コストでプロジェクトを管理するEVMとは
外資系企業でソフトウェアエンジニアをしております、タロイモと言います。今日もよろしくお願いします。
プロジェクト管理手法としてよく利用されるのが、WBSやPERT図です。
これらは時間軸(スケジュール)でプロジェクトを管理します。
それに対してコストとスケジュールで管理するのが、EVM(Earned Value Management)です。
コストで管理することでどんなメリットがあるのでしょうか。
今回はEVMのメリットとデメリットについて紹介します。
1. EVMとは
EVMは予算(コスト)と予定(スケジュール)の観点からプロジェクトがどのように遂行されつつあるかを定量的・客観的に評価し、コスト効率と進捗率を一度に把握するためのプロジェクト管理の技法です。
PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)にも言及されており、スケジュールに重きをおきそうになるプロジェクトにおいて、コストも同時に管理するという点で画期的なものであると思います。
具体的には以下のように表とグラフで可視化し、管理します。
以下のデータは8月時点でプロジェクトのコストが想定コストを上回り、かつ予定に遅れがある悪い状態です。
・プランド・バリュー(計画価値) (PV, Planned Value)
プロジェクト開始当初、現時点までに計画されていたワーク・パッケージに対する予算の累計額。
・アクチュアル・コスト(実コスト) (AC, Actual Cost)
現時点までに完了した作業に対して実際に投入したコスト。
・アーンド・バリュー(達成価値/出来高) (EV, Earned Value)
現時点までに完了した作業量を、プロジェクトの総予算で換算したコスト。
EV = BAC(プロジェクトの総予算) × 作業進捗率。
・スケジュール効率指数(SPI, Schedule Performance Index)
どの程度、予定に対して進捗しているかのコスト割合。
SPI = EV ÷ PV(1以上であれば良好・現時点でのスケジュールは予定よりも早く進行している)
・コスト効率指数 (CPI, Cost Performance Index)
どの程度、投入したコストに対して成果を上げているかの割合。
CPI = EV ÷ AC(1以上であれば良好・現時点での実コストは予算以内に収まっている)
(Wikipediaより)
このようにコストとスケジュールを一眼で管理することができます。
2. EVMのメリット
EVMはプロジェクト開始時に予測した計画と実際の成果を比較し、完了時までにどれほどのリソースが使用され、どれくらいのコストがかかるかを見積もることができます。
この未来のコストとスケジュールの2つの面から方策が打てるというのは、大きなメリットだと考えられます。
なぜなら、WBSやコスト管理単体を見るだけでは、わからない具体的なことが分かってくるからです。
例えば、WBS単体でスケジュールが遅れていると言われれば、コストさえかければリカバリーできると考えられますし、
コスト管理手法単体でコストがかかっていると言われれば、スケジュールさえ伸ばせばコストを削減することができると考えられてしまうからです。
コスト・スケジュールの両方が分かれば、具体的な原因が分かり、適切な対策を打つことができるようになります。
3. EVMのデメリット
デメリットというよりもできない点が存在します。
⑴品質が管理できない
コストとスケジュールの点でプロジェクトを管理するため、別途、他の管理手法を用いて品質基準の管理をする必要があります。
⑵クリティカルパスを無視している
後の工程に重大な影響を与える重要な作業も、他の重要度が低い作業と同じように管理されるため、クリティカルパスな作業が遅れた際に適切なリソース投入をすることが難しいです。
4. まとめ
今回はプロジェクトをコストとスケジュールの両面から管理するEVMを紹介しました。
EVMは単体でプロジェクトを管理することは難しいですが、他の手法と組みわせることで強力なツールになります。
EVMを使い将来を見積もることで、現時点の最善な対策を行い、プロジェクトを円滑に進めていきましょう。
本日もご精読ありがとうございました。