見出し画像

強制される悦び⑤ 体育祭編その3

毎年繰り返された、数ヶ月に及ぶ強制裸足月間。
今年で、最後を迎える年。

小学6年生の初夏が始まりました。
屈辱と羞恥と興奮?の入り混じった日々も、きっと今年で終わりです。

今日から最後の運動会に向けた練習が、始まります。

下足箱にて、私も含めた、みんなが、当然のように靴と靴下と人権を脱ぎ捨てていると、何やら戸惑っている1年生らしき男の子がいました。

私はすぐにその子が、異文化から連れてこられた子なんだと思いました。かつての私がそうであったように。

私はその子のところに行き、あえてこう聞きました。

「どうしたの?何か困っているの?」

男の子は、うつむいたままです。

「裸足になるのが嫌なの?」

「足汚れちゃう...」

あぁ、この子は以前の私と同じだ。
外に裸足で出かけた経験などなく、きっと周りの異様な光景に、戸惑っているのだろう。

そう思いました。
しかし、私はもう、今までの5年間で、徹底的に裸足教育を受けています。

さて、目の前には異文化に戸惑う、まだ汚れを知らない純粋な男の子。
私はこの子が、自分のように、汚れ、化け物になる姿になってしまうのかと妄想しました。

うつむく男の子に、こう言いました。

「そっか。でも、みんながやっているから、裸足にならないとだね」

ミンナガヤッテイルカラ。
ミンナガヤッテイルカラ。

私はこの5年間で、この同調圧力に心身ともに屈し、
自身が裸足になりたくないという思いを徹底的に教育され続けた結果、もう後戻りできない身体に改造されてしまっているのです。

「それに、ほら、そんなに汚れないし、汚れても洗えばキレイになるよ」

そう言って私は、自身のアシノウラを少年に見せつけます。
当時で恐らくすでに25センチはあったであろう、大きな私のアシノウラ。

男の子は、はっとした表情を浮かべます。
ああ、僕はこの子に、トラウマを植え付けてあげてしまったかもしれない。

男の子は渋々上履きと靴下と人権を脱ぎました。
校庭まで手を繋いで、一緒に行きました。
彼のクラスの近くに行くと、彼は「お兄さん、ありがとう」と言い、クラスの友達のいる方へ溶けていきました。

ありがとうだなんて。
キミのこれからのアシノウラ人生の始まりに遭遇できて、光栄だよ。

毎年恒例の、校庭の石拾い。
全校生徒が2列で四つん這いになり、前進して大きな石を取り除く作業。

高学年である私たちは、当然前列に配列されます。
後列の低学年の子たちに、観察される私達の足の裏。

私は昨年くらいから、あることに気がついていました。それは、見られて死ぬほど恥ずかしい足の裏でも、指の裏まで見られなければ、少しは恥ずかしさが軽減される。ということ。

つまり、四つん這いの姿勢になっても、足指を地面に触れさせておけば、足の裏の全体を人に見られることはないため、幾分か羞恥心が軽減される。ということです。

その戦法で、石拾いをなんとかしのぎました。
そして、翌日から始まる、本格的な裸足教育の日々。
特に、六年生はお待ちかねの、組体操があります。

そんなある日のこと。
今日は私にとって億劫で億劫で仕方のない、組体操の練習日。

私達の学年は、全員、体操服に裸足という格好で、体育館に集められました。

「組体操は大変危険なので、練習中も決してふざけたりしないように」

先生がそう仰います。
ふざけるどころか、私はいかにして自分の足の裏を人様に見せないようにするかで、頭がいっぱいでした。

やがて進んでいく練習。

サボテン、扇、肩車、など。
私は当時160センチくらいあり、クラスでも最後列の背の高さでした。そのため、大体の場合、私は台の方になります。

ここまでは難なく、やり過ごしました。

「では次に、ペアで補助倒立を行います」

私のペアは、同じくらいの背格好の、野本くん(仮)という男の子でした。優しい顔立ちのイケメンでした。当時、野本くんとは、放課後にお互いの家でゲームをしたり、駄菓子屋に行ったり、子供用のエアガンで遊んだりする、仲の良い友達でした。

そんな野本くんが、今、僕に向かってアシノウラを近づけてきます。両腕でしっかりと足首を持つと、
野本くんの綺麗なアシノウラが、私の顔の前に現れます。

初めてこんなに近くで見る、友達のアシノウラ。
野本くんは、僕に足の裏を見られて、どう思っているのだろう。

そして次に訪れる、私の番。

ピィッ

笛の合図で、両手を地面につき、一気に足を蹴り上げます。

ガシっ

野本くんが私の足首を掴みます。
あぁ。野本くんに見られてしまっている。
もう、以前のような友達関係には、戻れないかもしれない。。。

恥ずかしすぎて、泣きそうになります。
私の大きなアシノウラを、野本くんはどう見ていたのでしょうか。

次に、トウモロコシという4人技。
2人が土台になり、その上に2人が乗るという技です。

私達の4人組にはやはり野本くんがいます。
当然、私と野本くんが土台役です。

トウモロコシ。
土台の2人は、お尻とお尻を向かい合わせるようにして四つん這いになります。
そして、お互いの股を絡ませて脚を滑り込ませます。

つまり、四つん這いの状態で顔を下に向けると、そこには野本くんのアシノウラがまたもや顔前に広がります。それも、今度は倒立の時とは違って、四つん這いという姿勢のため、深い横ジワの入った、不細工な足の裏です。

