Fantasy Baseball 開幕後の成績予測
成績予測シリーズの後編である。
前編はこちら。
Fantasy Baseballはドラフトだけでは終わらない。
むしろ終了時のチームはシーズン中に野良から拾った選手の方が多いくらいだ。開幕後、少ない打席数で年間成績を予測し、いい選手を早く獲得できればシーズンの勝利につながる。ではどの指標を見ればいい予測ができるだろうか。
開幕後の成績予測 投手編
結論
1試合:Stuff+
2試合:CSW%
3試合:K%
BABIPやLOB%の運要素も確認すべし。
①Stuff+
どの指標もサンプルサイズが少なければノイズが混じり、増えれば増えるだけ安定する。また、指標ごとに信頼できるサンプルサイズは異なる。
Stuff+とはボールの強さを表す指標。より詳しく書けば、ピッチモデリング系(機械学習を用いた指標)の1つであり、コマンドを排除し、ボールの速度や動き、リリース位置等で球質のみを評価するもの。
収束が非常に早いという特徴がある。
なんと100球で収束してしまう。先発ピッチャーならほぼ1試合である。
ちなみにStuff+の仲間として、Location+(投手のコマンドを評価する指標)とPitching+(Stuff+とLocation+を総合した指標)が存在するが、防御率の予測にはStuff+単独の方が信頼性が高い。
シーズン1試合目でいい投手を見極めたかったら、まずStuff+をお勧めしたい。
②CSW%
次に収束が早いのがPlate Dicipline系統の指標である。
その中で最も予測に役立ちそうなのが、CSW%(called strike+whiff% 見逃しストライク+空振りストライクの率)。
Whiff%やSwstr%よりもSIERAへの相関が強い。収束に要する打席数のデータは見つけられなかったが、三振の収束が70打席程度であるので、それよりは早いであろう。先発ならおそらく2-3試合。
③K%
打席の結果を表す指標では三振の収束が最も早い。
上図は統計に混じるノイズがどの程度含まれるかのグラフで、0.5を超えるとノイズより実力の割合が多くなる。
分かりやすく数字で表すと下の図のようになる。
三振は70打席で収束する。先発なら3試合程度だ。
④BABIP,LOB%
これらは投手の実力の及ばない運の要素である。BABIPはインプレー打率、LOB%は残塁率を表す。運であるがゆえに、外れ過ぎた値は平均への回帰が発生する。BABIPはおおよそ.330、LOB%は75%が目安である。防御率が悪くても、BABIPが.400をこえていたり、LOB%が90%以上だったりする場合は、xERAやSIERAを確認するべきだ。ドロップを思いとどまるような値が並んでいるかもしれない。
開幕後の成績予測 野手編
結論
40打席:Contact%
60打席:K%
120打席:BB%
野手の指標は投手と比較して研究が進んでいないのか、あまり資料を見つけられなかった。
明確なエビデンスのない文章が続くが、どうかご了承いただきたい。
①1〜40打席
見るべき指標はほぼない。強いてあげればMax exit velosity(最高打球速度)が前年を上回っていれば、お、パワー上がったな程度である。他のあらゆる指標は統計的ノイズの方が実力より大きく、見ない方がマシまである。
②Contact%
打席結果系の指標の中ではK%の収束が最も早いため、Plate Dicipline系の指標でも三振に関わるものの収束が早いと考えられる(エビデンスなし)。
Contact%(コンタクト率)が最も三振率との相関が強い。40〜60打席では、Contact%を見るべきであろう。また、識者の1人はBarrel%が50打席程度で収束すると述べていたが、エビデンスを見つけられなかった。肌感覚としてはBarrel打球は発生イベント数が少なく、そこまで早く収束するとは思えないが…
③K%
三振率は60打席程度で収束するとされるが、まだブレが大きい時期でもあるため、引き続きContact%も見るべきである。
④BB%
BB%の収束には120打席程度要するため、その前に収束するPlate Dicipline系の指標を見つけたかったが、O-Swing%(ボールゾーンの球を振った率。Chase%と同じ意味)でも相関が強いとはいえない。BB%そのものの収束を待つしかなさそうだ。
また、肌感覚としてはこの辺りからxwOBAが使えるようになる。
シーズン中の情報収集
ここまでいい選手を自力で探す方法を書いてきたが、結局は識者に教えてもらうのが一番早い。
①Fantasypros
Fantasy Baseballに必要な情報を色々と載せてくれるサイト。特にArticleにあるwaiver wire picksは野良選手から誰を拾うべきか教えてくれるので重宝する。
②Rotoballer
記事の内容は基本的に①と同じであるが、プロスペクト関連も出してくれるため、ダイナシティリーグプレイヤー向き。
他にも似たサイトがいくつかあるが、記事の質はこの2つが高いと感じる。
最後に
何を考えながらFantasy Baseballをプレイしているか、つらつらと書き出してみた。
取り止めのない内容であるが、何かの参考になったら幸いだ。
それではまた。