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#080 情報ノート

旅の話の続き。

観光ビザが切れるまで残り10日。ラ・セレナに到着した次の日、観光ビザを更新するため、バスで首都サンチアゴへ向かいました。数か月ぶりのバス移動。これまで頑なに乗車を拒んできたのですが、こんな形で乗ることになるとは思いませんでした。

バスが走る首都サンチアゴへ向かう道は、ビザを更新した後、再び歩く予定の道。歩く時の楽しみのために、途中の景色は見ないように寝ようとするのですが、こういう時はなかなか眠れないもの。時々カーテンを開けて、チラチラ外を見ていました。


観光ビザは、一度隣国のアルゼンチンへ入り、再入国することで、再び90日がもらえます。延長手続きをする方法もあるようですが、手続きが複雑そうだったので、一度アルゼンチンへ入り再入国することにしました。
目的地は、サンチアゴから最も近いアルゼンチンの街メンドーサ。

サンチアゴのバスターミナルにつき、メンドーサ行きのバスに乗り換えようとすると、メンドーサ国境は雪で閉鎖されているとのこと。早速行く手を阻まれてしまいました。

一先ず、サンチアゴから北西に100kmほどのところにあるビーニャ・デル・マルという海岸の街に行くことにしました。その街にある汐見荘という日本人宿を目指したのです。


中南米を旅行していると、「日本人宿」と呼ばれる日本人が集まる宿がそれぞれの国にありました。日本人が経営している訳ではないのですが、共同のキッチンやサロンがあり、旅行者が置いて行った日本語の書籍が並べられていて、たいていの場合手頃な値段で宿泊できました。

そして、多くの場合「情報ノート」と呼ばれる旅行者が手書きで残した情報が書かれたノートがありました。周辺の観光地への行き方や穴場スポット、美味しいレストランや周辺の街の宿情報等、旅行者が経験した生の情報が書かれているのです。

当時インターネットが今のように普及しておらず、旅先の情報を集めるには、ガイドブックか観光案内所、そして日本人宿にある「情報ノート」が貴重な情報源でした。

そして、この「情報ノート」に観光ビザを延長するための何か良い情報がないかと期待していました。


バスとタクシーを乗り継ぎ、何とか日本人宿の「汐見荘」に到着しました。久しぶりの日本人旅行者と会ったのですが、何となく日本人の輪に入れず、よそよそしく、その日は過ごしました。肝心な「情報ノート」を見せてもらったのですが、生憎役に立つ情報は見つかりませんでした。

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