わたしとじゃがいも

わたしはじゃがいもに対して
並々ならぬ熱意がある。

勿論、好きな食べ物は?
と聞かれるとじゃがいもと答える。

フライドポテト
じゃがバター
肉じゃが
ポテトサラダ
ハッシュドポテトなど
じゃがいもを使った料理は
どれも大好きだ。

じゃがいもを食べてる時が
何よりも尊い至福の瞬間なのだ。
人生の終焉は、じゃがいもを
食べながら迎えたいとすら思う。

わたしの理想としては
フライドポテトを喉に詰まらせて
苦しながらも意識が遠のく中
走馬灯の様に今まで食べてきた
じゃがいもたちが次々に
わたしに微笑みかけ
幸福の絶頂で息絶えたい。

そして

「大好きなじゃがいもを食べながら
逝けて本望だったろうね。」

と、皆が口を揃えて言って欲しい。

それ程までに、わたしは
じゃがいもの虜なのだ。

今日は、そんなわたしの
17歳の時の武勇伝を
紹介させていただきたい。

その頃のわたしはというと
じゃがいもに対する熱量が凄まじく
10代特有の若さ故に
その熱き思いを持て余し
日々、悶々としていた。

アルバイトもしていたので
自由に使えるお金があった事もあり
当時、フライドポテト界隈では珍しかった
「フレーバーポテト」なる代物が
ファーストキッキンにあると知り
居てもたっても居られなく
電車で片道1時間ほどかけた
都市部にしかなかった
ファーストキッキンまで赴き

フレーバーポテトだけを食べる

という偉業を成し遂げたのだ。

その時の達成感といったら
わたしが登山家なら間違いなく
エベレスト登頂を達成したくらいで
もし、わたしにじゃがいも仲間が居たら
一緒にこの偉業達成を祝って欲しいくらいだった。

きっとまだ見ぬじゃがいも仲間も
喜んでくれたに違いない。

いや、もしかしたら

「若き天才、じゃがリスト現る」

と世間で話題になり
全国からじゃがリストが集い
祝賀パーティーが開かれたかもしれない。

その後もその為だけに
フレーバーポテトよりも
高い交通費をはたいてまで
足しげく通ったり
誰かがファーストキッキンのある
都市部に行くと聞きつければ
帰り際にフレーバーポテトを
買ってきて欲しいと
お願いしに行ったりもした。

友人には

「頭おかしんじゃね??」

と揶揄されようとも
わたしにはそれだけの事をしてでも
食べたいフレーバーポテトがあって
労力以上の価値がそこにはあったのだ。

そんなわたしも立派な大人になり
今ではじゃがいもへのとち狂った熱量を
コントロールする術も身につけた。

気になる方との食事や飲みの際に
じゃがいも料理が出てきても

胸の裡では

「うひょひょひょ~(☝ ՞ਊ ՞)☝」

とテンション爆上がりなくせに

「あ、じゃがいもね。ふーん。」

とポーカーフェイスを装えるまでだ。

わたしと食事に行く際は
ぜひ、そのコントラストを
楽しんでいただきたい。
わたしのチャームポイントだ。

そして、勘の鋭い方なら
もう察してると思うが
わたしがじゃがいもを餌に
誰にでもホイホイついていく

尻軽ホモ

だって事を。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?