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#078 声掛けから元気をもらう
旅の話の続き。
ただ単純に歩くという旅の中で、嬉しい瞬間はどういうときか。
それは声を掛けられたときでした。
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歩く旅を始めたときは、「何をしているんだ」と問いかけられ、二言目には「乗っていくか」ということが殆どでした。
それが、歩き始めて2か月以上経ったこの頃には、「調子はどうだい」「○○の近くで見掛けたぞ」と顔馴染みの友達の様に声を掛けてくれる運ちゃんが増えてきました。顔馴染みといっても、正直なところ止まってくれた全員の運ちゃんの顔を覚えられていた訳ではないのですが、車を止めて声を掛けてくれる行為それだけで、元気をもらっていました。
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また、この頃になると民家がポツポツと増えてきて、そこの子供たちが声を掛けてきます。
「Hola(こんにちは)」「Chinito(中国人=東洋人)」「Chiao(バイバイ)」
3語だけの会話なのですが、何故か元気をもらっていました。
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また、ある夕方の事。いつものように歩いていると、長距離バスが止まり、添乗員が降りてきて、サインを求められました。その人は、2カ月以上前に歩き始めた出発地点であるチリ最北端の街アリカの近くで見掛けたとのこと。サインを求められたことも驚いたのですが、歩き始めた当初から見られていた、見守られていたことに更に驚きました。
その直後、もう一台の長距離バスが止まり、運ちゃんが「乗っていけ」と声を掛けてきました。歩いていくことを伝えると、運ちゃんは
「おまえはLocoだ(頭がおかしい)」と笑いながら、走り去っていきました。
「Locoだ」「クレイジーだ」「頭がおかしい」と言われたことに、「ようやく一人前になれた」と逆に嬉しくなってしまいました。
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会話ができなくても、会話をしなくても、「お疲れっす。うぃっす」と笑顔で声掛けをするだけで、元気になる時があります。
落語家の笑福亭鶴瓶さんが、「何故鶴瓶さんの周りには笑顔の人が多いのか」という趣旨の質問に対して、「周りの人が笑顔になるように努力している」という趣旨の返答をしていたことを思い出しました。
何気ない声掛けだけでも、人を元気づけられるようになりたいものです。