【365日のわたしたち。】 2022年5月25日( 水)
涙の数だけ、強くなれるよ
隣の40代くらいの男性が口ずさんだそのメロディーは、今一番私がほしいと思っていたフレーズを頭に届けてくれた。
今から新幹線に乗って、地元の田舎から大阪へ戻る。
数日前に父から電話があり、母が倒れたことを知った。
急いで地元に帰ったけれど、もうすでに遅かった。
母とは、記憶に残すべき最後の会話というものを交わすことができなかった。
1日思い切り泣いた後は、葬式だお墓だと泣く間もないほど忙しく、バタバタしていた。
時々、目に滲んだ涙がこぼれたりはしたけれど。
そして今日、余韻に浸る間もなく、また一人暮らしをしている大阪に戻る。
仕事をいつまでも休んでいるわけにもいかない。
社会人とは、なんて辛いのだろう。
そんな風に日常に絶望していた時だった。
そのメロディーが耳に届いたのは。
涙の数だけ、強くなれるよ
何もかも出し尽くして空っぽのような私に、
その言葉がじんわりと沁みていくのだった。