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社内の理想エンジニア像が変わったという話

こんにちは、たっそです。たまにはエンジニアらしい書き物でも、と思い立ったので弊社の「理想のエンジニア像」が変わってきたという話をしましょう。


はじめに

まず始めに「理想のエンジニア像」という定義自体があまり意味を成さないと言うか、個人の理想像は人それぞれです。故にこの記事で書かれる内容は「会社側がテクニカルサポート業務に携わるエンジニアに対して求めている人物像」として捉えてください。私個人の理想像もそうですし、世界でエンジニアとして働いている人の総括は無理があるので、色々割愛します。

結論だけ読みたい人向け

  • 昔は「技術力が至高」だったが最近は「協調性も大事」になった

  • 尖りすぎたエンジニアは会社にとって使いづらい

  • サービスを長く使ってもらうためにはエンジニアの質が大事

  • 言いなりになれ、というわけではない

これまでのエンジニア像

「エンジニアたるもの技術力こそ至高であり指標であり目標である」というのが一昔前の弊社のエンジニアに対する人物像でした。エンジニアとして業務に携わる以上、関わる製品の事は深いところまで知っているべきでしたし他の誰よりも製品や構成される技術に詳しくないといけない、といった風潮がありました。この根幹は今でもあまり変わっていません。

故に社内で評価されるのは技術力がある人、というのがこれまでのエンジニアに対する評価軸です。ただ「技術力がある」というのはやっかいなもので評価の難しい指標です。何故なら「誰が見ても正当な評価」として「技術力がある」というのは非常に曖昧な尺度であり、数値化して表せるようなものではないので。

その結果どうなったか、というと「非常に尖った人たち」が生まれました。自分たちの担当製品に関する技術・知識を磨いてさえいれば良く、どんな難解な技術的質問にも答えられるという一方で、コミュニケーションがあまりうまく取れず、ルールを守っているのだから何も問題はない、という形です。

また、このような人たちがそれなりに生まれた結果対面するパートナやエンドユーザ、果ては社内から問題提起されるようになり、「扱いの難しい人間」というレッテルが貼られることになります。ある意味技術者は偏屈というか尖ってナンボみたいなところはあるんですが、会社という組織で働く以上やはり尖りすぎているのも良くない、という形で変化していきます。

今求められているエンジニア像

そして時代は代わり、統率者が代わり、求められているエンジニア像が変化します。求められるレベルが一段階上がった、ともいうべきでしょうか。

一言で言えば「技術力は持ってて当たり前で協調性のあるエンジニア」が理想像という形に変化します。

自分が扱う製品のことは知ってて当たり前。ただ、高難易度の資格試験に合格できるような一番深いところまでは不要だけど「エンドユーザに寄り添った対応ができるかどうか」という協調性が求められる形になりました。

会社としては製品販売後、長く使ってもらうことが理想です。そのため販売後の主な問い合わせ窓口になるテクニカルサポートの「質」が大事になります。サポートである以上一定の技術力は必須事項であり、そのうえでエンドユーザの意図を汲み取り、より柔軟な対応ができる人間が求められるようになりました。つまり協調性でありコミュニケーション能力です。

これに合わせて評価の軸や昇進のために技術力だけ磨けば良い、というわけではなくエンドユーザから返ってくる問い合わせ結果のフィードバックも評価の指標となりました。明確に問い合わせ対応を行った結果が数値として返ってくるので、評価する側もわかりやすくなった、ということですね。

時代の変遷

今IT業界で起こっていることは「使い勝手の良い製品を作って売る」だけではなく「長く使ってもらうためのサービスを提供する」という形にシフトしています。わかりやすく言えば、サブスク商売ですね。

一番わかりやすいサブスク商売はライセンス商売です。
大掛かりなシステムの導入等が不要なので初期費用がいらず、ライセンスの契約だけすればサービスを利用できるような形態です。例としてはアンチウィルスやWeb会議などそれなりにありますね。

この商売形態は売っている会社側からすると「常に一定額の利用料金が売上として計上できる」ので安定した収入源として考えられています。機器を売って終わり!みたいな商売とは真逆です。利用するユーザも「使いたいときに使いたい量だけ使える」ので初期費用がかからずに手軽に使うことが出来ます。

一方でサブスク商売で長く使ってもらうためにはサービスそのものもそうですが、問い合わせ窓口の質が大事になります。せっかく愛用した製品があるのに問い合わせ窓口がゴミみたいな対応してくると使う気失せますよね?それと同じ理屈で、エンジニアの対応が殿様みたいに何もしてくれず融通も利かずだともうそれだけで売上を失うことに繋がります。

会社の顔である以上、塩対応をしてしまうような扱いが難しいエンジニアというのはそれだけで評判が悪くなる要因の一つ、ということですね。

言いなりになってはいけない

技術力だけではダメだ、というお話でした。エンジニアも協調性が求められる時代なのか…と私は頭を抱えたものです。

ただ、気をつけなければいけないのは「エンドユーザの言いなりになれ」というわけではありません。製品やサービスを正しい形で使っていただいた上で柔軟な対応が必要なのは理解できますが、例えば間違った使い方をしてるユーザのクレームを全て受け入れるかというとそうではありません。

間違っているということを指摘するのも製品・サービスを提供している会社の努めです。カスハラをしてくるようなエンドユーザはむしろ不必要ですし、そういったユーザとの関係を維持することは不健全であり何も良いことはないのです。むしろお断りして辞めてもらうくらいがちょうどいいでしょう。

実際この手の「不健全な付き合いをするかどうか」については「辞めてしまえ」と言う上層部は私の会社にそれなりにいます。ビジネスにおけるユーザとの関係は常に対等であるべきで「お客様は神様」といった考えは必ず誰かが不幸になります。このあたりを割り切っているのはさすが外資系だなという心情です。

さいごに

いかがでしたでしょうか。
方針転換があった際には「協調性ねぇ」と思ったものでしたが、社会で生活している以上はやはり人付き合いを気をつけねばいけないものなんだなと実感しています。

若い頃こそ「技術力があれば人付き合いなんて適当でいい」とか「ゲームが上手ければ何してもいい」みたいな時代はありましたが、今はそういう時代でもないのだなと。単純に歳を取ったから、というわけではなくなっているようです。

最後まで拙い文章を読んで頂きありがとうございました。
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