宇宙刑事ギャバンの歌詞には人生のだいたい大事な事がつまっている?!
少し昔の特撮やアニメの歌にはシンプルで人気の高い曲も数々あるのですが、特に特撮ソングでは鉄板扱いとなっているメタルヒーローシリーズ第1作、宇宙刑事ギャバンのオープニングが、今回取り上げる歌詞。そのまんま「宇宙刑事ギャバン」ってタイトルの曲名になっております。
歌い手は富士サファリパークのCMやキン肉マン、多くの80年代の特撮ソングでもお馴染みの串田アキラ氏。
作曲は今年惜しくも亡くなられた 渡辺宙明氏、数多くの 劇伴音楽を手掛けられており、作詞の山川啓介氏もニューミュージック全盛の当時数多くの作詞を手掛けられていました。
1番がアツい!
男なんだろ?から始まる訳ですが…この段階で女性は省かれるのか??という事なのですが、ギャバン放送当時であれば、この歌詞のテーマはそのまんま男性にのみ当てはまる事だったのでしょう…
(実際ギャバンは、前番組が女の子向けで好評を博していた所をあえて男子ターゲットメインでいこう!と打ち出した作品でもあるらしくそれがストレートに歌詞に出ていたとも言えます)しかし、令和になった現在、この歌詞で歌っていることは人類普遍、男女の別なく、時代にも関係ない明確でシンプルなメッセージだと言えるでしょう!
胸にエンジンに火を付けろ…などやる気スイッチを喚起させる言葉が続いた後に、俺はここだぜ一足お先、光の速さで明日へダッシュさ←ここです。
かの有名な「 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し急ぐべからず」と説いた徳川家康公の考えを歌詞に起こした水戸黄門では一歩一歩踏み重ねることの大事さを説き、後から来たのに追い越され、泣くのが嫌ならさぁ歩け、と諭すわけですが、これを前提で踏まえた上でギャバンの歌詞ではさらに早く、いやあえて?
「光の速さで明日へ」向かっている訳です。一歩一歩踏み占める事を通り越し、相当先からこちらを待っていて、早くこっちへ来いよと促している訳です。
松岡修造張りに熱い1文なのです。数年前、その死に様から謎のブームになった「起動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の団長オルガ・イツカが最後に放った「お前らの進む先に俺はいるぞ…だから…止まるんじゃねぇぞ」をそのまま先取りしている歌詞とも言えます。
実際現在の日本はAIやビッグデータという新しい分野の遅れから、諸外国に比べて所得は伸び悩み、少子高齢化に伴う様々な問題はほとんど手つかずのままそのままになっている状態。コツコツ積み重ねる意識とともに、決断の速さ、変化の速さは絶対的に求められる時代になっている訳です。
若さってなんだ振り向かない事さ、愛ってなんだためらわない事さ←最近はコンプライアンスや忖度に溢れ挑戦する事にリスキーな風潮が芽生えています。そんな挑戦を止め、ツケを明日に引き延ばす風潮を一括するようなシンプルなメッセージです。
最も独りよがりに突っ走りすぎて、他人との利害を犯してはいけないのですが…その辺に釘をさすメッセージは2番にまわされます。
あばよ涙、よろしく勇気←これは有名なフレーズですね、過去に囚われず、執着せずに明日へ目を向けろと言う特撮ヒーローもの王道のメッセージです。
本当に大事なのは実は2番だ!
悪い奴らは天使の顔して、心で爪を研いでるものさ←いつの世も、詐欺師や上手い話を持ち出す手負いは多く、所謂他人の善意を操って利を得ようとする輩は増えているものです。
自己愛性人格障害、サイコパス・ナルシスト・マキャベリスト。彼らはまさに善人や善意に満ちた顔をしながら、裏では他人を利害を操る狡猾な詐欺師の面を潜ませていると言われています。ここ、実はけっこー深い部分なんですね。
俺もお前も名もなき花を踏みつけられない男になるのさ←ヒーローものだと2番で愛を説くが王道のパターンなんですが、ここを少し持って廻した描写にしている事が上手いと思います。懸命に積み重ねた他人の気持ちや利害を汲んで、守れる存在になれよと説いてるんですね。
実はこの2番は、王道の1番を受けて補完している超重要な部分、なのですが…TV放映だと1番しか流れないというのがお約束(笑)
若さってなんだ振り向かない事さ、愛ってなんだためらわない事さ←その2番の歌詞を踏まえてからの繰り返されるこのフレーズが尚、強さを増すというものです。
ちなみに人生100年時代(政府が勝手に持ち出したスローガンですが)人の寿命もテクノロジーの変化に伴ってどんどん伸びていくという時代、老いを自分で定めなければいつまでも「若い」訳ですね。
あばよ涙、よろしく勇気←つくづく何か一歩を踏み出す時に、後押ししてくれるシンプルなメッセージだと思います。
と、いう事で、大人になるほど寧ろ逆説的に子供向けのシンプルなメッセージはより重みと真実味を持つぞ、というような話でした。それにしてもギャバンのOPは極めてシンプルなのに切れ味鋭い、ある意味確信を突いたような歌詞だと思っとります