スウェーデン留学記#32 クリスマスに向けて
スウェーデンで1年間暮らしてみて、スウェーデンで1番好きな季節はやはり夏だと思った。ルンドの夏は晴れた日が多かったのに対し、ルンドの冬は曇りの日が多かった。日本の太平洋側で育ち、西高東低型の冬の気圧配置の恩恵を存分に受けてきた私は、12月からお正月頃にかけての寒ささえも清々しく感じるほどすっきりと晴れた冬の青空が恋しかった。
それでも、冬至に向けて暗く寒くなっていく天候とは裏腹に、スウェーデン人達がクリスマスに向けて士気を上げていくのが街の至る所で感じられて、私のテンションも徐々に上がっていった。
例えば、雑貨屋さんではクリスマス仕様の可愛らしいグッズが所狭しと店頭に並び始めてたし、スウェーデン人がクリスマス前に食べるという「ルッカセット」というパンもカフェやスーパーに並び始めた。ルッカセットはサフラン味のパンで、ふわっと優しい味がする。そして見た目がなんともホッコリする黄色なのだ。日本では冬至に柚子湯に入って、かぼちゃを食べる慣習がある。サフランも、柚子も、かぼちゃもみんな黄色だ。夜が1番長くなる冬至の頃に、スウェーデンでも日本でも黄色い食べ物を取り入れているのは、太陽への恋しさの表れなのかなーと、勝手に頭の中で結びつけて微笑ましいような気持ちにもなった。
街全体がイルミネーションで次々と飾られていく作業を見るのもワクワクした。12月にもなると午後4時くらいには真っ暗になっていたので、夕方なんかに授業があると心細い気持ちで家から出掛けてた。けれど、途中イルミネーションでキラキラした大通りに出るとホッとした気分になったものだ。
12月1日には街の広場に大きなもみの木が立ち、そろそろクリスマスマーケットが始まるなという気配を漂わせ始めた。広場では家庭用のもみの木も売られていて、シェアハウスでも買うかどうか議論になった。結局、もみの木は買わなかったけれど、アメリがクリスマス仕様のキャンドルを買い込んできて家中に飾ったり、クラーラが大量のジンジャークッキーを焼き上げて暖炉の上の大きな缶に入れてくれたり、クリスマスらしさが家の中にも浸透してきて、ヨーロッパでクリスマスを過ごすということの重大さがだんだん身に沁みてきた。そんなわけで、せっかくならスウェーデンのクリスマス、思い切り楽しもうじゃないかという気持ちが固まり、私は友達とルンドのクリスマスマーケットに出かけることにしたのだ。が、その話は次に書きます🎄