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スウェーデン留学記#48 ハウスメイトの誕生日

9人のガールズ住まいの私たちのシェアハウスでは互いの誕生日パーティーを開くのが恒例になっていた。というより、欧米の文化なのか、誕生日の主役は自らパーティーを主催し、友を招待するのだ。なので、各自自分の誕生日が近くなると自ら名乗りを上げ、パーティーの日付を日程調整する。食事などの采配も自らふるうが、場合によっては招待された友らが気を利かせて食事を用意したり、ケーキを秘密裏に作ったりする。

ウィルマインの誕生日には、私がサプライズのケーキ作りを担当することになった。リンゴが旬の季節だったので、りんごのタルトを作ることにした。せっかく誕生日なので、なにか華やかな見た目になる工夫ができないかと考え、レシピを色々と検索したところリンゴのローズケーキなるものがあることを知った。リンゴを花びらのように並べていくと、タルト全体がローズのような見た目になる。リンゴの下にはカスタードクリームを敷き、リンゴの上はゼリーで固めることで艶やかなローズタルトの出来上がりだ。

誕生日当日、ウィルマイン自身が次の日テストで忙しいので、表向きは各自夕食を取った後に、ビスケットなど軽食を持ち寄り軽くお祝いをするということになっていた。そこにキャンドルを灯したローズケーキを持った私が登場し、ウィルマインをびっくりさせるという訳だ。
サプライズは大成功で、華やかなケーキの登場にウィルマインは心底喜んでいるようで、何枚も写真を撮っていた。味もほんのり上品な甘さで、自分としては美味しいと思う一方、甘いもの好きな他のヨーロッパ出身のハウスメイト達のお口に合うか少し心配だった。が、皆口々に美味しいと言ってくれ、おかわりであっという間になくなった。美味しくないときは分かりやすく残されることが経験上分かっていたため、ほっと胸をなでおろした。

次はアメリの誕生日だった。アメリの誕生日はハウスメイト以外にもアメリの大学での友人も招き、ちょっぴり盛大に行うことになった。食事は近所の美味しいピザ屋さんLa cucinaからテイクアウトしたピザ。その他、ドリンクやケーキをみんなで手分けして用意した。


アメリが自分自身で用意したのはラズベリーケーキ。たっぷりのバターと砂糖を小麦粉、卵、牛乳と混ぜてしっとりと焼きあげたスポンジ生地の上に、スーパーの冷凍コーナーに売っている大容量パックの冷凍ラズベリーを解凍して乗せた後、仕上げに赤いグレーズをかける、というシンプルレシピだ。艶やかなラズベリーの赤さが見るからに甘酸っぱくて美味しそうでよだれがでそうだ。


ヴィエラはチョコブラウニーを作ってくれた。チョコ、バター、小麦粉、砂糖、ベーキングパウダー、卵、塩などを混ぜてオーブンで焼き上げる。すると、外側がところどころひび割れているのが美味しそうなしっとりブラウニーの出来上がりだ。


ドリンクは何人かで協力して作った。まず、市販のソーダに先ほど登場した大容量パックの冷蔵ラズベリーを加えて解凍させる。あとは、オレンジ、イチゴ、リンゴ、キュウリ、ミントなどを切って入れて、混ぜるだけでフルーツポンチのような飲み物の出来上がりだ。きゅうりを入れるのがヨーロッパらしい。ちょっとさっぱりさせる効果があるのだとか。

こうしてみんなで用意したごちそうを並べて、暖炉の上にキャンドルを飾ったらパーティーの開始だ。部屋をちょっと暗くするとキャンドル効果で雰囲気が出る。音楽もかけて、皆で他愛もない話をしながらゆっくりと過ごした。もう半年以上も同じ家に住んでいるので、今さら気を張ることもなく、身内のようにくつろげる。もちろん食べ物も全て最高の味だった。やっぱり美味しいものを大好きな人達と囲んで、美味しいねって言い合いながら食べるっていうのが私の一番の幸せなのだなと改めて感じ入る夜だった。

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