令和6年予備論文再現答案(選択科目・労働法)
第1. 設問1
X組合は、Y学園による会議室の使用拒否が支配介入(労働組合法7条1項3号、以下法名略)にあたり、不当労働行為にあたるとして審査の申立て(27条1項)をすることが考えられる。
(1)Y学園による会議室の使用拒否は、支配介入として不当労働行為にあたるか。
アX組合としては、Y学園がX組合に対し会議室の使用拒否をすることで、組合活動の遂行を妨げ、労働組合の運営に介入するとしてこれが支配介入にあたると主張する。
イY学園としては、そもそも校舎の施設管理権を有すること、X組合以外との公平の観点から本件規定に従った取り扱いにしたにすぎないことから、支配介入に当たらないと主張する。
ウたしかにY学園は施設管理権を有する。そして、本件規定に従った取り扱いは平等の観点から必要かつ合理的とも思える。
しかし、組合活動での会議室使用の必要性有無は、団体交渉の経緯などにより直前まで定まらないから直前使用申し込みの必要性がある。また、X組合は従前の取り扱いを期待する立場にある。
これに対し、AはBに対し、10月30日に、X組合に対しても本件規定に従った取り扱いをするよう指示をした。Bは、経過措置をとることなく、11月1日のZからの申し出を拒絶したうえ、会議室の出入口を施錠して使用不可能な状態にした。なお、Zの希望する会議室使用日程において、他者の使用予定はなかったから、Y学園はここまでする必要性はなかった。これらと団体交渉でのXYの対立を踏まえると、事実上X組合の団体交渉対策目的での会議室使用を強行に拒否するであり、適切な施設管理権の行使とはいえない。
エしたがって、X組合の主張のとおり、Y学園による会議室の使用拒否は支配介入にあたる。
(2)支配介入は不当労働行為にあたるので、審査の申し立ては認められる。
支配介入が不当労働行為にあたるので、Y学園による会議室の使用拒否をやめさせる救済命令等(27条の12第1項)が認められる
第2. 設問2
Zに対する戒告処分が無効といえるか。
戒告処分は「懲戒」(労働契約法15条)にあたる。懲戒が有効となる場合は、懲戒の根拠となる就労規則があり、就労規則に客観的合理的に該当するといえ、懲戒処分に社会的相当性があるといえる場合である。
本件では、Y学園教職員就業規則39条に懲戒の規定があり、同条5項において「学校施設内」における許可のない「印刷物」の「配布」が禁じられているから、根拠となる就労規則がある。
そして、Zが校舎内において印刷物であるビラ配布をした行為は同項に該当するとも思える。もっとも、学校施設が多数の生徒が集合する場であること、同項の懲戒対象が集会や放送、掲示と並列していることを踏まえると、同項は、不特定多数の生徒を含む集団に対し、集会や放送、掲示等により集団の意思を扇動するような行為を罰する趣旨であると解すべきである。そうだとすると、印刷物の配布についても、集団の意思を扇動するような行為との同価値性がある場合に懲戒対象となると解する。Zの行為態様は、昼休みの職員室で職員室を訪れている生徒がいないことを確認し、ビラを配布したり机上に裏返して置くなどして、生徒の目につかない形で行われている。したがって、集団の意思を扇動するような行為には該当せず、むしろそのような影響力が生じないようにされた行為である。したがって、就労規則に客観的合理的に該当しない。
仮にZの行為態様が就労規則に該当するといえるならば、最も軽い懲戒処分である戒告処分は妥当とも思える。しかし、就業規則では「情状に応じ」処罰すると定めるから、行為態様が規定に該当したとしても処罰の必要性はない。そして、上述のとおりZの行為態様としては慎重なものであるから、「情状に応じ」るのであれば処罰すべきでない。したがって、懲戒処分に社会的相当性はない。
(3)したがって、戒告処分は有効ということはできず、無効となる。
3枚と少し、9/19作成
あまり覚えてないので再現もあっさり、、、もう労働法やめようとおもう