映画「Winny」とても良かったので感想(※ネタバレありです)
先日、映画「Winny」をAmazonプライムビデオで見ました。
2002年より始まった『Winny事件』を題材にした映画です。
Winnyは、元東京大学大学院情報理工学系研究科助手・金子勇氏によって2002年に開発が始まったファイル共有ソフトです。
Winnyは匿名性が高く、Winnyネットワーク上で流通する映画や音楽、ゲームなどの著作物を目的に急激に利用者が増加しました。と同時に、著作権侵害が問題視され、わいせつ画像や児童ポルノの流通、コンピューターウィルスの媒介等、様々な犯罪の温床として警察の捜査の対象となり、開発者の金子氏も逮捕されてしまいます。
ソフトウェアやシステム開発などには無縁で無知の私でも夢中になって見てしまった、そして色々と考えさせられたとても良い映画でしたので、感想をシェアしたいと思います。
日本の警察組織、司法(検察)、ジャーナリズム、歪みすぎ
まず、警察組織の歪み、司法(この映画では主に検察)の歪み、ジャーナリズムの歪みがとてもリアルです…。
警察組織や国家権力、ジャーナリズムの闇を暴く、みたいなドラマや映画は昔からたくさんありますが、これ、言うても2000年代前半に起こった実際の事件です。
つい最近の出来事と考えると…怖くなりました。
『正義』という名目をもとに成り立つ組織はたくさん存在するけど、『本当の正義』は存在しないんだなあ…と絶望的な気分にも陥りました。
主人公の金子勇(東出昌大)さんがすごい
金子勇さんは、天才と言えるすごい才能を持つ開発者です。
中身は、とても純粋で素直で、素朴な方で、応援したくなる不思議な魅力がありました。
役者の東出昌大さんの演技もとても良かったー。
大根役者と言われることも多い東出さんですが、確かに大根な演技をしている作品もありましたが、この映画に関しては非のうち所が見当たりません!
金子勇さんってきっとこんな方だったんだろうなあ…と思います。
(東出さんといえば、棋士の村山聖さんの生涯を描いた映画「聖の青春」で、羽生さんを演じられていました。この時の『羽生にらみ』もなかなかすごい迫力だったので、私はこの時から東出さんの可能性を信じていましたよ!)(ドヤッ!)
「プログラミングをやめるなんて、僕に死ねと言っているのと同じですよ」
映画の中には印象的なセリフがたくさん出てきたのですが、その中の一つが、金子勇さんのこの言葉でした。
「プログラミングをやめるなんて、僕に死ねと言っているのと同じですよ」
金子さんを表す何よりの一言だと思います。
また、このセリフを聞いて、「私には、そういう命をかけられるようなものって人生にあるかな…?」と考えさせられました。
まず思い浮かんだのは子どもたち。子どもたちがいなくなるなら、私の生きる意味は確実にほぼなくなります。
あと、昔から呼吸をするように本を読んできて、読書は私の大事な大事な趣味ですが、「これがなかったら生きていけない」と言うほどではない。
書くことが好きで、運が良いことに14年ほど前から書く仕事(ライティング)に従事させてもらっていますが、これも「明日から書く仕事はできません」と言われても、喪失感はすごいけど、死ぬほどではないでしょう。
みなさんはどうですか??
そういう、命がかけられるもの、
「これができないなら死ぬのと同じ」って思えるものって、あるでしょうか?
「辞めるのは簡単なことやぞ…」
このセリフも響きました。これは愛媛県警警察官・仙波敏郎(吉岡秀隆)さんのセリフです。
これって、何に対しても言えることだなあと思いました。
組織や仕事の話だけでなく、夫婦関係とかあらゆる人間関係においても。
キング・オブ・イケオジー秋田弁護士
金子さんの無罪を勝ち取るために結成された弁護団の中の弁護士の一人に、秋田真志先生(吹越満)という方がいます。
弁護団の皆さん、みんな渋くて素敵なんですが、この秋田先生が、もうもう、一際ステキでしたー!!
発する言葉たちの説得力が半端ない…。聞き惚れてしまいました。
洞察力もすごい。
そしてたまにかわいい。
私の中で、「ベスト・オブ・イケオジ」「キング・オブ・イケオジ」「イケオジ・オブ・イケオジ」決定です。
裁判のシーンもかっこよかったー。
まとめ
金子さんにあったのは「世の中の役に立ちたい」という強く純粋な思いです。
この「世の中の役に立ちたい」という思いに相応の実力が伴えば、本当に世の中変えるすごいものを作り出せることができるのですが、それを成し遂げた人、また成し遂げられる実力のある人が必ずしも報われるものではないのだな…と思いました。
どころか、人の役に立つ実力や才能は、強大な権力によってあっけなく潰されてしまうことが多い。
本質的に理解されることも少ないのでしょうね。時代が進んでようやく周知される、という部分もあるかと思います。
42歳という若さでこの世を去られた金子さんの生き様を、映画を通してぜひ多くの方に知ってもらいたいです。
とても渋い映画でした。
制作に携わった皆様に、心からの拍手を送りたいです。
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