青は藍より出でて藍よりも青し
最近、街中で箱型のタクシーを見る機会が増えてきた。
トヨタが製造している「ジャパンタクシー」だ。
見慣れない頃はびっくりしたが、今となってはもはやおなじみの車両となっている。
実際に乗り込んだことはないのだが、色がとても良い。調べてみたら、「深藍」というのだそう。
そして驚くべきことに、トヨタのディーラーに行けば個人でも買えるらしい。これで街中を走っていたら、タクシーと間違われて呼び止められてしまうこと必至だろうが、ボディーカラーと併せてクラシカルなデザインが意外と私のツボだったりして、「ジャパンタクシーがある生活」というのも悪くないかな、などと夢想してしまった。
ところで、深藍色のことで思い出したのだが、「青は藍より出でて藍よりも青し」という慣用句がある。
手元にある、西川芳樹著『声に出して読む中国語の名句』(2018年、白水社)によれば、これは『荀子』の「勧学」の冒頭だそうで、「学び続けることの大切さ」を説く説だという。原文は以下の通り。
君子曰、学不可以已。青取之于蓝、而青于蓝、冰水为之、而寒于水。
君子は言った。「学ぶことを途中でやめてはいけない。青の染料は藍の草より取るが、その色は藍の草よりも青い。氷は水からできるが、水よりも冷たい」
これが「学ぶこと」に関する言葉とは知らなかったし、「氷は水からできるが、水よりも冷たい」という句が続くことも知らなかった。
ぼんやりと「先生より優秀な弟子が出てくることがある」くらいの意味だと思っていたら、よくよく読んでみれば「優秀になるためには学び続けなければならない」ということまで含意していた。思わず自分の無知を恥じてしまう。
そうして「学ぶ」ということを考えたとき、この慣用句にはやや座りの悪さを感じる。私にとって「学ぶ」ことは「深く探求し、本質を知ること」。
だから、「青は藍より出でて藍よりも青し。されど、藍は青よりも深し」と言いたくなる。青色の「鮮やかさ」よりも、藍色の「深さ」の方がよりしっくりくる気がしてならないのだ。
なんとなくしか知らない慣用句も、その正確な意味を知ると「ん?」と思うものがある、という体験だった。