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#024 身なりを整える
旅の話の続き。
トコピアの街に向かうにつれて
海岸を走る道沿いにポツンと家が
たっていること時々がありました。
夕方にそのような家を見つけると
迷惑かもしれないと思いつつも
近くにテントを張って
夜を過ごすことにしました。
ある日の夕方のこと、
一日を歩き終えようかと思ったときに
一軒の家を見つけたので、
その近くにテントを張らせてもらうことにしました。
そして、夜ご飯を一緒に食べることにしました。
その家は、親と子供3人の5人家族。
海岸沿いに家を建てているので漁師かと思いきや
鉱山で働いているとか。
漁は、あくまで家で食べるものだけ釣ってくる。
夜ごはんには、さばいた魚のフライとパンとお茶。
ここ数日パンしか食べておらず、
食料にも困っていたので、厚かましくも
バクバク食べてしまいました。
始めは、恥ずかしそうにしていた子供達も、
時間が経つにつれ慣れてきて、
「日本のアルファベットはいくつあるの」
「名前はどうやって書くの」
と、多分初めて会った日本人に
興味深々で質問してきました。
何かに使えるかと忍ばせていた筆ペンで
名前をひらがなで書いてあげると大喜び。
「僕も!」「私も!」と全員に書きました。
■
家族団らんの時間が印象的だったのが、
食卓の灯りはランプ一つだったこと。
薄暗い家のなかですが、
食卓のランプ一つで生活し、
子供達もその灯りで勉強していました。
翌朝は、子供三人そろって小学校の制服を着て
近くの学校まで、ヒッチハイクで行くとか。
朝6時には出発するというので、早く寝ました。
そして、チリの国で共通しているかわかりませんが、
多くの家では、建物が多少傷んでいたとしても
服装、髪型、家の玄関は、かなりピシッとしていました。
「襤褸(ボロ)は着てても心は錦」とは逆で
「身なりを整えて、心を整える」という印象でした。
魚のフライをバクバク食べていた自分が恥ずかしく、
また、身なりを整えることの大切さを感じました。
■
翌朝、別れ際に子供達が
「向こうにゾウがいるよ」
と教えてくれました。
「海岸にゾウ?」と思いながら歩きはじめると
ゾウの形をした岩を見つけました。
思わず、一人微笑んでしまいました。