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妊娠出産で大切な事

クリニック、病院、助産院、自宅。
自然分娩、帝王切開、無痛分娩、和痛分娩。
医師の人数、助産師の人数。
立ち合いする、しない。

分娩にも色々ある。
先日、初産の褥婦さん(産後のママのこと)とお話していて、
「私はオークスで産めて本当に良かったです」
と言ってくださり、
温活ケアの途中だったので深掘りして聞かせていただくと。

同じような時期に同僚(看護師さん)が他のクリニックで分娩して
何か問題があったのか、途中で無痛分娩に切り替えた。
思ったほど痛みはとれなかった上に、最終的にはお腹を押されながらの吸引分娩になったと。
わけもわからず、パニックのままに分娩が終わり、終わった後は会陰切開のあとの痛みと腹部を押された部分の打撲のような痛みがとても辛いと。
そして、もう二度とお産はしたくないと泣いていたというのだ。

お産というのはその現場にいたものにしかわからない事が多いので、
見てもない私は何も言えることは無い。
赤ちゃんとお母さんの安全のために、そこにいた人たちがベストを尽くしたものと信じている。

開業9年になった私たちだが、吸引分娩はおろか会陰切開さえ年に1回あるかないか。そもそも分娩セットの中に会陰切開のハサミは入っていない。
規模が小さいので分娩数も違うし、無痛分娩もしていないので他院とは比べようもない。
もしかしたら、人によっては陣痛の辛い思い出が残る人もいるかもしれない。

どんな方法をとったとしても、全く何事もなかったかのような楽な分娩はないと。二度といやだと思わせるような分娩になる可能性は、どこの施設にだってある。前にも書いたが、思い通りになる事の方が少ないのが妊娠出産育児なのだ。

私は、お産で最も大切なことは、
無痛分娩の是非でも、吸引分娩の是非でも、会陰切開の是非でもなんでもないと思う。

分娩が始まってから新生児期が終わるまで。
いかにお母さん自身が、大切にされたと感じるか。
これに尽きると思う。

無痛分娩とは言え、会陰切開、吸引分娩、腹部の圧迫、、思ってもいなかった経過は本当に辛かったと思う。聞いただけでお股もお腹もキューンと痛くなる(共感性が強すぎるw)。計画無痛分娩で、最終的にその医療介入があるかもという覚悟があれば多少違ったのかもしれない。

そこまでの時間、パパとママと看護師助産師がワンチームで
赤ちゃんに会うために協力し合ってがんばって
大切にされている実感があれば。
致し方ない経過でそうなった時
よくここまで頑張ったよね、もうちょっとで赤ちゃんに会えるよ
でも今のままじゃ出られないかも!
会陰切開、吸引ってこういうことだよ、
怖いけど、しんどけど、一緒に頑張ろう!
ごめんね、お腹おさせてね!
そういう経過で同じことになっていたなら

部屋に帰ってお産を振り返ったときに、
自分がいかに頑張って赤ちゃんを助けたのか
ボロボロになって痛む身体に、理由があれば。
それを一緒に振り返って讃えてくれるチームがあれば。
ママを誇りに思ってくれる夫たちが言葉で態度で優しさで支えてくれたら。

もう二度とお産をしたくないと涙を流すことにはならなかったかもしれない。

クリニック側の気持ちも勝手に考えてしまう。
どんな状況だったかはわからないが、そんなことを思わせたいと思っている人間はいない(多分)。その人たちなりの「大切」が、きっとそこにあったと思う。でもそれが何も伝わっていないことにもどかしさを感じる。可哀そうにも感じる。

当然のことながら
私たちがその人にできることは何もないのだけれど。
私たちの妊婦さん産婦さん褥婦さんを、大切に、大切に。
支えていかねばな、と思う。

また生みたいって、言ってもらいたいから。


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