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2021年の10曲
毎年、一年間に聴いたたくさんの楽曲から、特に印象深い10曲を選んでいます。
2021年の10曲 ライナーノーツ
Bruno Pernadas - Step Out Of The Light
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"ポルトガルの鬼才"と呼ばれているらしい、Bruno Pernadasの新作「Private Reasons」は素晴らしくて何度も聴いた。実に多様な良き音楽の要素が入っていて、往年のStereolabやHigh Lhamasのことをちょっと思い出したりもする。自分の世代的にはこのサウンドの肌触りに落ち着くという方は多いのでは。
Caetano Veloso - Sem Samba Não Dá(サンバがなくちゃ)
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2020年末にも言ったような気がするけど、この厄災の時代にカエターノが元気に歌っていてくれて嬉しい。楽しそうに踊るMVを見た時になんだかすごく安心した。やっぱサンバがなくちゃ。
ご健在で音楽をやってくれていることが宝と感じる。来年以降もどうかお元気で。
Jon Batiste - ADULTHOOD feat. Hot 8 Brass Band
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Jon Batisteというアーティストのことは知らなかったのだけどディズニー映画「ソウルフルワールド」のサントラにトレント・レズナーと参加していて、Celesteとデュエットもしてる。これがよかったので、自身の作品を聴いてみると、SlyやPrinceやOutkastを思い出すようなごった煮ブラックミュージックで最高だった。ゲストにHot 8 Brass Bandを招いてるのもうれしい。
Rhye - Come In Closer
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2021年のはじめの頃にリリースされたRhyeの「Home」。彼の音楽は相変わらず日常にするっと滑り込んでくるような質感が心地よく、よくリピートしていた。特に先行で配信された「Come in closer」は感動的なストリングスが印象的で、早くから「2021年の10曲」リスト入りしていた名曲。MVも美しいね。
Jeff Parker - Suffolk
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Jeff Parkerのソロ作は毎回好き。前作は歌ものもあったけど、今作はギターのみ。あたたかいハーモニーと電子的なテクスチャーが心地よく、まるでアンビエント音楽のよう。この楽曲も映像とあわせて聴きたい、、、早くレコードで聴きたいなあ。
イ・ラン - よく聞いてますよ
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「2020年の10曲」では「患難の世代」という曲を選び7inch化を熱望していたが、今年のアルバムリリースタイミングでオンラインイベントなどご本人の人柄にも触れるにつれ、もっとファンになってしまった。
病気やお姉さんの自死など、ご自身にとってもまさに患難の季節を過ごしているであろう彼女の言葉や歌をこれからも聴き続けたい。
折坂悠太 - 윤슬(ユンスル) feat. イ・ラン
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Spotifyで「今年最も再生したアーティスト」と認定されたが、確かによく聴いた。先行して配信されていた楽曲から、次のアルバムへの期待は高まっていたけど、各曲の良さもさることながらアルバムとしてのまとまりや時代の空気を反映した作品性に感嘆した。ドラマタイアップでヒットしていた「朝顔」をあえて収録しないという選択も、この時代になんだか頼もしく感じる。レコードで聴くのが楽しみ。
Shin Sasakubo - Arorkisne, una cancion de febrero feat.Joana Queiroz
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秩父に笹久保伸というすごいギタリストがいるということは、「CHICHIBU」という作品が話題になってから知った。聴いてみようと思った時には既に遅しでLPもCDも完売、、、。(Sam Gendelとのスプリットアルバムは急いで予約した。)
