【感想】おジャ魔女どれみ20周年映画「魔女見習いをさがして」を見たら考え込んだ話【ネタバレ有】

なんかつらい。こんな感じになりました。

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女児向けアニメ、おジャ魔女どれみ20周年記念で製作された今作。駄作ではないんです。面白かったし、クオリティも高かった。

作風とテーマから見ても「おジャ魔女どれみ」シリーズの一つであると思えた。

でもなんかどう受け止めればいいか分からない……。

他の感想見た感じめちゃくちゃ刺さっている方もいらっしゃったので、本当名作ではある。でも個人的にはなんか…色々考えちゃった……。

何故そんなことになったのか。簡単に言うと、「アニメ映画的ハッピーエンドと現実との乖離」「この作品実写の方が良くね?」と2つくらい引っかかったからです。なんのこっちゃって話だと思うので下でお話しします。

そもそもどんな映画なのか、まずは以下簡単なあらすじ。

【魔女見習いをさがして】


【概要】1999年より朝日放送・テレビ朝日系列で4年間放送された「おジャ魔女どれみ」シリーズ。 最高視聴率は13.9%(「も~っと!おジャ魔女どれみ」)、 世代別では女児の9割が視聴していたほど圧倒的な人気を誇っていました。 当時子どもたちが目を輝かせながら観ていた「おジャ魔女どれみ」が、 TVアニメ放送開始から20年という時を超え―完全新作映画となって帰ってきます!

【あらすじ】教員志望でありながらも、自信をなくして進路に戸惑う大学生・長瀬ソラ―名古屋
望んだ仕事についたものの、職場になじめず葛藤する帰国子女の会社員・吉月ミレ―東京
夢に向けて進学費用を貯めるも、ダメ彼氏に振り回されるフリーター・川谷レイカ―尾道    年齢も性格も住んでいる場所も…なにもかもが違う三人。
しかも、それぞれ思い描く未来が見えず、人生に絶賛迷い中!
そんな彼女たちを引き合わせたのは“おジャ魔女どれみ”!?かつて魔女見習いたちが集っていたMAHO堂―鎌倉にある洋館での運命的な出会いをきっかけに、三人は飛騨高山・京都・奈良と
「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地を巡る旅へ!笑って泣いて支え合って、かけがえのない時間を過ごした三人は改めて気づく、いつもどれみたちがそばにいてくれたことに。
そして魔女見習いたちに背中を押され、踏み出した先に、素敵な世界が広がっていた―(公式より引用)

【感想】

まず今作の前提として、おジャ魔女どれみのメインキャラであるどれみちゃん達を描くのではなく、「どれみ」シリーズを見て大人になったキャラ達を描いています。ソラ、ミレ、レイカはいわば、我々視聴者に近い存在として描かれています。

私はまさに世代なので、ミレが1番立場も年齢も近かったです。仕事で上司からイヤなこと言われてるのもうわ〜〜〜ってなりました。多分そういう共感とか計算されて各キャラは作られてるのでしょう。ソラ、レイカもリアルにありそうな悩みを持っていたり、他にも発達障害児との向き合い方やSNSの炎上など、センセーショナルな要素も物語には取り入れられていて、「現実」を作ろうとしているように感じました。

おジャ魔女どれみ自体も、(小さい頃リアタイと学生の頃に再放送を軽く、あと最近ちょっと配信でちらちら見てた程度の記憶感なのですが)離婚や不登校児など現実的な問題と向き合っていることが多く、同じ「どれみ」の作品なんだなと感じられました。

おジャ魔女どれみの聖地巡礼をしていたことで運命的な出会いを果たした彼女たち。そんな彼女たちが、おジャ魔女という作品を知っていたことで、どう変わっていくのか。 

まあこれがテーマなんだろうだなとは思いました。そして自分は、それが収束するラストに引っ掛かりを覚えてしまった。

最後、彼女達3人は雑貨の仕入れ、発達障害児の支援、絵の修復師と個々の夢を見つける。そして更にみんなでMAHO堂みたいなお店を開く……というゲームで言うなら1番良いED、TRUE ENDだったんですよ。でも、自分はなんだか置いてけぼりにされてしまった感じがあった。

アニメのキャラと自分を重ねるな、アニメはアニメだ、みたいな意見もあると思います。でも、魔女見習いをさがしてはこの作品自体が現実の視聴者にリンクさせるような構成になっていた。共感を誘っていたと思いました。だから主要人物3人は全員20代なのです。おジャ魔女世代。

下手に私達視聴者の現実に寄せてる分、綺麗に解決されると少しやるせないのです。だって現実ってそんなにうまく行かないじゃないですか。

ミレとか仕事辞めて新しくお店借りて希望が見えたエンドだけど、きっと大変なことは沢山あるでしょう。そもそも現実にCV石田で就職とかバイト先斡旋して尽くしてくれる男なんかいるんですか!!

