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#072 溶接とマラソン選手はスゴイ!

旅の続きの話。

歩き始めて1000kmを超えた頃から、気候的にも涼しくなってきたこともあるのですが、歩くことに慣れてきたのか、途中で疲れて座り込むようなことはなくなり、精神的にも余裕が出てきました。そして、両足のふくらはぎの筋肉も鍛え上げられてきていて、自分で自分のふくらはぎに見惚れるほどでした。

人の体は鍛えられてくるのですが、その一方でガタがきていたのが相棒の荷車。重くて背負いたくない水やテント、ギターを乗せて、ここまで運んできてくれたのですが、ここにきて片方の柱が折れてしまいました。

幸運にも、柱が折れたところからすぐ近くに溶接してくれるところがあったので、そこまでガリガリと引きずりながらなんとか荷物を運び、直してもらうことに。

野外ガレージでガラクタのようなものに囲まれている中、おっちゃんに荷車を見せると、「こんなの朝飯前だ」と言わんばかりに、慣れた手つきでガス溶接するノズルを延ばしてきて、サッと柱を溶接してくれました。

この時初めて「溶接」というものを実際に目の前で見ました。接着剤ではくっつかない鉄。それがガスの火で溶かすことで強固にくっつくのです。鉄を加工して自由に物を作ることができることに魅力を感じ、帰国したら、溶接も挑戦してみたくなりました。


タルタルの町を出発してからコピアポまでの約300kmの区間も、通りがかるバスやトラックから差し入れをもらい、夜はポツポツと増えてきた民家の庭にテントを張り一緒に夕ご飯を食べる、というルーティンがほぼ確立され、順調に距離を延ばしていきました。一人で歩いているにもかかわらず、孤独という感覚は殆どありませんでした。


そして、タルタルの町を出発してから11日目にコピアポの街に到着しました。街の10kmほど手前からは、ずっとブドウ畑が続いていました。平坦な地形で歩きやすかったのですが、畑の周りは木本植物の柵でずっと囲まれたいたので、途中でテントを張ることもできず歩き続けるしかありませんでした。

日が暮れてきて、いつもならテントを張ってご飯を食べている時間になってもブドウ畑が続いていたので、とにかく進むだけ進もうと歩いているうちにコピアポの市内に到着しました。

この日歩いた距離は、過去最長の40km。さすがに足が痛くなりました。マラソン選手はこの距離を走っているのかと思うと、改めてすごいものだと実感しました。

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