下呂温泉の思い出
撮影した写真は「Googleフォト」を使って管理している。このサービス、撮影日をデータとして吸い上げていて、数年前のその日、自分がどんな写真を撮ったかをプッシュ通知してくれる。
それによれば、2016年の今日(9月3日)と昨日(9月2日)、私は下呂温泉にいたらしい。Googleに教えられるまで失念していた。
当時は転職前。その職場は7月~9月の間に5日間の夏休みをとるスタイル(といってもぶっ通しでとれるわけではない)で、2年前はこの時期に一足遅めの夏休みをとって下呂温泉に行ったのだった。
思い返せば、それまで、「何か目的があって一人で遠方に出かけたついでに、近くまで足を伸ばしてくる」ということはあっても、「旅をすること自体」を目的とした、いわゆる純然たる「一人旅」をしたことはなかった。その意味で、あの下呂温泉への旅が一人旅デビューであった。
一人旅なのですべて電車での移動だった。こだま号で東京駅から名古屋駅まで行き(のぞみ号に乗る金銭的余裕がなく、鈍行で行く時間的余裕もなかった)、そこからはワイドビューひだに乗って下呂へ。ディーゼルエンジンで走るワイドビューひだが、まるでバスのような音と揺れ具合だったのを覚えている。そして、車窓から見える木曽川もまた良かった。
宿泊したのは、昭和6(1931)年創業の「湯之島館」さん。私からしたら分不相応なクラスの旅館だが、「登録有形文化財の宿」ということで、清水の舞台から飛び降りるつもりで予約したものだ。
(宿の建物は、同時期に建てられた和館と洋館で構成されているのだが、こうして撮影した写真を振り返ってみると、私の洋館趣味が如実に反映されていて、明らかに偏っている…笑)
創業当時の建物をしっかりと残しつつ、手を入れるべきところはしっかりと入れて使い続けていたのが、とても印象的だった。建築について、「歴史的意義から保存して、展示物のようにするのも大切である一方、使い続けるというのもまた大切なのだな」ということを思わされた体験である。
余談だが、当時の私は転職活動を始めたばかりの頃。温泉に浸かりながら「あぁ~、今の職場でもう少し頑張ってみるか~!」と呟いたことを記憶している。…が、その後トントン拍子に話が進み、結局今の会社に転職した。
そしてさらには、今年の春にはふと思い立って天城の湯ヶ島温泉に行き、その少し後にnoteへの投稿を始め、今に至っている。
私の人生においては、一人で温泉に行くと、何かが変わるのかもしれない。