僕が「逃げても良いよ」という考え方に言いたい事 -30超えフリーターに伝えた話-
僕たちが社会生活を営むにあたって辛く厳しい現実に当たることもあります。それは学業の失敗であったり、就職、ビジネスや恋愛、友人や家族の人間関係の誤りもあるでしょう。えてしてそういう自分がマイナスの状態になった時、「辛かったら逃げても良いよ。責任なんて負わなくても良いよ」という耳障りの良い言葉を求めがちです。
もちろん、辛いことと常に真面目に向き合うことこそが100%正解、とは限りませんが嫌なことから逃げ続けること。少しでも辛かったら(面倒であったら)やらなくても良い、と言う考えには疑問があります。
今回の記事では僕が30歳を超えてフリーターを続けていた友人に対し伝えたこと。そしてそう言う考えやスタンスに対し言いたいことを書きます。
基本的には事実ベースでお話ししますが、プライバシー保護のため若干の脚色を加えて書きます。ご了承ください
今から1〜2年前のことでしょうか。202X年(?)ぐらいの夏、僕のスマホに友人(仮名・田中)から一通のラインが届きました。
内容は「突然ごめんなさい。少し前にお金をちょっと使い過ぎてしまって、どうしても一万円ほど借してもらいたいんだけど」というものでした。
以前から交流がある友人ですから、一万円程度なら貸してもいい。そう考えましたがこの友人は以前から問題を持っている人間でした。
それは「何事に対しても受け身でありやる気のない生き方をしている」と言うものです。
学生時代から付き合いのある田中ですが、彼は就職活動もほとんどせず、最低限必要な授業だけ出席して学校もサボることが多かった。そんな彼ですから卒業後は何年もフリーターをしたり、せっかくなった正社員もすぐに退職を繰り返し、またフリーターに戻る。そのような怠惰と見える生活を送っていました。
もちろん僕も何度か「もっと真面目に生きたらどう?」、「こんな会社説明会があるけどどう?」という話をしましたが、耳障りの悪い話は聞かない様子でした。そしてその生活は彼が結婚した後も続いたのです。
〜LINE〜
僕「一万円貸すのは良いけど、その前に聞きたいんだけどさ。今まで就職してこなかったのはどうして?」
「30歳を超えて勉強もせずにフリーターやってて、これからどうやって再就職したりうまくやっていくつもりなの?」
田中「僕は働くことに重きを置いてないから、働かなくてもいい。家族のサポートがしたい。」
「就職活動や勉強をしなかったのは、バイトが忙しくて出来なかったから。」
このメッセージを受け取った時、僕は正直(この友人はダメになるだろう)と思いました。
働きたくないから働かない、勉強したくないからしない、そうして甘えて30年以上も過ごしてきたんだろう、という文を受け取った気がしました。
「いいよ。直接お金を渡そう」
と返信して、その友達と会うことを決めました
数日後、落ち合う約束の場所にきた僕ですが彼は遅刻していました。遅れてきた彼ですが謝罪の言葉はありませんでした。
田中「じゃあ、約束のお金を渡してくれる?」
僕「いいけどさ。その前に俺が聞きたいことをメモしてきたからこれに答えられたら良いよ。」
田中「質問?」
僕「全部は正直無理だろうからさ。最後の一個だけきちんと答えられたらお金渡そう」
そうして僕は質問をメモしたスマホを彼に渡しました。以下の質問は彼に実際に問いかけたものです。
・正社員として働けば定時に帰れたり介護休暇等の福利厚生、勉強も出来る
それを知っててなお親が心配だからバイトを続ける理由にはならない
それなのになぜ親の心配というワードを使えるのか(他人から見て現実逃避で実家に帰るとしか見えない)
・収入や将来が不安定な状態で働くに重きを置いてないと、なぜそのような観点が持てるのか
職種はこだわらず正社員で働きたい、と言っていた言葉と矛盾しているのはなぜか
・年収を知っている=自分の状況全てを知っているとはならない
それなのになぜ、労働時間や将来性を考慮しない含まない計算なのか、時給換算して長く割に合わない仕事をしている人間をどうして経理に雇うのか
・なぜ両親の年齢を心配しているのに介護の勉強をしないのか
奥さんが働いて自分はサポート的位置にいたい、でアルバイトをやる理由がない。どうして自分は無責任な立場でいられるという発想になるのか、年金や保険料の計算が出来ないのか
・フリーターで500万円稼ぐ時間と労力があって、なぜ「就活や勉強にあてる時間や余裕がない」、「今薬を飲みながら経過観察中」と言うワードを使えるのか、全く説得力がない
・何年もフリーターしてる人間に、普通に務めるだけという言葉は当てはまらない
なぜそんなに楽観的なのか、自分の経歴がおかしいと言うことを自認できないのか、何年も前から必要な努力から逃げて31歳になって、今から何の市場価値があると思えるのか、スキルもキャリアもないのに危機感を覚えないのか
彼にスマホの質問を見せた時、顔立ちが変わってヘラヘラ笑いをしたことを覚えています。きっと彼はこうして上司に退職を伝えたのかもしれません。そうでなくとも困難に向き合った時、彼は同じ顔をして逃げてきたということが伺えました。
