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#022 さりげない一言
旅の話の続き。
イキケの街で静養し
体調も戻ってきたところで
次の街に向けて出発しました。
次の目標は230kmほどはなれた
トコピアという街。
イキケからトコピアまでは
海沿いを国道1号線が
一直線に走っています。
気持ちのいいほど真っすぐな道。
ある時、歩いていてふと前を見ると
すぐ先に電柱が立っているのが見えました。
ところが、進めど進めど
その電柱に近づくことができません。
そして、気が付きました。
その電柱は電柱ではなく、
ただ真っすぐ道路が伸びているだけだと。
■
イキケで購入したテントのおかげで
夜は露で濡れることなく
熟睡できるようになりました。
ところが、そのお陰で寝坊気味になりましたが。
この露に関連して、探し続けたものがありました。
フォッグトラップという施設です。
沙漠の中でも海岸沙漠でしかみられないもので、
昼間に温められて空気中に蒸発した水が
夜の間に冷やされてできる露や霧を
ネットのようなもので集めて水を得るもの。
冷え込んだ朝にクモの巣に水滴がつく原理と同じで
人工的にクモの巣のようなネットを張るだけで
沙漠の中でも水を得ることができる施設です。
結局最後まで見つけることはできませんでしたが、
自然の特徴を活かして生活する人の知恵に
凄いなぁ、と思わずにはいられませんでした。
■
この頃になると、歩くことにも少し慣れ
また、以前よりも交通量が増えたこともあり
沙漠で何もないはずが、
人との出会いが増えてきました。
ある時は、距離がなかなか伸びず
疲れてきたときに車が止まり、
おっちゃんからパンの差し入れがありました。
そして、15kmほど先で働いているから
そこで待ってるよ、とのこと。
その一言で、やる気をもらいました。
さりげない一言で、力をもらいました。
そろそろ15kmくらいのところで
少し休んでいると、
さっきのおっちゃんが戻ってきて
紙袋に包んだサンドイッチと
リンゴと冷たいジュース2本を
差し入れしてくれました。
差し入れのお返しに何かできないかと
この頃から、音楽を演奏することにしました。
手元にあるのは、ギターとオカリナ。
人前で弾くことなどしたこともなかったですが、
この時ばかりは、演奏できました。
■
仕事をしている中で、
以前は現場のおっちゃんたちに
缶コーヒーの差し入れとかをしていましたが、
最近いつの間にかしていないことに気づきました。
さりげない一言、
ちょっとした気遣いで
元気になれることを
思い出しました。