四連休九州の旅 ②九州北部ぐるり
<前回までのおさらい>
九州に向かうことにした私はいろいろあって東京九州フェリーに乗船。無事新門司にたどり着いた後、関門トンネルをくぐり下関に宿を取りました。
おさらい終了。
下関からまずは来た道を引き返し小倉に向かいます。本当は関門海峡を渡る連絡船に乗りたかったのですが、思ったより早起きしないといけないことに直前で気づき(遅い)、計画を変更したわけです。なんで下関に泊まったし。
ただ、おかげで写真に収められたものもありました。
鉄道趣味者諸氏はご存じの通り、門司駅を境に本州側と九州側では架線に流れる電気が異なります。そのため途中に電気の流れていない無電区間(デッドセクション)があるわけです。無電区間は当然電車が電気の供給を受けられません。その結果このように灯りが必要最低限になり車内が暗くなります。無電区間は他にも日本各地にあるのですが、最近の電車ではここまで暗くなることはなくなったので、位置を正確に知っていなければなかなか気づけません。しかしこの区間は未だにベテラン車両が走っているので、このような昔ながらの光景を目にすることができます。自分自身、相当久しぶりだったのでこれはこれで良かったです。
小倉からは、表定速度において日本屈指の俊足を誇る特急ソニックに乗車します。
何回見てもいい面構えですね。
小倉駅構内を抜け日豊本線に入るとどんどん速度を上げて快調に走ります。最速列車はサンダーバードに次いで日本の特急では第二位の表定速度を誇るというと、その速さが伝わるのではないですかね。振り子特急の面目躍如と言っても良いでしょう。
一方で揺れるという声は少なからず耳にします。
・・・・・・まあ、揺れます。振り子台車自体揺れは通常の台車より大きめですし、特に揺れの少なくなった最新世代と比べると、JR初期世代の883系の揺れが大きいと評されるのは致し方ないところはあると思います。
そのソニックを別府で下車します。ここからはバスで湯布院に向かい
たかったのですが、乗る予定の便がコロナ禍のために運休でした。下調べが雑すぎたなこれは。湯布院でちょっとでも観光する予定だったのですが、残念ながらまたの機会になりました。
幸い1時間もしないうちに次の便があったので、駅構内の喫茶店で一服します。
10時30分。予定より50分後のでバスに乗車。
湯布院行きのバスは別府の市街地を上へ上へと進み、やがて完全に山に入ります。別府ロープウェイの乗り場も過ぎてさらに進むと
草に覆われたエリアに入り、視界が開けてきます。雲がなければ奥に由布岳を望めるはずなのですが、この天気では仕方ない。
このあたりを過ぎると、湯布院の町はもうすぐです。
この眺めが素晴らしいんですよ。まさに旅のハイライト。
以前この路線に乗って眺めたこの光景が忘れられなかったので、今回も乗ったわけです。この調子だとまた乗るかな。
ここから一気に高度を下げて、ほどなく由布院駅に到着しました。
湯布院名物の辻馬車と低速電動バスnolcも見るだけ。長距離の乗り物ばっかり乗ってると、こういうのが犠牲になるんですよねえ。いずれは改めて湯布院でのんびりしたい。
歩き回る時間はないが列車が来るまでは時間があるので、由布院駅構内でのんびり。
いいですよねえ、こののんびりした雰囲気。
何はともあれ、湯布院からもさらに移動します。
ご存じ「ゆふいんの森」です。湯布院観光もせずに乗る不届き者になってしまった(しかも2回目)ので、次乗るときはちゃんと湯布院泊まらないと・・・・・・
下り「ゆふいんの森1号」の到着が6分遅れと若干不安になりますが、折り返しの2号は無事定刻に発車しました。
・・・・・・静かだな。本当に気動車か?
床が高く防音防振もしっかりしているのは分かるけど、それにしても驚くほど静か。四国で言うと、2000系と比べて大幅に静かになった最新世代の2700系よりもさらに静かです。これ寝台列車にしても寝られるのでは。
しかも揺れも少ない。以前乗った「ゆふいんの森4号」に充当されていたキハ71系は国鉄由来の下回り(駆動系は換装されたらしい)のせいかかなり跳ねていたのですが、このキハ72系は揺れの少なさでは頭一つ二つ上回っていますね。久大本線自体がもう少し揺れなくなると完璧とは思いますが、十分及第点です。
由布院の次の駅は、JR九州最高地点の駅、野矢。ここで対向の「ゆふいんの森3号」と行き違うわけですが
6分遅れでやってきました。単線の宿命ですね。駅間距離も短くないので、行き違い駅を簡単にずらすこともできないのでしょう。
遅れに気を揉んでも仕方ない。時刻は12時過ぎですし、お昼ご飯にしましょう。
「ゆふいんの森」車内限定弁当です。お買い求めの際は乗車2日前までに予約が必要とのことなので要注意(車内放送では普通に売っているようなことも言ってたけど、実際どうかは確認してない)。
少しすると客室乗務員の方が車内販売に回ってきました。「車内販売がある列車では何か買え」という家訓に従い、何か買います。
前に乗ったときも確か食べたんだが、さっぱりしてて美味しいのでおすすめです。
2時間と少しの旅はあっという間に終わり、博多駅に到着しました。
ところでこの「ゆふいんの森2号」、由布院を定刻で発車するも野矢で6分遅れを食らい、日田駅到着を4分遅れまで取り戻すも発車は7分遅れ、最終的に博多駅着は5分遅れでした。
一方、私が次に乗り換える列車は、博多発14時26分ののぞみ164号。所定であればゆふ森2号は博多14時20分着なので、乗り換え時間は6分。
