なぜ猫はちゅ〜るが好きなのか、科学的に検証してみた
こんにちは!味香り戦略研究所です。
味香り戦略研究所では、食品の分析を行っています。この「食品」はおおむねヒトが食べるものを指すのですが、今回は事例が少ないペットフードの分析に挑みました!
分析サンプルは、いなばペットフード「CIAOちゅ~る」を中心に、ウェットタイプのまぐろ味猫フードをチョイス。シーバやモンプチ、銀のスプーンなども分析しました。猫に人気のブランドが揃っていますので、ぜひ猫さんにも見ていただきたいレポートです!
猫が感じている「味」とは?
まず最初に、猫の味覚について。猫は肉食動物なので、ヒトとは異なった味覚を持っているようです。(猫の方はご存知かと思うので読み飛ばしてください)
人間は甘味、うま味、塩味、酸味、苦味を感じ、これを基本五味とされます。猫の味覚はうま味、塩味、酸味、苦味で構成され、とりわけ酸味と苦味に関してはヒトよりも敏感に感じ、嫌がる猫が多いと言われていて、食べ物の腐敗や体にとって有害な毒となるものを避けるための進化だと考えられています。また、猫はアミノ酸を人間と同様に「うま味」として感じ取るとされていますが、これも肉から摂れる栄養に関連すると思われます。
今回の分析では猫の味覚を念頭に、猫がより敏感に感じる「酸味」と「苦味」、そして「うま味」に注目しました!
猫フードの「酸味」と「苦味」
各フードを味覚センサで測定し、「酸味」と「苦味」のバランスをグラフに表しました。
グラフの左下の方が、酸味・苦味ともに弱いものです。
ちゅ〜るを含むおやつ用の3商品が左下にあることから、猫が嫌がる酸味・苦味を抑えてあることがわかります。良薬口に苦しと言いますが、おやつには思いっきりおいしいものを食べたいですね!
注目要素のひとつ「うま味」もグラフにしてみました。
ちゅ〜るのうま味を100とした場合の、各商品のうま味の強さを表しています。
一目見てわかるのは、ちゅ〜るのうま味がもっとも強いこと!猫が好む味「うま味」の一位がちゅ〜るです。
銀のスプーンはおやつ用と食事用の2アイテムありますが、うま味の強さでは同じくらいでした。おやつ用と食事用(+共用)を比較すると、やはりおやつ用の方がうま味が強い傾向にあります。
ちゅ〜るの味覚分析をしてわかったことは、
猫が嫌う「酸味」「苦味」が控えめ
猫が好む「うま味」が際立って強い
つまり、ちゅ〜るは猫が好きな味でできていると言えるでしょう。
猫はちゅ〜るの“におい”も好き?
さらに今回は、においについても分析してみました。分析にはHS-GCMSを用いて、香気成分(においがする物質)を分析し、猫人気に影響しそうなにおいを探ります。
結果がこちら!
赤身魚に特徴的な香気成分と、脂質臭に寄与する香気成分、どちらもおやつ用は割合が低く、においも控えめと考えられます。
ペットフード、特にドライフード(カリカリ)はにおいが強いことが多いのですが、魚に関して言えば、新鮮な方がにおいは弱く、鮮度が低下してくると酸化が進むなどして、魚臭や脂質臭が強まることがわかっています。
それらを考えると、ちゅ〜るはにおいが弱いことで“新鮮さ”を演出し、猫の人気を獲得しているのではないでしょうか?
分析をしてみて
機器による科学分析では、食べずとも味わいがなんとなくわかる便利さというのを実感しますね。筆者の家猫も文字通り飛んでくるほどちゅ〜るが好きなようですが、猫はそのおいしさを人間には教えてくれません。これまで気になっていたちゅ〜るの秘密が少しだけわかったような気分です。
分析した商品を並べて、今度は猫に好みを聞いてみるのもおもしろいかと考えています。素直に教えてくれれば良いのですが…🐱