スウェーデン留学記#44 ストックホルムで迎えた新年
新年の迎え方は国によって異なる。日本でのお正月は一年で最も大切な行事の一つと言っても過言ではなく、年末年始は家族や親戚一同で集い、鏡餅や門松を飾ったり、おせちを食べてのんびりと過ごす。
一方スウェーデンにおいて最大の行事はクリスマスで、親戚一同が集うのもクリスマス休みだ。といっても新年を祝わないわけではなく、多くの過程では花火を買って年を越す頃に着火して新しい年の来訪を祝う。ストックホルムのような大都市では何万発もの花火が一斉に上がり、それを夜景で見ることができたらさぞ綺麗だろう、と常々思っていた。
Gotland島への家族旅行の帰り道、ストックホルムへ私達が寄ったのはちょうど大晦日だった。私にとってストックホルムは何度も訪れている場所だったが、家族にとっては初めての観光のチャンスだったので、日中いっぱいガムラスタンを散歩することにした。色とりどりの建物や、ノーベル博物館、アストリッドリンドグレンのグッズやクリスマスモチーフのグッズが所狭しと並べられているお土産物屋さんに家族皆大興奮だった。私も含めて、家族皆アストリッドリンドグレンの大ファンなのだ。
夕食はスウェーデンの伝統料理を堪能できるレストランでいただいた。スウェーデン風ミートボールはクリームソースがかかっていて、リンゴンベリーと一緒に味わう。実はGotland島へ向かうフェリーでもスウェーデン風ミートボールを食べることができたのだが、甘そうなリンゴンベリーとミートボールの組み合わせに怖気づいて、家族は手を出さなかった。だが、このレストランで初めて食べたミートボールに家族は感動したようだった。リンゴンベリーはジャムにすると甘くなるが、それ自体はそれほど甘くない。むしろリンゴンベリーの爽やかな甘酸っぱさが濃厚なクリームソースの味とうまい具合に調和し、それが塩気の効いたミートボールの味を引き立てるのだ。その他にも魚介のパスタや、きのこのクリームパスタなどどれも大変美味だった。
レストランを出るころには日はすっかり落ちていたが、クリスマスの名残なのか未だにあちこちにイルミネーションがあり、街は全体的に明るかった。水の都ストックホルムはその水面に輝く自身の姿を映していて、地上からでも十分きれいな夜景を堪能することができた。
さて、新年を楽しく迎えるために私たちはコンビニでお酒やらおつまみやらを買い込み、Best Western Kom hotel Hoboにチェックインした。このホテルの高層階の部屋はストックホルムの街を一望することができ、新年の花火を見ることができると期待できた。
宴をしながら新年を待つこと数時間、12時を迎えるころストックホルムの街には数えきれないくらいの花火が次々と打ち上げられた。街の光が水面に反射し、空にはいくつもの花火が舞い上がり、ストックホルムの夜景は息をのむほど美しかった。
ストックホルムで過ごした大晦日、そして迎えた新年はこの先一生忘れられないだろう。本来ならば、留学先で一人寂しく新年を迎えるはずだったのが、遥々スウェーデンまで来てくれた家族のおかげで楽しく、特別な年越しとなった。特に、この家族旅行を企画、実行してくれた母に感謝したい。