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#055 究極?の選択

旅の話の続き。

歩き始めて29日目の夕方にトコピヤの街に着くと、とりあえずレストランに入りお腹を満たしました。そして、たまたまレストランにいたおっちゃんに近くのホテルまで案内してもらいました。

ホテルに泊まるときの一番の楽しみは、なんといってもシャワー。1週間近くお風呂に入っていないこともあり、面白いほど「脱皮」できました。お湯が出るホテルの場合は、熱めのお湯を頭に掛けて痒みもろとも一気に流していました。


次の日は、一日休むことにしました。トコピヤは、比較的小さな港町。海外沿いを走る国道と、東へ内陸に向かって走る国道の分岐点にあり、交通の要衝になっています。

そして、ここから東方向へ内陸に入っていくと、観光地であるサンペドロ・デ・アタカマという街があります。タティオ間欠泉という80近い間欠泉や、世界で3番目に大きいアタカマ塩湖が有名です。そして、何といっても魅力的だったのが温泉に入れること。

普通の旅だったら、間違いなく行っていました。しかし、今は歩く旅の途中。心の奥底では、車に乗ることに対して、抵抗感のようなものが芽生えていました。歩くのであれば、サンペドロ・デ・アタカマまでは250kmほど離れているので、行くだけで一週間程度かかります。

どうしようか迷っていたのですが、ホテルのおっちゃんから、このままサンチアゴに向かう道の途中にも温泉があることを教えてもらい、そっちに期待することにして、サンペドロ・デ・アタカマへ行くことを断念しました。今思えば、無駄な抵抗をやめて、バスで往復してでも行けばよかったと思うこともあるのですが、その当時は、何か譲れないものがあったのです。


一日、トコピヤの街を散策し、次の街アントファガスタまでの観光案内や買い物をして過ごし、夜はホテルのおっちゃんと仲良くなり、スペイン版のトランプを教えてもらいました。

スペイン版トランプは、オロ(金貨)、パロ(こん棒)、コパ(カップ)、クチージョ(剣)の4つのマークがあり、それぞれ12枚の模様があります。遊び方は単純で、初めに5枚ほどの手持ちカードが配られ、順番にカードを出していきます。相手が出したカードと同じマークがあれば出し、なければ山札からとる。それを繰り返し、手持ちカードが先になくなった人が勝ち、というもの。

単純なのですが面白く、深夜になるまで、おっちゃんと遊んでいました。

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