水より炭酸水で取る「干ししいたけだし」の方がうま味が強かった!
家庭から高級料亭まで幅広く使われている「だし」。だしは日本の和食文化にとって欠かせない存在です! 鰹節や昆布など、様々な食材からだしは取られ、たくさんの料理に使われていまね。
その中で今回は「干ししいたけ」に注目したいと思います!
抽出条件の違いによる、しいたけだしの味を調査してみました。
調査結果だけ知りたい方は味分析の結果を見てみようからご覧ください!
「しいたけ」について
しいたけはだしが取れる食材として知られているのはもちろんのこと、そのまま焼いたり、鍋の具材にしたりと幅広い料理で使うことができ、国内だけではなく海外でも人気を伸ばしているんです! 海外ではヴィーガンやベジタリアンなど、菜食の人たちからも注目されています。
だしを取る食材としての「しいたけ」はどのような歴史を持っているのでしょうか?
しいたけに関する記述は室町時代にはすでに登場しており、江戸時代には「しいたけだし」の取り方をまとめた記述が見られます。しいたけは古くからだしを取る食材として使われていたのですね。
■「生しいたけ」と「干ししいたけ」
ところでしいたけには「生しいたけ」と「干ししいたけ」がありますが、だしを取るのは「干ししいたけ」だけからです。なぜなのでしょうか?
答えはうま味の強さの違いにあります! しいたけは乾燥させることにより「グアニル酸」を生成します。このグアニル酸は三大うま味成分の一つであり、干ししいたけはグアニル酸の含有量が多いことで生しいたけよりもうま味が強くなっています。
さて、今回はそんな「干ししいたけ」のだしで抽出条件によってだしの味はどう違うのかを調査してみました!
しいたけの品種、抽出に用いる水、抽出方法を変えながら取っただしを味覚センサーで味分析します。
味分析の結果を見てみよう
今回は2種類のしいたけを用いて調査を行いました。
干ししいたけは大きく冬菇と香信に分けられますが、傘が七分開きにならないうちに採取したものを冬菇、七分開きになってから採取したものを香信と言います。
実際に味分析の結果を見てみましょう。大きく3つのことが分かりました!
上の図はうま味とその余韻のバランスを表したものです。
1. 純水よりも炭酸水で抽出したほうがうま味とその余韻が強くなる
炭酸水で抽出した香信のだしが最もうま味とその余韻が強いという結果になりました。また冬菇においても炭酸水で抽出した方がうま味とその余韻が強い結果でした。
2. 香信のほうが冬菇よりもうま味が強い
いずれの抽出方法でも香信のほうが冬菇よりも味が濃く、うま味が強いという結果になりました。これはしいたけの形の違いによると考えられます!
香信のほうが傘が開いていることで肉が薄いため、だしが抽出されやすいのだと考えられます。
3. 熱湯より冷水で抽出したほうがうま味が強い
だしを取るときは熱湯で煮立てることを想像しませんか?
しかし実際にグラフを見てみると、冷水で時間をかけて抽出しただしは温水または熱湯で抽出しただしよりもうま味が強くなっていることが分かります。
図は香信と冬菇それぞれのだしの抽出方法による味バランスの違いを示したものです。
どちらのしいたけも炭酸水で抽出しただしは純水で抽出しただしに比べて雑味・コクが少なく、うま味が際立つ味わいになっていることがわかります。
まとめ
干ししいたけのだしは抽出方法によって味が大きく異なることが分かりました!
炭酸水で抽出しただしが純水で抽出しただしよりもうま味が強いことがとても意外でした。炭酸水で抽出しただしは雑味・コクが弱く、うま味が際立つ味わいであるので、お吸い物のような上品なだしがメインになるような料理に向いているかもしれませんね!
また温水よりも冷水で取っただしのほうがうま味が強いことがわかったので、ぜひ家庭で干ししいたけからだしを取るときは冷水でじっくりと長時間かけてだしを取ってみてください!
昆布だしも同じように、昆布の種類、抽出方法を変えてだしを取り、味分析を実施しました。「だし」つながりで、昆布だしの記事もぜひ読んでみてください!