アンデスの農村で音楽採集調査を行いながら演奏活動をしていたバックグラウンドにも強く惹かれる。アンデス音楽や秩父思想に関する講演も聴いてみたい。自分も西武沿線に住んでいるので、来年は秩父にいきたい。
Valerie June - Smile
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Valerie Juneの歌声は本当に安心する。前作よりもサウンドプロダクションがスケールアップ。フォーキーソウルを軸としつつも現代R&B的なアレンジやオーケストレーションが施され、ファン層が拡大したのではないかと思う。サウンド的にも聴きどころの多いアルバムだったけど、芯にある彼女の歌が素晴らしいことがやはり強い。
KIRINJI - ただの風邪
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今作から堀込高樹のソロプロジェクトになったKIRINJI。サウンド的には、バンド体制だときっとやらないであろうアプローチで自由に作っている感じが面白く、歌詞においてはまさに今の時代の気分を反映させた一枚だった。
ずっとファンの身としては「兄弟→バンド→一人」という変化の節目ごとにやっぱりちょっと寂しい気持ちがあったけど、こうやってどんどん変化していくほうが楽しいと思えるようになった。お兄ちゃん、すごいな。
おまけ:2021年(音楽以外の)カルチャーふりかえり
【映画/ドラマ】2021年も昨年に引き続き、映画館で観たのはすいてる近所でかかる有名作品のみ。(エヴァとか007とか)「アメリカン・ユートピア」はどうしても劇場で見たくて渋谷へ行った。David Byrneがこんなにもみんなの人気者になるなんて少し意外だったけど、コロナの空気感も影響したのだろうな。それがよかった。自分の今年一番を決めるとしたら「アメリカン・ユートピア」以外にない。
ドラマシリーズでは「マンダロリアン」シーズン2が断トツで印象深い。詳しくは書けないあのラストはこれまでのスターウォーズ体験すべてにありがとうと言いたくなる、筆舌に尽くし難い結末だった。(「ボバ・フェット」はこのあと観ます)
真夜中に手に汗を握ってみたのは「真夜中のミサ」と「Them」。どちらも、超常的な力と現実的な人の心の怖さを描くバランスがうまかった。
2021年にやると思っていた「ストレンジャー・シングス」シーズン4は、2022年におあずけ。それを楽しみに生きていきます。
【漫画】2020年もこの欄に書いた作品たちの続きを楽しく読みました。一番を決めるならやっぱり香山哲先生の『ベルリンうわの空 ランゲシュランゲ』。エピローグでいっきに涙が溢れ出してしまった。
諸星大二郎先生は、久しぶりの巡回展「異界への扉」が三鷹にやってきたのが嬉しかった。『西遊妖猿伝』は、一年で牛魔王とのバトルがちょっと進んだ(笑)
あとは、ほんと『チ - 地球の運動について -』がつくづく凄い。魚豊(うおと)先生が何かのポッドキャストに出演されていたのを聴いて、若くしてその謙虚な佇まいにも惚れました。6巻買いに行かなきゃ!
【ゲーム】「HADES」というゲームが面白すぎて、数カ月間ずっとハマっていた。冥王ハデスの息子ザグレウスが主人公で、冥界に嫌気が差して家出をするというストーリー。地上へ向かっていく冒険の途中で、オリュンポスの神々に出会い力を授けてもらうのだけど、誰が出てくるかがランダムなので出会った神々と最初に選んだ武器との掛け算で主人公の強さが決まってくるというゲーム性。慣れてくると30-40分で一周できるようになるので「寝る前に一回トライするか」という感じでやり始めて、結局深夜に及んでしまうことがしばしばだった。
同じことを繰り返すだけのゲームを何度もやりたくなる仕掛けは、ランダム性に依存する主人公強化の面白さと難易度のバランス調整の絶妙さ、あとは膨大なテキスト量か。地上に到達する寸前で超強い親父(ハデス)にやられて冥界に戻されても、冥界の住人やオリュンポスの神々が何かしら新しいテキストを喋りだすので、何度やっても面白く続けられた。
こういうゲームは今までなかったなあと唸っていたら先日、SFとファンタジー作品を対象とする文学アワード「ヒューゴー賞」で史上初のビデオゲーム賞を受賞したとの由。納得。
という感じで2021年。まだまだ書ききれないくらい様々な作品を楽しんで、やはり文化に親しむことが生きる糧となっていた。ありがとう。
このnote記事に1年の思いの丈を書き綴るにつれ、やっぱり2022年はもっと友だちと会って酒場や喫茶店で話したいなあとつくづく感じた次第。
それではみなさま良いお年を
we'll meet again on sunny day