「サッカー」を、もっと知りたい。
足————それは脳から一番遠い。
脳がメッセージを出し、人間の体は動く。脳から近ければ近いほど繊細な動きができる。手のほうが、足より器用に動かせる。
手でボールを扱うスポーツを想像してみよう。野球、ハンドボール、バスケットボール、ラグビー。
それらはどれも、ルールによる規制が多い。
攻守がルールによって決まっている。三歩以上歩いてはいけない、前にパスをしてはいけない。
何でルールが増えてしまうのか?
手でボールを扱うと「ミス」が起きにくいからだ。
「ミス」が起きなければゲーム内容は停滞してしまう。展開が変わらない。
だから、トランディション(攻守の切り替え)をルールによって意図的に作りだす必要が出てくる。
ドリブル、ボールの運び方をルールによって規制しなければ、試合が進まないのだ。
もちろん、だからといってこれらのスポーツが魅力的であることには変わりない。
スポーツの魅力は、一面だけを見たって語れないから。
でも、もう少し同じ見方から、僕たちのサッカーを考えてみよう。
ルール。
「ボールを手で扱ってはいけない」
それだけ。
もちろん「オフサイド」なんてルールもあったりするけれど、それは歴史的にみてもサッカーの誕生から何十年もあとに生まれた派生的なルールだ。
なぜここまでルールがシンプルか?
足で扱うスポーツは、「ミス」が多いからだ。
冒頭でも言った通り、脳から離れすぎていて足は手ほど器用に動かせない。
当然、ボールを思い通りにコントロールできない場面が増える。だから、ルールによって制限しなくても勝手にトランディションが起こる。
だから、サッカーはこんなにもシンプルなのだ。
————そう考えると、「ミス」って本当に「ミス」なのか?と思う。
だれかの「ミス」が、巡り巡って僕たちの自由に繋がっている。
だれかの「ミス」があるから、ゲームはますます楽しくなる。
「ミス」=ネガティブ?
そもそも、「ミス」は前提であったスポーツだったはず。
そんなのを、ネガティブに捉えて、くよくよしていてもしょうがない。
「ミス」を、失敗を、愛そう。
そうすれば、先に進める。
そうすれば、自由だ。
僕たちのサッカーのように。