「いや、まあ・・・当時は忙しくてさ。そういうのは無理だったんだ」
と震えるような声を出すのが精一杯だったんでしょう。
そこからは積年の気持ちを彼にぶつけました。怠惰に生きてきて、辛いことから逃げ続けて、そんな彼に対し怒りを覚えました。
「なんかそうやって簡単に誤魔化して逃げようとしてるけどさ。30超えて、お金なくなって、それでも今目の前の質問から逃げてさ。自分で情けなくないんですか?」
「自分でちゃんとやってる、頑張ってる、と言いたいんだろうけどさ。それは全部自分の見栄を守るための勝手な言い草であって、こっちが汲む必要はないんですよ」
「上手くいってないから30超えて結婚してる人間がフリーターやってるんですよ。生活苦しいんですよ。自分が責任逃れしたいから、正社員として働けないだけなんですよ。正社員として働いてないから相応の待遇と収入なんですよ」
そうした言葉を彼に向けました。
彼は、目を伏せて相槌を打つぐらいしか出来ませんでした。
「今もこうして遅刻した上に謝ることも出来ない人間レベルじゃない。そんな人間に一生懸命働いてるなんか言われても全く説得力がないんですよ」
「前々から正社員で働きたい、みたいなことを言ってるけど何も行動してない時点でそんなこと信じる人間なんていないんですよ。自分が他人から見てどう見えるか少しも考えないんですか?」
と続けました。
ここで少し補足ですが、彼は学生時代に経営管理(簿記など)の資格取得や勉強をしていました。
再就職の際もそこで働きたい、働くべきというようなことを言っていましたがそれに関しても無理があると思えました
田中「でも資格もあるし再就職も出来るだろう。」
僕「実務経験があるんですか?勉強サボってた人間がきちんとパソコンのシステム使えるんですか?素人が考えても分かるお金の質問に答えられない人間がなんで事務経理が務まるんですか?資格だけなら新卒の社員を雇う方が賢いのに、なんで中途の30超えを雇う必要があるんですか?」
「経営管理ってお給料の計算する部署や会社なんですよ。時間と金に厳しいことは当然なんですよ。それを今までフリーターで遊んでた人間が資格があるからと言って入社出来る道理なんてないんですよ」
彼にそう伝えました
実際の経営管理の現場ではほとんどが女性社員が多いです。男性社員は課長であったり役職者の場合がほとんどでしょう
「今さ、パソコンのシステム使って人員削減して事務員なんかほとんど解雇されてるんですよ。そうした現実も分からないから、あなたのような虫の良い考え方ができるんですよ」
「それでもなお、自分は『100%頑張ってきた、誰に対しても恥じることはありません』って言いたいんだったら、そう言いなさい。でもそうするとあなたは次の話で困りますよ。」
僕のこの発言には罠がありました。
というか罠があります、と自分から明かしましたが彼は「僕は100%頑張りました」、と発言しました。
「じゃあどうして長い時間フリーターやることを正しいなんて、認識できるの?」
「今回の質問もさ。田中が答えられないという事を見越して最後の質問だけで良いと最初に言ったんですよ。でもそこからも逃げたじゃないですか。手打ちにしてやろうってお情けからも逃げるなら、全部の質問に答えてもらうよ?」
この質問にはいろんな意味が含まれます。
結局、長時間働いたとしても年金、保険、福利厚生、賞与、退職金、経験値、人間関係、それら全てフリーターの人間なんかには与えられません。
仮に与えられたとしても、それらを証明する手段や発言に信憑性がありません。長年無責任な生き方を続けるというのはそれだけ信用を失うということなんです。
「今もしかして、一万円を受け取れば助かると考えてるから必死なんだろうけどさ。良い大人が一万円がない状況で生活に困る時点で働き方として失敗してるんですよ。」
「なんか自分でこの問題に気づけない、または目を背けてきたんだろうけどさ。目の前に置かれた問題から逃げるってことは、実際に問題が起きた時に解決できないってことですよ」
と彼に続けました。
長年怠惰を続けると、目の前に問題があっても逃げることが癖になってしまいます。ヘラヘラ笑いで誤魔化します。『解決しない』という積み重ねになっていきます。
「総じて、自分のやる気がない」
「計画性がない」
「問題にきちんと向き合って解決する意欲がない、自分はただの怠け者であって、他者が積み重ねをしている時に何もしてこなかったということを思い知れ」
実際に彼に言った言葉とは若干違いますが8〜9割はこういった話を彼に向けました。一万円も結局渡しました。僕は働いてるし一万円の価値も理解しているつもりではあります。ですが彼にお金を渡しても、僕は十分生活できます。
その後彼は地元に戻って就職し直しました。現在は希望通りの仕事ではないけど奥さんと分相応の暮らしをしているとのことです。
僕の言葉はよほど彼にとって思い知るべきことだったのかもしれません。