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#017 やさしくされたらどうするか

旅の話の続き。

この頃になると朝露がおりるようになり、
朝起きると寝袋がビタビタに濡れるように
なってきました。
気候が少しづつ変わってきているようです。

ある時、歩いている途中に
ふと腕をみると水ぶくれができていました。
火傷をしたわけでもなく、
また痛みも何もありません。
つついてみると、プチっ。

日焼けした皮膚の下で
汗が行き場を失っていたのです。
一週間以上シャワーも浴びていないので、
日焼けした皮膚はそのまま
鎮座しておられたのです。


あるレストランに着いたとき、
そんな話をお店のお母さんにすると、
「コレをつけてみたら」
と、メンタームを持ってきて
顔に塗りつけてくれました。
それから、続けざまに、
「サラダは欲しいか」
と、トマトとサラダを持ってきてくれました。
貰ってばかりで申し訳なく、缶詰をだすと、
おかあさんがパンを持ってきて、
二人で昼ご飯を食べることになりました。

ご飯を食べ終わりウトウトし始めると
「一休みしていきな!」
ということでベッドを貸してもらい
ひと眠りさせてもらいました。

出発の別れ際にも
パンの差し入れをもらったので、
せめてものお返しとして、
Tシャツと日本茶ティーパックを
プレゼントして歩き始めました。


「やさしさに触れたいなら
チリの砂漠を歩いてみろ」
砂漠を歩くきっかけをくれた
隊長さんの言葉のとおりでした。

そして、やさしくされたとき、
どうしたらいいのか。
遠慮して断る、
有難く受け取る、
倍返しをする、
その人に返す、
次の人に渡す。

何が正解かわかりませんが、
忘れないようにしたい。
でも、今までもらったやさしさを
忘れてしまっていることも
たくさんあると思います。
だからこそ、
今までもらったやさしさを
その人に返せなくても、
せめて、次の人に渡せるようにしたい。


歩き始めて11日目。
300kmを歩き切り、
イキケの街に到着しました。

手頃なホテルを見つけ、
11日ぶりにシャワーを浴び、
11日ぶりにベッドの上で
眠りました。

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