいい。小さな彼らを感動へ導くことができるならこれ以上の幸せはない。そうだろう?