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#087 エンカント渓谷でタイムスリップ

旅の話の続き。

間違えた道を一度引き返し、オバージェの町から再び国道5号線へ向けて歩き始めました。

その日の夕方に、エンカント渓谷へ向かう道との交差点に差し掛かりました。エンカント渓谷には、古代の絵が岩に描かれている遺跡があるとのこと。見に行きたいが、渓谷まで5kmの道を荷物を運びながら歩いて戻ってこないといけません。

片道10kmとなると諦めもつきやすいのですが、片道5kmという中途半端な距離が自分を迷わせました。そして「もう二度と来ることはない」と思い直し、エンカント渓谷に向かいました。


途中に民家を見つけました。今夜はここに泊まらせてもらい、次の日荷物なしで見に行って戻ってくればいいと思いつき、その民家を訪ねました。初めは「OKだよ」と言われ、そこの子供たちと一緒にテントを立ててたのですが、家の主人が帰ってきて「だめだ」と断られました。

楽をしようと思うと、バチがあたるものかもしれません。再びテントをたたみ、歩き始めることにしました。

幸いにも、テントを一緒に立ててくれた子供たちがエンカント渓谷まで案内してくれました。子供たちと一緒に歩いていると、時間が経つのが早いもの。

渓谷の入り口に着いた時には、辺りは真っ暗。エンカント渓谷の入り口で手続きをしてから、子供たちと別れました。明かりはなく周りが良くわからなかったので、適当なところでテントを張って寝ることにしました。


次の日の朝、誰もいないエンカント渓谷の中を散策していました。

岩に描かれた古代の絵。儀式か何かに使われたと思われる穴が無数に空いた岩。ガイドブックもなく情報も何もないのですが、古代にタイムスリップして当時どんな事を考えて生活していたのか頭の中で想像を膨らませていました。すると、自分が本当に古代にいるような錯覚になり、当時の生活を追体験していました。


そんな妄想を楽しんだ後、荷物をまとめて来た道を引き返しました。

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