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365日のわたしたち。

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365日。 自分にとってなんでもない1日も、 誰かにとっては、特別な1日だったりする。 反対に、 自分にとって特別な1日は、 誰かにとってどうでもいい1日だったりする。 い…
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#雨

【365日のわたしたち。】 2022年4月25日( 月)

月曜日は憂鬱だ。 これから始まる灰色の5日間を象徴するかのような曇り空に、ぱらつく雨。 電車は湿気で余計にムワムワするし。 湿気たスーツや服って、なぜあんなに独特の匂いを発するのだろうか。 2ヶ月くらい前の雨の日も、俺は同じようなことを考えながら電車に乗った。 その時に、あの人を見つけたんだ。 一人、空気が違う人。 雰囲気って意味でもそうだけど、本当にあの人の周りだけ空気清浄機が置かれているんじゃないかってくらい、周りの空気を澄ませている人。 湿気なんて、熱気

【365日のわたしたち。】 2022年4月14日(木)

「春の雨は好きなの。」 そう言った彼女のことを思い出す。 もう30年近く前なのか。 彼女と俺は、大学の同級生だった。 学部は違ったけれど、軽音サークルで出会った俺たちは、同じベース志望だったこともあり、自然と一緒にいる時間も長くなり、どんどんと仲良くなっていった。 最初は恋愛感情なんてお互いに全くなく、お互いの家を行き来しては、ベースがかっこいい曲のカセットを貸し借りし合っていた。 それがいつからなのか。 暇つぶしみたいに男女の関係になっていったのだった。 付

【365日のわたしたち。】 2022年3月31日(木)

今年の3月31日は雨が降っている。 去年はとても晴れやかな1日だったな、とふと思い出す。 私は、隣の席でデスクの中を整理する先輩のガタガタという音を左耳で聴きながら、必死で仕事をしているふりをしていた。 海外転勤の決まった先輩は、来週出国するとのことで、最終出社日の今日、自分のデスクを片付けに来たらしい。 「デスクの片付けが終わり次第、また家に戻って荷造りをするので、これが出国前最後の挨拶になると思います。でもまぁ、またテレビ会議とかでお会いすると思うので、引き続きよ

【365日のわたしたち。】 2022年3月22日(火)

雨に濡れた傘を、傘袋にしまうのが嫌いだった。 それまで冷たい雨から守ってくれていたくせに、指先が冷たく濡れるのを感じると、最後の最後で裏切りを受けたような気持ちになる。 こんなこと、きっと誰に言っても「わがままだなぁ」と笑われて終わるのだろうと、誰にも話したことはなかった。 わがままに聞こえるかもしれないけれど、 もし胸の奥に「ココロ」というものがカタチあるのだとしたら、 その「ココロ」が、声も上げずにただ涙を一雫こぼすような気持ちになるのだ。 彼にはそんな気持ち

【365日のわたしたち。】 2022年3月19日(土)

雨がしとしとと降る帰り道はいつも嫌いだ。 雨に濡れる手がだんだんと悴んできて、 横を猛スピードで過ぎ去っていく車が、私よりも早く暖かい家に辿り着くかもしれないことを想像すると、どうしようもなくやるせない気分になってくる。 だから、この傘を買った。 小さな星が一面に散らばって描かれたその傘は、20代後半の私が持つには少し可愛らしすぎると思った。 だから買う時も少し躊躇したのは、言うまでもない。 それでもなんだか諦めきれず、おずおずとレジのカウンターに差し出したのだっ

【365日のわたしたち。】 2022年3月18日(金)

雨の日は、偏頭痛がひどくなる。 気圧のせいとかなんとか聞くけれど、どうにかしてほしいものだ。 ただでさえ洗濯物が乾かないし、 子供達はきっとドロドロの靴とビショビショの靴下で帰ってくるだろうし、 旦那のスーツはクリーニングに出さなきゃいけなくなるだろうし、 イライラすることだらけなのに、 その上、頭痛で頭も体も重くなる。 早く買い物に行かなくちゃいけないのに、身体がいうことを聞かない。 そうだ、雨が小降りになったら向かおう。 そういう条件をつければ、きっと動