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売約済み販売車両Z1000製作模様の紹介です(4)

3回目に続いてタサキチューニングで実際に販売したカワサキZ1000の製作模様を紹介します。この車両は納品済みです。

当社では古いバイクを販売するときに、お客様が希望された販売コースに合わせて(フルレストアコース、整備+部分レストアコース、旧車バイクチェック仲介コースがあります)作業し販売しています。

今回は今一番ご注文が多い、整備+部分レストアコースでの作業を施したカワサキ空冷Z1000(1977年式)の作業模様4回目です。

今回はまずヘッド回り、その後ミッションの作業を紹介します。

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この写真は燃焼室の軽研磨作業とポートのカーボン落とし+軽研磨作業、プラグ穴の清掃が終わった後に、バルブシートカットすり合わせ作業を行う前の写真です。IN側。

このZ1000は当社で手に入れた車両ですが、かなり程度が良く、あたり幅も広がっていないほうで、カーボンの噛み込みも少ないです。このように状態の良いものはとても少なく、Z1などはめいいっぱい広がっているものもが多いです。

またMK2などの後期モデルでも当たり幅が広い部分と狭い部分があったり、このZ1000のように程度の良いものは多くありません。

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同じくシートカットすり合わせ作業中のIN側1番。作業途中で光明丹を塗って当たり具合を必ずチェックします。一見上手く作業出来ているようであっても、光明丹でチェックするとやや斜めに当たっていたり、上手くいっていないこともあるからです。その場合は修正します。

多少うまくいっていなくてもそれなりに走りますが、エンジンに力がなかったり、最初良くてもすぐにパワーが落ちてきたり、調子が悪くなるのが早くなったりします。

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やや解りにくいですが、バルブシートカットすり合わせ作業が終わった後の写真です。ねずみ色になっている箇所。バルブシートのあたり幅はエンジンの仕様で多少変えていますが、少し目視で狭目でも走ればすぐに少し広がります。

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同じくシートカット前のEX側バルブシートです。IN側に比べカーボンの嚙みこんだ後、黒くなった箇所が多くなっています。ただこちらも状態は良い方であたり幅も広がっておらず、極めて状態は良い方です。

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同じくEX側もバルブシートカットすり合わせ作業中に光明丹であたりをチェックしている写真です。

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この写真は光明丹でチェックするときのバルブです。薄すぎず、濃すぎず、これぐらいの状態に塗ってチェックします。EXバルブの写真。

薄すぎると色がつかずあたりが解りませんし、濃すぎると悪い状態でも色がついてしまうのでチェックになりません。

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EX側1番のバルブシートカットすり合わせ作業が終わったところ。IN側よりややあたり幅は広めにします。バルブの熱をバルブシートに逃がすためです。

このヘッドはこの後、修正面研したり、外観のレストアのためブラスト作業をおこなったりします。

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修正面研に出す前にカムホルダー側のバリ取りを行います。この時にネジ山が傷んでいたりすればそれも修理します。程度の良いものは修理箇所は少なくなります。

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バリ取り後ご覧のようにかなりの削りくずが出ますし、作業には意外と時間がかかります。バリの出方は車種、またメーカーによって結構違います。当然バリが大きい物は良いとはいえないので落としておく方が良いです。Z系は標準か、良い方だと思います。

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外観のレストアのためブラストを行うのですが、そのためのマスキングを行ったところ。

エンジン関連でいえばヘッド、シリンダー、クランクケースに分けられますが、3つに分けずにエンジン丸ごと1機の状態で(中身はない状態で)する方がはるかにマスキングの時間も短くなり、時間短縮ににつながります。

ですが3つに分けて行うほうが細かいところまできちんとブラスト処理が行えるので当社ではこうしています。ただ車種によっては治具がなかったり、上手くマスキングできないものもありますので、臨機応変に対応します。

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ヘッドマフラー側。ボルト穴のメクラはボルトの頭を切ったものを使用しています。ブラストするときに邪魔にならないようにです。

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プラグも頭の部分を取り除いて、ブラストの邪魔にならないようにしてあります。

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面倒ですが一つ一つ丁寧に。

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ヘッドカバーの後でバフ掛けする箇所はマスキングしてあります。

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ヘッドキャブ側。

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ヘッドのブラスト処理が終わったところ

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このように奥まで綺麗にブラスト処理を行います。これもエンジンを3つに分けており、作業がしやすいのでここまでできるわけです。

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反対側

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マフラー側1番2番。

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3番4番側。

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IN側3番4番

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IN側1番2番

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裏側

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左側

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右側。下地がきちんとできていると、この後色を塗った時の質感が良くなります。

続いてミッションの組み立てを行います。

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分解洗浄、チェックしてからドッグの必要な部分にアンダーカット加工を施したところ。アウトプットシャフト側。

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ドライブシャフト側。

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アンダーカット加工したギヤ。角度は浅め。浅めに加工するほうがむしろ難しく、一般道で走るならこれぐらいが良い。削りすぎれば弱くなるし、シフトがしにくくなる場合もあるので。特に写真のような爪が6個タイプ。

カワサキZ系はそれほどでもないですが、ドッグ部のアンダーカットの角度は乗った時の印象が結構変わるので自社で角度を決め、なるべく他人任せにしないほうがいいと思います。特にローソン系など爪6個が多く使われている車種では。

