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売約済み販売車両Z1000製作模様の紹介です(3)

2回目に続いてタサキチューニングで実際に販売したカワサキZ1000の製作模様を紹介します。この車両は売約済みです。

当社では古いバイクを販売するときに、お客様が希望された販売コースに合わせて(フルレストアコース、整備+部分レストアコース、旧車バイクチェック仲介コースがあります)作業し販売しています。

今回は今一番ご注文が多い、実際に販売した整備部分レストアコースのカワサキ空冷Z1000(1977年式)の作業模様3回目です。

今回はピストン、シリンダー回りです。

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これが使用するピストンキット。ビトーR&D製です。

これからピストン、シリンダー間のクリアランス測定とピストンリング回りの作業をします。
ピストン、シリンダー間のクリアランスを先に測定し、その後リング回りの作業を行うのですが、ここでは説明しやすいので先にリング回りの作業を紹介しています。

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まずピストンリングの合口の面取り作業をします。これがピストンキットに入っているリングセット。

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ピストンリングの合口部分は面取りをしなくてはいけませんが、この写真は作業前。
トップリングから作業するのですが、細かい作業で写真で解りにくいので、トップリングではなく黒くて解りやすいセカンドリングで説明します。

リングにNとマークが入っていますが、このリングには向きがあり、Nマークが入っている方を上向きにしてピストンに組み付けしての意味。

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この写真が面取り後。この作業をトップリングとセカンドリング、4気筒全てに行います。面取りしすぎたり、丸くなったりしないように行います。何でもやりすぎはよくありません。

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作業が終わったら箱に書いておきます。当社は複数台同時に作業している関係ですぐにエンジンの組み立て作業に入れないため、作業済みかそうでないかが外から見てすぐに解るようにしてあります。

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使用するピストンに合わせて、ライナー打ち換えボーリング作業が終わったシリンダー。上面は段差をなくすため最低限の面研をしてあります。

ライナー打ち換えボーリングやボーリング作業は、どこの店に出しても上手くいくというものではありません。

ピストンとシリンダーのクリアランスだけでなく、ライナーをどれぐらいの寸法で圧入してあるか、ホーニングのクロスハッチの目がちょうどよく仕上げられていることも大切です。

また上面の面研もやりすぎはダメで、またシリンダー下面も過去のまずい作業を修正する(エンジンを分解したり、ガスケットをはがすときに傷を入れてしまっている)面研をすることもありますが、これも最低限にする必要があります。

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シリンダーに先ほど合口の面取り作業をしたリングを入れ、合口のすき間を測定します。

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合口のすき間はシックネスゲージで測定します。面取り作業を行っていないと正しくこのすき間も測定できませんし、ピストンにリングを組付けた時、リングの合口部分がピストンに引っかかってしまうこともあり得ます。

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実際の測定値がこれになります。紹介しているような写真と共にデータを残しておきます。こうしておけば10年後に確認したいとなっても大丈夫。

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使用するピストンです。コスワース時代とはかなり形状が違います。もちろんどちらも良い商品ですが、組み立てる作業自体はコスワース製の方がしやすいです。これからピストン、シリンダー間のクリアランスを測定します。

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まず、ピストンを測ります。コスワース製と測る場所が違い、ピストンの下端から10mm上の部分を測定となっています。

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ボアゲージで測定します。この写真の状態だと0.07mmのクリアランスとなります。

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ピストン、シリンダーのクリアランスは縦、横の上、中、下、6か所を測定します。この写真は横の上です。

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この写真は縦の上です。

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実際の測った数値がこれになります。測定の条件がボーリング作業した時とは違いますから、ある程度違ってきて当たり前でこの数値は今までの経験から問題なし。

もし著しく思うものと違うようなことがあれば作業した所に問合せ、その時の測定データを確認してからどうするか検討します。ボーリング作業などに出したときは必ずこのように自社で確認することが大切で、それこそが品質の確保につながります。これこそが工賃をいただく意味です。

例えばブランド品の眼鏡と、そうでないものもこういう確認作業に対するコスト、確認することにより使えず廃棄される物、それにより品質は向上、確保され、したがって値段も上がる。どれを選ぶかは買う側の価値観で自由に選べば良いのです。

良いものが高くなるのは必然ですが、私は高い物が欲しいのではなく、自分のこだわっているものはきちんとしたものが欲しい派です。

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続いてピストン回りの作業をします。

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バルブがピストンに干渉しないように加工されているリセス部分の面取りをします。写真ではそれが解りやすいように削りカスを残してあります。

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ペーパーなどをあて、もう一つ作業を進めたところ。余計なところを削らないように慎重に進めます。

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ピストン上面をこのようにしてから次に軽く磨きます。

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仕上げまで終わったところ。

この作業はしなくても問題ありませんが、した方が良い。ノッキングなども作業したからと言って使用条件が厳しければ(特に暑い時の上り坂)でなくなるわけでもありませんし、カーボンがつかなくなるわけでもない。でも少しでも良くしたい、好調を長く楽しみたいのならしていたほうが良い。そういう作業です。時間が結構かかりますが。

元々ピストンが高品質ですので上面以外の部分はそのままで使用することが多いです。

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4気筒とも作業しました。

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続いてサークリップを片側だけ組付けておきます。

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現在のサークリップはこれになります。コスワース製のに付属していたタイプの方が組付けやすく好きですが。

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サークリップ組付け後です。ミスをしやすい部分ですので何度も確認します。

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次にピストンリングを組付けます。

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ピストンリングが作業済みか確認します。

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組付けるリングはこれになります。

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まずピストンにオイルを塗り、またそれぞれのピストンリングにもオイルを一つ一つ塗ってからリングを組付けたところ。

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ここまで作業したら埃がつかないようにして一旦保管します。
今日はここまでで次回に続きます。

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