スウェーデン留学記#43 物語の舞台 Gotland島への旅②
『魔女の宅急便』は大好きな物語の一つだ。ジブリのアニメ版も好きだし、角野英子さんの原作小説も世界観が素敵だ。原作でキキが魔女として一歩ずつ成長していく過程に描かれている心の葛藤や青春時代特有の淡い感情はどこか懐かしくて共感できるし、キキを支える周囲の人達の心の温かさは殺伐としている私の心に染み渡って、その世界観に浸っていたくなる。
ジブリのアニメ版の『魔女の宅急便』で登場するコリコの街にはモデルが存在する。それはスウェーデンの首都ストックホルムとGotland島のVisbyという街だ。宮崎駿監督を含めスタジオジブリのスタッフがここで海外ロケを行ったそうだ。
Visbyは10世紀ごろにできたといわれ、12世紀ごろからハンザ同盟都市として栄えた。今も当時の中世の建造物を残していることから世界遺産に登録されている。旧市街には多くの古い教会跡が残され、市街全体が当時から残されている長さ約3 kmの城壁に囲まれている。
市街を囲む城壁が3kmなので、およそ一日あれば町全体をぐるっと観光できる。私達家族はVisby到着後、Clarion hotel visbyに一泊した。ホテルの朝食はビュッフェスタイルで、どれもこれも素晴らしく美味しかった。特にデンマーク式ワッフルは絶品だった。セルフで焼くスタイルでそれも新鮮だった。スウェーデン風パンケーキも薄くて卵やベーコンと合わせて食べると美味しかった。
朝食後、私たちはまず海沿いに出て城壁の周りをぷらぷらと散歩した。中世の姿のままの城壁を見ていると、そこだけ時が止まっているような不思議な感覚になる。
カモメがたくさんいて、それも魔女の宅急便のコリコの街を彷彿とさせる。
そして、改めて城壁の内側に一歩足を踏み入れると、石畳の趣のある路地やオレンジ色の屋根に黄色い壁のコントラストが美しい家々からなる可愛らしい街並みが広がっている。春から夏にかけてはこの街全体にバラが咲き乱れているらしい。残念ながらこの旅行の時期は真冬だったので、バラの季節ではなかった。想像力でなんとか補うしかない。
街のところどころに羊の像がある。Gotland島にはGotland sheepというこの島にしか生息していない羊がいるらしい。この羊の毛は上質な羊毛として島の特産品になっているらしく、島の紋章にも使われているらしい。確かに街にはGotland sheepを扱った毛糸屋さんもあり、編み物好きの母親はここで羊毛やら羊の人形やらを爆買いしていた。ちなみに母親はこの上質な羊毛を使うのがもったいなくて、帰国後何年も毛糸玉のまま保管している。いつの日か何かに生まれ変わるのが楽しみだ。
市街には現存する唯一の教会であるサンタマリア大聖堂の他に、いくつもの教会跡がある。大広場のすぐ隣にあったのが聖カリン教会跡だ。廃墟感満載である。
サンタマリア大聖堂のすぐ近くには街全体を見渡せる高台スポットがあり、ここからの眺めはまさしくコリコの街だ。オレンジ色の屋根の家々の上をキキが飛んでいきそうだし、下からはグーチョキパン屋さん常連のお客さんが手を振ってくれそうである。
中心街には可愛らしい雑貨屋さんもたくさんあり、各自お土産を買い込んだ。
一休憩にett rum för resande caféという名のカフェに入った。ドアもプランターも窓の内側のモビールも人形も、外装内装全てが可愛らしい。そして、私はGotland島名産物のサフランロールをいただいた。外側カリカリしてるし、中はモチモチで、サフランの上品な甘さが美味しかった!サフランの黄色がまた食欲をそそる。スウェーデンって、シナモンロールもそうだけどカルダモンロールとかサフランロールとか、○○ロール全般的に本当に美味しい!!!
家族の他のメンバーはケーキや、デニッシュパイなど各々好きなデザートを頼んでた。どれも美味しかったらしい。
その後もプラプラと雑貨屋さんを巡り、お土産選びをしているうちにあっという間に日暮れに(冬なので3時ごろには夕方感が出てくる)なった。
この日はBakfickanという海鮮料理のレストランで夕食を取った。聖カリン教会跡のすぐ前に位置している。内装がお洒落でアットホームな雰囲気のある落ち着くレストランだ。スモークエビと魚スープがおすすめメニューらしいので地ビールと一緒に頼んでみた。スモークエビは木製の箱に入っていてなんともお洒落だ。アイオリソースとトーストが添えてあり、ビールがすすむ。フィッシュスープは魚介の旨味がしっかり効いていて、ほっとする味だ。スウェーデンでサーモン以外に美味しい海鮮料理を食べたことがなかったので、ここの海鮮料理の美味しさは驚きだった。
こうしてGotland島に来て二日目、Visby観光の一日を終えた。街の景色も、かわいい雑貨屋さんもカフェも、美味しいレストランの食事も何もかもが最高だった。強いて言うなら、バラが咲いているところを見たかったな。いつかもう一度訪れたい。
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