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ミッションがらみで交換する部品その1

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ミッションがらみで交換する部品その2。このように交換した部品、作業をを記録しておけば、自分のバイクはどこでどのような作業をしたのか一目瞭然で解り、何かトラブルが起きたとしても問題解決が早くなる。

例えばミッションが上手くシフトできなくなったとして、一度外からざっと見たうえで、エンジン内のミッションの製作模様をチェックし、問題が起きる箇所や間違いがなければステップ回りのリンケージ回りを再確認し、問題が解決したなど。

ミッション組みたては写真の枚数が多いのでドライブシャフト側の写真のみ紹介します。実際にはアウトプットシャフト側も同様に写真など残してあります。

理由はカワサキZ系はドライブ側トップギヤでやや弱いところがあるので、それをついでに見ておいて欲しいから。

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これら部品を組み立てていきます。

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ドライブシャフト

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アンダーカット加工された4速ギヤ

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摺動部分にグリスを塗り組付け。グリスは必要な部分にはすべて塗っていきます。ただし塗りすぎて、あちこちベタベタにならないように。液体パッキンの塗りすぎと、グリス塗りすぎ、あちこち指紋ベタベタで全くふき取っていないはダメ整備の典型。

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ロックタイプのワッシャ

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ここに組付けます

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ロックワッシャを組付けたところ

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この28mmのサークリップを組付けます

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サークリップを組付けたところ。サークリップにはエッジのたった方があり、力がかかる側にエッジが来るように組付けます。また位置も写真のように組むのが正しい組み方です。(文章では説明しにくい)

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次は3速ギヤです。これもドッグ部アンダーカット加工をしています。

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この写真のように、ドライブシャフトのオイル穴と同じ列に3速ギヤのオイル穴が重なるように組付けていきます。

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組付け後。腕の悪い店でオーバーホールすると、こういうオイル穴の位置が間違って組付けられていたりします。それでもバイクが優秀で簡単には壊れたりしないために見逃されているわけです。

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先程と同じく28mmのサークリップを組付けます。

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今度は先ほどと組み付ける位置が違い、このようになります。これも力がかかる側にエッジが立っている方が来るように組付け。こういう小さなことをきちんと作業するのが大切。

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そしてこのロックワッシャ。

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ロックワッシャをサークリップの上に組付け。

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続いてトップギヤ部分に使用するブッシュ。やや解りにくいですがオイル穴があります。このブッシュ関係はたまに欠けていたりして悪くなっているものを見かけます。そういう時は交換となりますが、このブッシュは大丈夫。

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ブッシュを組付けているところ。この部品も写真のようにシャフト側のオイル穴とブッシュのオイル穴が同じラインに来るように組付けます。これも多くはないですが間違って組んであるものを見かけます。
ここは間違うと焼き付く可能性あります。

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このようになります。

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トップギヤ。このギヤの他のギヤのドッグ部分に比べ、細くて強くありませんから、雑にギヤシフトしてはいけません。(きちんとクラッチを切ってやや丁寧にシフトすればよいだけ)ただ、通常の運転で折れたりはしないので、もし壊してしまったときは運転の仕方が悪い。

なんでも機械のせいにしたり、他人のせいにするのは間違い。まずは自分の取り扱い方を確認。もちろん私も含めて。

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トップギヤを組付けたところ

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次に2速ギヤを組付けます。

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2速ギヤを組付けました

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次にこの銅ワッシャを組付けます。減ったり傷んだりすることは殆どありませんが、念のため厚さをダイヤルノギス(百分の一単位)で測定しておきます。

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銅ワッシャにグリスを塗り組付け。

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次にこのスラストワッシャを組付けます。先ほどの物よりやや厚いワッシャとなります。

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ワッシャを組付けました。

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次にこのニードルベアリングを組付けます。普通に新品が手に入るのがありがたい。欠品にしないで欲しい。

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ニードルベアリングを組付けたところ

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このサークリップを組付けます。

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サークリップを組付けたところ。このように、きちんとはまっているか解るように真横からの写真をまず撮ります。

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続いて真上からの写真も撮っておきます。こうすればきちんと組付けられているか、後でもすぐに確認できますので。

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ドライブシャフト側のブッシュ。溝に小さなオーリングを組付けます。

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このオーリングです

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オーリングを組付けました。このような写真も撮って置けば、後で組み忘れがないか確認できます。外からは見ることができないので。

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ブッシュをシャフトに組付けました。

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同じドライブシャフトの反対側です。こちらにベアリングを組みつけます。

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このベアリングを組付けます。これも純正部品が出るのがありがたい。

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ベアリングを組付けました。

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クラッチのブッシュです。

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ブッシュを組付け、ドライブ側のミッション完成。

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アウトプットシャフト側も同様に作業してミッション完成。

このように組付け作業を一つ一つ記録しておけばに何をどのようにしているかすぐに解ります。一つ一つ確認して作業を進めますから、作業ミスも減らせますし、後で作業した私たち側、そしてお客様側でもいつでも確認できるのはとても良いことだと思っています。

根拠のないフルレストア、オーバーホールを謳っているものなど私は持ちたくないし、売りたくない。そういう思いです。良い旧車バイクは一生付き合えるパートナーになるからです。

当社の販売するバイクはすべてこのような記録がエンジンオーバーホールで約1000枚、車体を分解整備したもので2000枚ほどの記録を残しています。

とても手間がかかりますが、今後も続けていきます。


私のブログ
http://tasaki-tuning.com/blog/

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