見出し画像

1/2 jealousy/まなホム

「もとくん、もとくん」
「どしたの、」
「なんでもなぁい」
「そ?お水飲む?」
「んーん、ねぇぎゅーってして?」
「っ、ん、いいよ。ぎゅー...」
「えへへへ」
モト君の大きな手が私の背中を優しく撫でる。お仕事の時はピシッとした格好だけれど、私とお付き合いを始めてからラフな服装でいることが多くなった。デートのために私服を買ったって言ってくれたり、私のためにおしゃれしたんだよって言われると胸の奥がくすぐったくなって抱きしめてほしくなってモト君をじっと見る。けど、モト君ってばそれに気づいてくれなくて、すぐにどこかに行ってしまう。
モト君にだったらいつでも抱きしめてほしいのにってちょっと拗ねるんだけど、それでも沢山沢山好きって伝えてくれるから、それでいいかなって。
でもやっぱり、抱き着きたいって思ってしまって。モト君は恥ずかしがり屋さんだし、私も外でくっつくのはちょっと恥ずかしいからいいんだけど、それでもおうちの中にいるときくらいはって思ってしまう。モト君は街にいる間とかも女の人がいたらまじまじ見るし、私のいない時は別に気にしないんだけど元々の性格もあってか、私以外にも仲のいい女の人が沢山いる。モト君の事私に縛り付けたくないし、そう言う事すると嫌がられそうだからしないけど、私が沢山やきもち焼いてるのも、知ってほしい。
お酒を飲んだふりをしてベッドに横になるモト君に甘えてべたべたと体に触れる。
仕事中の服装とは違う、パーカーに半ズボン。こうやってみると、モト君って幼く見える。私を見る目は驚いてまん丸だし、お肌もつるつるだし、笑ったときの笑顔がクシャってなる感じとかすごく大好き。
こんなこと考えるなんて、酔っぱらったふりをするために飲んだお酒が回ったのかな。
髪を撫でてくれるモト君の手が心地よくて目を閉じる。
「ねぇ、モト君」
「ん?」
「何かお話して?」
「お話?」
「うん。モト君の声、好きだからたくさん聞きたくて」
「へ?え、そう?そか…僕も愛未ちゃんの声好きだよ」
「えへへぇ。ありがと。」
「んー、お話かぁ…」
「うん。」
半分眠りの海に意識が沈むのを感じながらモト君の優しい声を聴く。元気な時の声ももちろん好きなんだけど、こうやって穏やかに話してくれているときの声も好きで。ねぇ、モト君。大好きだよ。明日はたくさんデートしようね。

いいなと思ったら応援しよう!