不倫のトモダチ。第1話:間違いメール
「雨男さんに会ってみたいです。」
「私も里帆さんに会ってみようという気になりました。
春になったら、きっと会いに行きますね。」
あの時から三ヶ月が経ち、こんな暖かい会話ができるようになるほどに私はどん底から立ち直ることができた。そのきっかけをくれたのは彼女であり、日々私の心が立ち直るまで支えてくれた大事なトモダチだ。
彼女との出会いは現代では非常に珍しい、いわゆる間違いメールから始まった。
急に届いたEメール。仕事用のアドレスに件名「お元気ですか?」本文「急にスミマセン、〇〇へのご連絡はここでよろしかったでしょうか?先日は少しだけ救われました。ありがとうございます。」というメッセージが届いた。現代においてこういったメールはいわゆるスパムメールの類の可能性が高く、普段だったらまず間違いなく無視してそのまま迷惑メールに登録の流れだろう。というか普通はそうするべきだ。
でも、その時の私はなんとなくこのメッセージは本当に届けたい人に届けるべきだと勝手に思い込み、「宛先をお間違いではないですか?私は雨男と申します。」と返信してみた。
翌日、「ご指摘の通り、宛先を間違えました汗 大変失礼しました。ご丁寧にお返事ありがとうございます。」と返信が入っていた。
もちろんこのまま無視することもできた。なんならただの間違いメールなので無視するのが普通だ。だけど、橘さんとの関係がふいに終わってしまって冷静な判断が出来なかった私は「いえいえ、誰にでも間違いはあります。救ってくださったお相手に改めてメールし直してください。」とさらに続けてしまった。もちろん返信はないだろうと予想して。
すると、翌日メールボックスにさらに返信があった。内容は一言「ありがとうございます。間違いを指摘していただき助かりました。」と書いてあった。
そしてさらに私が続けた返事は以下の通りだった。
「良ければメル友になりませんか?嫌ならスルーしてください。」
誰かと話したかったのだ。別に下心があったりするわけではない。当たり前だ。私は大事な人との別れを経験したばかりだった。それだけの理由でメル友でもしてみようかと思ったのだった。自分でもびっくりだった。
うん、今度は私が怪しすぎる(笑)そして私の目的が分からなすぎる。
向こうもまあ怖いだろう。自分でも意味わからなすぎるもんな汗
もちろん全く期待してなかったが、なんと返事が来たのだった。
そして2話に続く。
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