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高校生の質問③「女子校、男子校と分けることについてどう思いますか?」

このnoteでは、女の子として生まれ、「ちいちゃん」と呼ばれて育ってきたかつての自分。男性として生き、「たっくん」と呼ばれ、福祉の専門家として働いている今の自分。LGBTQ当事者として、福祉の現場に立つ者として、「生」「性」そして「私らしさ」について思いを綴ります。(自己紹介はこちら)
今回も、講演会で出会った高校生からの質問に答えていきます。

【高校生からの質問】

「田崎さんは、学校を女子校、男子校と分けることをどう思いますか? 共学の方がいいと思いますか?」

***

【田崎の回答】

実は僕、女子校出身なんですよ。僕の通った女子校の制服はなかなかかわいくて、気に入っていました。

女子校や男子校については、僕個人は、なくした方がいいとは思っていません。きっとどの学校も、女子校、男子校としての意義、使命を持って教育をしてきたのだろうと思います。もちろん生徒に「女らしさ・男らしさ」を求めすぎるのは、今の社会には合わないことだと思いますが、女子校、男子校をなくすことはないと思っています。

ただ、女子校も男子校もあってよいと思うけれど、トランスジェンダーの受け入れをしっかり進めてほしいと思います。

よく話題になるのが、男性として生まれたトランスジェンダー女性の女子校(大学)への入学を認めるかどうかです。

例えば、国立の奈良女子大学では、2020年度から、女性としての性自認を持つトランスジェンダー女性の学部入学を認めています。奈良女子大学は、「トランスジェンダー女性として入学後に本人の性自認が男性に変わった場合も、学則等に反しないかぎり、退学にすることはありません」と、性自認が変化した場合の対応方針も明らかにしています。

トランスジェンダー女性の女子大入学が話題になる理由の1つは、外見の問題です。日本は本人の性自認よりも、その人の外見で性別を判断する傾向がまだまだ強いため、トランスジェンダー女性であれば、ホルモン治療や乳房の形成、そしてかつらやメイクなどで「女性らしい外見」になることが求められているように思います。

でも、トランスジェンダーの中には、さまざまな理由でホルモン治療や性別適合手術を受けられない人(受けない人)がいます。外見で性別を判断しないことはとても大切なことなのです。

欧米などの性の多様性における先進国では、ひげ面でスキンヘッドであっても「私は女性」と言えばそのコミュニティーでは女性として受け容れられます。

でも、日本には、「女性だったら、髪の毛は長いはずだし、お化粧もしているはずだし、女性らしいしぐさをしているはずだ」という固定観念がまだ根強いと思います。

大学では、奈良女子大学のほかに、国立のお茶の水女子大学、私立の宮城学院女子大学がトランスジェンダー女性の入学を認めています。

それぞれの教育理念をもちながら、多様な性のあり方、生き方を尊重し、さらに性別を問わないトイレの設置や1人で着替えができるスペースの整備などが、女子校、男子校で進んでいってほしいと思います。


〈次回の投稿は12月21日の予定です。「多様性を尊重する社会をつくるためには、お互いを理解し合うことが大切だと思うのですが……」という高校生に対して、私の考えを述べてみます。(田崎)〉

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