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「鴻上尚史 のオープンワークショップ」へ参加した! その1


先週末、鴻上尚史さんが主催するオープンワークショップセミナーへ参加してきた。

私は過去に苦い過去を持つ演劇経験者だったりするわけではない。将来、異分野から演劇界へ入っていって革命を起こそうなんて野心を持っているわけでもない。そして現在足繁く観劇に通っているわけでもない。

「お前は何をしに行くの、3連休、東京、、、? 何をしたいの?何考えてんの?」
と東京へ向かう直前まで自分にツッコミを入れていた。


遡ること40年ほど前、私は受験生だった。TVはなく、深夜ラジオを聴く毎日だが、さすがに深夜3時を過ぎると途端に聞く番組がなくなるし眠くなる。ところが、オールナイトニッポン2部に何やら面白いパーソナリティーがいた。大学を卒業したて、気鋭の劇作家、鴻上尚史氏であった。今となっては何がどう面白かったのかはよく覚えていない。ただ、番組終了後に日比谷公園でゲリラ的にジェンカを踊りに集まろう(番組内では「お前ら絶対来るなよ!!」)という企てが今思うと時代のバカバカしい空気として痛快だった。あとひとつ。馬鹿な少年のリクエストで某芸能人が来局するのに合わせて写真集にサインをほしくて送付したものの、ニッポン放送の原稿用紙に丸っこい字大きな優しい文字で「ごめんね。」と一言添えて返送されてきた。世の中の仕組みがわかっていなかった。少しうれしく、すごく恥ずかしかった。

だからというわけではなけれど、小演劇ブームの寵児としての鴻上氏の活躍は時々耳にすることはあっても、演劇そのものに目を向けたことはなく、時が過ぎた。

その後、TVや新聞、雑誌での継続的な露出をするようになり、その発言には相変わらず楽しませてもらっていた。

「英国へ一年留学して、、、」
「あ、一緒じゃん、、」
共感と共に、TVで語る日本という国への違和感、憤り、不信感などなどとてもフォーカスの合う話ばかり。

そんな折、書店で「演劇入門〜演じることは生きること」という本を目にした。
「ん?」
たまたま、いろいろな職務上の理由から「演じる」ということの意味を考えていたときだった。鴻上さんの語る「演じる」は私が考えていた以上に広範で汎用性の高い概念と技術だった。
立て続けに自伝小説「愛媛県新居浜市上原一丁目三番地」が発刊され、私は不覚にも落涙した。翌年、奇跡のように「朝日のような夕日を連れて」の再演が大阪で行われ、、、。

演劇には無縁の私が誘われるように、この数年鴻上ワールドへ急接近していった。


私が会場に到着すると鴻上さんは赤と黒のジャージを着て靴箱の前にいた。
モゴモゴとでもここはさりげなく「よろしくおねがいします」というと、やや無愛想気味に「おはようございます」。ここは昼でもおはようございますの業界だったのだ、ということにヒヤリとして会場内へ。

20人くらい。もうほぼ集合か?中にはストレッチをしている明らかなプロ仕様の方々も数名。素人はいるのか?俺だけか?最年長は俺か?一番最後の到着は俺か?
不安と緊張のため自意識はマックスへ。そしてそののピークは最後の空席はおそらくは講師の横の一席だと気がついたときだ。
ワークショップの注意事項などがアシスタントから説明されたのち、いきなりウォームアップが円陣になって始まる。鴻上さんは当然私の隣だ。

アイスブレークの行き当たり上、私たちは手を繋ぎ、膝のうえに乗ることになった。
これが三日間のワークショップの始まりだった。


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