#129 手段と目的
先週立て続けに「久遠チョコレート」の物語に触れる機会がありました。
一つは「カンブリア宮殿」(テレビ東京)、もう一つは「チョコレートな人々」(東海テレビ)という番組。
どちらも久遠チョコレートの取り組みが紹介されています。
久遠チョコレートは、チョコレートの味や豊富な種類があることも魅力なのですが、興味深かったのは障害者雇用の促進と低賃金からの脱却を目的にしているところでした。
製品であるチョコレートはあくまで手段であって目的でない。目的を追求する上でチョコレートが最適の手段であった、という点に惹かれました。
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社長の夏目浩次さんは、障害者の低賃金に衝撃を覚えたのをきっかけに事業を始めました。当初は障害者を雇用したパン屋さんを開業したものの上手くいかず。試行錯誤の中で、チョコレートに出会い「ピンときた」とのこと。
パンの製造過程で失敗すると全て廃棄になるが、チョコレートは溶かしてもう一度作り直せる。
パンを焼く調理温度は100度以上だが、チョコレートを溶かす調理温度は40度であり、火傷をするリスクが小さくなる。
パンは工程と時間に人を合わせないといけないが、チョコレートは工程と時間を人に合わせることができる。
パンは薄利だが、チョコレートは利益がでる。
チョコレート製造にかかる様々な要素を活かす工夫をすることで、様々な人を受け入れる体制を整えてきている印象でした。
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「チョコレート専門店」には、チョコレートが好きで携わる人がいる一方で、チョコレートをあくまで手段として携わる人もいる。
今の仕事も、仕事自体が目的であることもありますが、それを手段として考えてみると、違った携わり方があるように思えてきました。