間に合いませんね(名推理)。
致命傷にはならないものの、一部行程を短縮せねばなりません。後続ののぞみ38号で後を追い、普通列車に乗り継いで門司に向かいます。
門司からは「かわせみやませみ91号」に乗車します。
本当なら門司港から乗りたかったんですけど、そのためには公式設定ではない博多駅6分乗り継ぎをするしかなかったんですよね。今回は自分の能力関係なくほぼ無理でしたが。
最初に旅程を立てた時点で、「かわせみやませみ」の乗車はほぼ決定していました。その前をどうするか時刻表を見て考えているうちに「お?これ「ゆふいんの森」からでも乗り継げるな?」「朝8時に小倉に着いとけばええんか。夜行フェリー乗ったろかな」「これうまくいけば東京九州フェリー乗れるんじゃね???」という流れで、行程が決まっていきました(実際はさすがにここまで即決してない)。
初乗車なので、車内も撮っておきます。
こういう雰囲気、好きですよ。
ただ、自分が確保したリクライニングシートの前3列ほどは、窓がなかったり視界の半分ほどが窓枠だったりで、かなり外が見づらそうでした。上の画像のベンチシートもそんな感じですね。この区間はともかく、風光明媚な区間を走るときにこれはどうなんでしょうか。
さて。こちらも車内販売があります。
さらにビュッフェも。グッズも売っているので買いに出向きます。さすがに買うのは記念品ぐらいにして、飲食物は控えるつもり。
うーんこの意思の弱さ。デコポンジュースは酸味がきいていて美味しかったです。
観光列車ということもあり、道中でも手を振っている人を時折見かけました。折尾駅では駅弁の立ち売りをしている駅員の方も手を振っていました(車内放送あり)。博多駅が近づいた香椎駅では、改札前から駅員の方が手を振ってくれました(車内放送無し)(もちろん振り返した)。地元の災害で出稼ぎに来ているような状況とはいえ、四国なら乗客の誰よりも早くアテンダントの方が見つけて案内するんだけどなーと思ったり思わなかったり。
話が逸れますが、四国の観光列車では恐ろしいことに、駅でのおもてなし以外にも沿線で決まって手を振ってくれる方たちがいます。それも一人や二人ではなかったりするので驚きです。例えばこんな感じ。
こういうお手振りが大なり小なり沿線の各所でみられますが、観光列車のアテンダントの方は主要なポイントのをほぼ全て把握しているように見えます。お手振りポイントが近づくと沿線の方がいるかを確認し、待ち構えていたら乗客にアナウンスしながら自分たちも沿線の方たちに手を振り返します。沿線の方も沿線の方で、いろんなところからバンバン手を振ってくることも四国ではままありますので、四国の観光列車に乗ったら気が済むまでバンバン手を振り返しちゃってください。
そういえば沿線の観光案内もそう多くはなかった記憶があります。八幡製鉄所を擁した北九州工業地帯や宇宙に旅立ったスペースワールド、一級河川の遠賀川など見るべきところは少なくないと思うのですが、本業ではないのでそこまでということですかね。「ゆふいんの森」ではお手振りも観光案内もあったわけですし、本来の線区を走っている他の列車にも乗りたいところです。
こちらの列車は定刻の17時ちょうどに博多着。
さらに乗り換えて、今回の旅の真の目的地を目指します。
乗り継ぎ時間の関係もありますが、黒いかもめは未乗だったこともあってこの「かもめ33号」を選びました。
長崎までの所要時間は肥前山口を通過した上で2時間10分。最速1時間50分で走る885系かもめはもちろん、787系の中でものんびり走るほうの列車です。ただ、特に単線区間を挟む列車は行き違いの関係で所要時間が簡単に変化するので、この程度は仕方ないですね。乗車してみても、特にのんびり走っている雰囲気はありませんでした。
気になったので少し計算。
定期かもめ全列車の平均所要時間は2時間00分46秒。表定速度は76.5km/h。
そのうち885系充当列車は1時間58分05秒。表定速度78.2km/h。
一方の787系充当列車は2時間02分13秒。表定速度74.7km/h。
最速列車だと振り子の885系と非振り子の787系で7分の差がつきますが、平均だと大差ないですね。
参考までに先日乗り倒したうずしおの場合も。
全列車の平均所要時間は1時間8分20秒。表定速度65.4km/h。
うち2600系・2700系充当列車は1時間7分20秒。表定速度66.4km/h。
キハ185系充当列車は1時間16分30秒。表定速度57.4km/h。
キハ185系充当列車は停車駅が多い代わりに行き違い待ちもないのですが、さすがに結構な差があります。さすがに国鉄世代のキハ185系を最新の2600系・2700系と直接比較するのはかわいそうとは思いますが。ここを非振り子のJR型気動車(キハ189系やキハ261系)が走るとどうなるかは気になりますね。
田園地帯の広がる佐賀平野を快走し、諫早湾沿いの海岸区間をゆったりとなぞり、市布経由の新線を疾走して、定刻の19時25分に長崎に到着しました。
YC1系ともついに対面を果たします。
高架になった長崎駅からは、かつての長崎駅まで結構な距離を歩きます。その途中。
なるほどこういう位置関係になっていたんですね。寂しさは禁じ得ませんが、再開発が進み美しく快適で使いやすい駅前になることも楽しみです。
二日目はここまで。
こんなペースで書いていたらいつ旅が完結するのか分かりませんが、こっちの都合とペースでぼちぼち書いていこうと思います。