私だって仕事辞めて転職してるけど仕事覚えること多過ぎて大変真っ最中ですよ!!(仕事辞めるとこまでリンクしたのは吹いた)

勿論、好きだったお父さんに見捨てられたり、告白して振られたりなどうまく行かないことも描かれていました。都合良く上手くいかないのが、現実。しかし、個人的には最後のMAHO堂開設で現実感が吹っ飛んでしまった。よくは知りませんが、お店って普通そんな3ヶ月ですんなり開けなくないですか。びっくりした。

お店も開設出来て、主人公達は未来になんの不安も持っていない。それまでの悩みもある程度解消された。どれみちゃん達も応援してくれた!ほぼ全部うまく行っている!

多分、この終わりを見て私も頑張ろう!ってなれる人はきっと沢山いるんですよ。

でも、自分はそうじゃあなかった。ちょっとうまく行き過ぎじゃね?って思ってしまった。お店なんて開けて皆で楽しく仕事して稼げたらもう幸せじゃん君達!

じゃあどうすれば納得したかっていうと、ゲームのエンドで言うならGood ENDくらいの温度感なら多分元気付けられたんだと思うんですよね。

言い換えれば、上手くいかなかったことも多いけど、ある程度幸せ…そんな感じ。この作品ならそれこそMAHO堂開設の手前、ここの3人が夢を見つけるところで止まってるくらい。或いはちょっと夢に努力するもやっぱ大変、でも頑張る!って奮闘する姿を見せるとか。

おジャ魔女どれみのアニメとして見るなら綺麗なTrue ENDとして終わらせるのは正しいのかもしれない。しかし、この映画ではどれみ達は実在しないもの、作中内アニメのキャラとして描かれています。(最後はともかく。)不思議な魔法は無い世界なのに、それでも同じように終わらせるのは少し違和感がありました。

また、この作品全体的に実写の方が向いていると思いました。

どれみを作中内アニメにして、どれみを見て大人になったキャラを主役にし、どれみとの向き合い方を描くというメタ的な手法も、実写のがより効果的なんじゃないかと思います。3人のキャラの声優も芸能人使ってるんだし。

取り扱っていた個々の問題…父親、発達障害児、職場の人間関係についてもアニメナイズな演出&尺が足りなかったためか、さらっと解決してしまい、ちょっと軽くなってしまったように思いました。テーマを絞って、実写のトーンでもう少し丁寧に解決まで掘り下げていたら見応えがあるものになっていたのでは無いでしょうか。

おジャ魔女の部分だけはアニメとかそんな感じで。そういう演出たまにあるよね。

あと勿体なかったのが作画。すごく良いけど、動かないから地味な印象が強かった。

というのもアニメどれみと違ってこの映画ファンタジーな要素もアクションシーンも殆どないのがでかいも思います。折角馬越さん筆頭に沢山作画陣連れてきてる分、勿体ないなーーーと思ってしまいました。直近でヒットしてるのが鬼滅だから尚更。細やかな演出とかは本家と同じく丁寧で素敵だったんですが。

とまあネガティブなとこばっか描いててアレですが、本当に名作だと思います。私がひねくれているのだろう。

スタッフインタビューを見ると、どれみを見て大人になった我々世代がどんな生き方をしてるのか、しっかりリサーチをするなど真摯な製作をしているようです。



また、映画感想を検索しても勇気を貰ったと言う感想も多く見受けられました。

あと最後のどれみ達とレイカ達が一緒に遊ぶ演出はめちゃくちゃ好きでした。

どれみ達はあの頃見ていた人みんなの心の中にいて、たまに出てきたり応援してくれたり友達でいてくれてたりする。そういう考え方いいですよね。励まされる。久しぶりに動く彼女達を見れただけでも価値はあると思いました。

あとおジャ魔女どれみから20年経ってる事実がマジでつらいです。早い…時が経つの早いよ……

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