野本くんみたいなイケメンでも、こんな状態に強制させられたら、こんなに惨めでみっともない足の裏になってしまうんだ。

四つん這いという姿勢の恐ろしさを、痛感させられました。

目の前に広がるのは、普段の格好いい野本くんのからは想像もできないような、無様なアシノウラ。校舎を裸足で過ごしているため、黒く汚れています。

私は咄嗟に、自分のそんな無様な足の裏は絶対に野本くんには見せたくないと思いました。

そこで、私は例の、足指を地面から離さないスタイルで四つん這いになりました。

よかった。これで野本くんに醜態を晒さないで済む。

そう思っていると、先生が私達のところへやって来ました。

そして、私の足を見ると
「こうすると、上の人が乗った時に力が加わるので、大変危険です。なので足の指は必ず伸ばしてください」

最初、頭の中がパニックになり、何を言われているのか、理解をすることができませんでした。

すると先生が私の足指を触り、指の爪側を地面に触れさせたのです。

野本くんはソレを見ています。
まるで、みんな平等に、無様なアシノウラを晒すことを強制されているかのようで、私は絶望感に浸りました。

野本くんの顔前に、繰り広げられる私の無様なアシノウラ。その全貌。

そして私の顔前にも、繰り広げられる野本くんの無様なアシノウラ。その全貌。

これから運動会本番まで、毎日見せ合うことになる、アシノウラ。

トウモロコシが終わっても
まだまだ、油断のできない練習が続きます。

特に私の心に深く刻まれたのは、
一人技の練習時です。

皆さんは、肩倒立やV字バランスといった技をご存知ですか?

向かい合った2列の生徒同士がお互いの足の裏を見せ合うあの演技です。

その時は突然訪れました。

男女で向かい合うように2列になってください

強制的に向かい合わされる異性。
私の前には、河添さん(仮)という女の子。
実はこの子のことが、私は当時好きでした。
宮崎あおいさんに似た、可愛い顔立ちの女の子でした。発育も良くて、体格もとても魅力的でした。

そして、残酷にも、その時は訪れます。

V字バランス。
お尻を地面につき、両手を体の後方に伸ばして支えたら、あとは己のアシノウラを高く上げて、相手に見せつけるだけの、シンプルかつ、確実な完璧な足裏晒し。

当然、一人の例外も許さず、晒しあげられる、集団のアシノウラ。

ピラミッドで四つん這いになった肉塊のあらわにさせられるアシノウラも、トラウマになる光景ですが、
このV字バランスは、アシノウラも顔も、人間が持つ情報の全てを同時にさらけ出すポーズです。

河添さんのアシノウラ。
今でも脳裏に焼き付いています。

ぷっくりとした表情の力の抜けた、可愛らしいアシノウラ。
私が河添さんのアシノウラを見ていると、何やら河添さんが笑みをうかべて睨みつけるように、私のことを見ていました。

私は咄嗟に目を背けます。

それでも気になるアシノウラ。
私はしかしもう、河添さんのアシノウラから目を離せません。

練習はまだまだ続きます。

「足先まで力を入れて、ピンと伸ばしなさい」

残虐な指導が入りました。
私は向かい合う河添さんに対して、足指の先までしっかりと力を入れて、しわくちゃになっているであろう、己の恥ずかしい無様なアシノウラを見せつけます。

河添さんは、はじめ、先生の言った意味がわからなかったみたいで、向かい合う私の無様なアシノウラを見て、すぐに彼女のアシノウラにも力が入り、無様でみっともないシワだらけのアシノウラを私に見せつけてきました。

心の中はぐちゃぐちゃでした。
大好きな女の子と、突然始めさせられる強制的な演技

何度も何度も訪れる、羞恥の衝動

小学6年生ともなると、お互いに体格も良くなり、肉厚で健康的な形に成形されるアシノウラ。

時には開脚させられ、まるでカエルの標本か何かのように、剥き出しにされるアシノウラ。

アシノウラを見せつけて興奮するために産まれてきた人間に擬態した生物たち。

耽美と絶望の混ざった、羞恥の衝動
晒し合い、観察し合う、お互いのアシノウラ。

体育館で練習を行う時は、
埃すすで黒く汚れた、アシノウラ。

校庭で練習を行う時は、
砂で白く汚れた、アシノウラ。

運動会当日まで、約1ヶ月間。
毎日行われる、徹底した強制。

5年間耐えたから大丈夫?
6年目が1番の集大成だよ。
このままアシノウラ人生から逃げられるとでも思っているの?
逃がさないよ。
徹底的にフェティシズムを植え付けてあげるからね。

どこからかそんな言葉が、聞こえてきそうです。

アシノウラ、ミラレタイ。
アシノウラ、ミラレタイ。
アシノウラ、ミラレタイ。

デモ、ハズカシイ。
デモ、ハズカシイ。
デモ、ハズカシイ。

デモデモ、アシノウラ、ミタイ。
デモデモ、アシノウラ、ミタイ。
デモデモ、アシノウラ、ミタイ。

こうやって、私は、足裏星人としての最初の改造を完璧に施されました。

当時の九州の地方都市で起こった。
教育方針によって起きた一つの悲劇(?)は、
こうして、一人の足の裏星人を作り出すことに成功したのでした。

追記。

その年の運動会は、本番の二日前に大雨が降った影響で、足元は泥だらけという校庭コンディションで行われました。

ひんやりとして、ネチョネチョとした泥の感触を感じながら、みんな一様に、泥まみれのアシノウラを晒しあったのでした。


終わり。

いいなと思ったら応援しよう!