#023 ただ歩くだけなのに
旅の話の続き。
イキケからトコピアの街までの道は
海岸線に沿って続いています。
ある夜のこと、
砂浜にテントを張ってねていたときのこと。
深夜トイレのために外へ出ると、
一面真っ暗な中、
一瞬沖の方で海が青白く光り消えたのです。
初めは、車のライトが波に
反射したのかとおもったのですが、
辺りを見回しても車が
走っている様子はありません。
暫くすると、また沖の方で
青い光が一直線に広がっていき消えていきます。
それは夜光虫でした。
波が立ちあがり砕ける時に
夜光虫が波の動きにあわせて光るので、
青白い光が一直線に広がっていくのです。
幻想的な世界に、ただ見とれていました。
■
しばらくしてテントに戻り寝ていると、
今度はガサガサと音がし始めました。
はじめは風かと思っていたのですが、
テントの中で何かが動いている気配。
気持ち悪くなりライトをつけてみると、
ネズミがテントの中に入り込んでいました。
まさか砂漠にネズミがいるとは思わず、
驚きつつも丁重に外にでてもらいました。
次の日の朝になり、調べてみると、
テントの網が破られていて、
大切な食料のクッキーが齧られていました。
夜光虫に見とれている間にやられたのか。
少し落ち込みながらテントをたたみ
歩き始めて暫くすると、
トラックが横倒しで倒れていました。
そんな状況にも関わらず、
陽気なおっちゃんが丁度
コンロでお湯を沸かしているところで、
一緒にモーニングコーヒーを頂くことに。
アツアツの甘いモーニングコーヒーが
体に染みました。
■
この文章を書きながら、
単調にただ歩いているだけのはずが、
毎日色々なことが起こっていたな
と改めて思います。
その一方で、毎日仕事に行って
するべきことを色々していても、
逆に単調な毎日だなと思ったりもします。
毎日の行動をシンプルにすると、変化を感じ、
毎日するべきことをしていると、単調に感じる。
何か矛盾しているような気がするのですが、
面白い発見でした。