渋柿と甘柿の味はどう違う?柿の味わいと食感を分析してみた!
みなさん秋の果物といえば何を思い浮かべますか?
ぶどうや桃など、秋は多くの果物が旬を迎える季節です。その中で、今回は「柿」の味わいを分析していきたいと思います!
柿といえば「甘柿」や「渋柿」という言葉をよく耳にしますが、実際に味や食感にはどのような違いがあるのでしょうか? また柿の渋さは何が原因なのでしょうか? 柿に詳しくなっちゃいましょう!
柿ってどんな果物?
柿は10月中旬から11月にかけて本格的な旬を迎える果物で、日本では和歌山県や奈良県が生産量の多くを占めています。原産は東アジアで、日本にもたくさんの在来品種が存在します。
みなさんは「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざを知っていますか? 柿が赤く色づいて人々に食べられるようになると、病人が減って医者が困ってしまうという意味のことわざです。
こんなことわざが生まれるほど、実は柿の栄養価は高いんです!
特にビタミンAやビタミンCが豊富に含まれていて、風邪の予防にも効果を発揮すると言われています。なんとビタミンCはみかんなどの柑橘類の約2倍も含まれているのだそう!
柿は甘柿と渋柿に大きく分けられ、さらに甘柿は「完全甘柿」、「不完全甘柿」、渋柿は「完全渋柿」、「不完全渋柿」に分類されます。
完全甘柿:種が入らなくても渋味が抜ける。甘みが強い。
不完全甘柿:種が多く入ると渋味が抜ける。渋抜きして出荷される。
完全渋柿:種が入っても渋いまま。渋抜きをすると甘みを感じられる。
不完全渋柿:種が入ると種の周辺だけ渋味が抜ける。渋抜きをすると甘くなる。
今回は4つの分類それぞれの柿を一品種ずつ分析して味と食感を比較してみます!
それでは分析の結果を見ていきましょう。
味わいを比較してみた!
今回調査した柿は以下の4種類です!
完全甘柿:次郎柿
不完全甘柿:愛知県産ふで柿
完全渋柿:鳥取県産西条
不完全渋柿:和歌山県産黒あま紀の川(平核無柿:ひらたねなしかき)
上のグラフは未熟な味わいに通じる複雑味・素材感と甘さのバランスを表したものです。
今回の結果を見てみると意外にも、甘柿と渋柿で甘さに大きな差はありませんでした。また検証に使用した味覚センサでは柿の渋味成分のタンニンが一部捕捉しきれない部分がありましたが複雑味の評価は可能で、品種ごとに差が出る結果となりました。
驚いたのは、渋柿の甘さは甘柿とあまり差がない点です!
甘柿と渋柿の違いは柿の中にある、溶けると渋味を感じさせるタンニンという成分が水溶性かそうでないかにあります。渋柿は口の中で水溶性のタンニンが溶けだし、渋味を感じさせています。甘さがあまり変わらないのに甘柿が甘く感じ、渋柿が渋く感じるのは、渋柿に含まれる水溶性のタンニンが甘さを感じにくくさせているからと考えられます!
もちろん渋柿の渋味を抜いて甘くする方法もあります。いわゆる「渋抜き」です。渋柿を干して干し柿にするほか、アルコールや炭酸ガスを使って処理することで渋抜きができ、タンニンが不溶化するため渋味を感じなくなり甘くなるそうです。
食感を比較してみた!
次は食感を見てみましょう。柿の食感はさまざまで、シャキシャキとしたものやトロトロしたものなど、品種によってさまざまです。食感によって柿の好みが分かれる人も多いのではないでしょうか?
今回はさきほどの4種類の柿の硬さを調べてみました!
結果を見ると、品種によって硬さが異なることがわかります。
特に一番硬い「和歌山県産黒あま紀の川」は、食べてみるとごりごりとした印象の食感で、甘さはありながらも素材感が強い味わいでした。
「次郎柿」と「愛知県産ふで柿」は同じくらいの硬さで、食べてみるとしっとりとしたみずみずしさもある印象でした。
「鳥取県産西条」は4種類の中で最も柔らかいという結果でした。味分析では複雑味・素材感が控えめとなっていましたが、食感が柔らかいことで満足感につながるのではと考えられます。
食感の違いを感じながらいろんな品種の柿を食べ比べするのも面白いかもしれません!
まとめ
甘柿と渋柿の甘さにさほど差がないことは驚きでした。品種ごとに味の違いと食感の違いがあるのも面白い結果となりました。果物である柿ですが、素材感の強いもの、食感の硬いものはサラダなど野菜と一緒に食べるのも良いのではないでしょうか。
旬本番を迎え、スーパーや八百屋で多くの柿を見かける今の季節、ぜひ手に取って品種ごとの味や食感の違いを楽しんでみてください!
秋の味覚を堪能していきましょう! では次回もお楽しみに!
注)柿は青果物のため個体間差があり、別の測定では異なる結果となることがあります。