オフとオンあやふやで
多分、戯曲「リトルセブンの冒険」のあとがきだったと思うのだけど、
まだ新感線が大阪でやっていた頃、アイドルたちと舞台を作ることになり、とても楽しい日々をすごし、その舞台が終わってアイドルたちとの日々が終わったあとの劇団は、まるで、白雪姫が去ったあとのドワーフたちのような気持ちだった。
みたいなことが書いてあった。
今、おんなじ気持ちかもな……
「スイッチ」という作品で私が一番好きなところは80分で終わるところなのだけど(映画大好きポンポさんかい)、そのために様々なことが説明なく進む。それは私の作品ではよくあることで、若い頃はそれを説明するのは野暮だと思っていたのだけど、最近は、むしろ解説ってあった方がいいんじゃないかと思う部分もあり、別にこれを読んだから作品理解が深まることはないのだが、己の承認欲求を慰める意味も込めて、いくつか書いておこうと思う。なお、俳優陣は全員さんづけで書きます。
きてこわ
アリアとみちるが仲良くなるきっかけとなったYouTubeチャンネル「キテレツに怖い話」の略称。ファンのことは「こわとも」と呼ぶ。きてこわの運営グループは「語る座」という四人組で、毎回ゲストを呼んで怪談を語り合うというシンプルな構成。
「語る座」は、実在の怪談グループ「おばけ座」がモデルであり、みちる/そらが推すボンバー松崎とアリアが推すさくらこさんにも、それぞれチビル松村と(私の推しである)深津さくらというモデルがいる。
なお、「スタジオ幽霊」や「山がなかった話」「いっぱいの貼り紙の話」にもそれぞれ元ネタがあるので、気になる方はぜひ怪談を聴いてみてください。
みちるとそら
漢字で書けば、満と空。
そらが入院している404号室。この数字は改めて説明するまでもないけど、「お探しのページは見つかりませんでした」ですね。
すぐに消えましたが、みちるとあらた、というアイデアもありました。
漢字で書くと、満と新。月の表と裏、みたいなイメージがあったのですが、これは名字の方に残っています。
NEWing!
なんでこんなちょうどいい塩梅の名前思いついちゃったんだろう。
明らかに「入院」を想起させつつ、「新しい翼って意味と、NEWの進行形で更新し続けるという意味なんです」と逃げれるネーミング。正直、通らないかもなーと思いつつ林Pに送ったんですが、すぐに「いいですね!」と返事が来たので、小さくガッツポーズしました。ちなみに林Pに送った時には、「入院とかけてます」とは一言も言いませんでした。
ホンポ、アリア、しらべ
アイドルとしての芸名と、本名が違う。というのは今回絶対にやりたいと思っていました。しかも、現実のNEWing!(という言い方でいいのか?)は俳優さんの本名でやるから余計にややこしかったですね。
カシオリ・ホンポ。本名は東詩織。
親が和菓子職人。という設定が先にあり、そこから名前が決まっていきました。芸名と本名の関連が多少はないと自分が書いてて混乱すると思い、菓子折り……しおり……の順番で本名は詩織になりました。演じてくれた深川さんには絶対ソロを歌わせたいと思っていたので、夢がかなってよかったです。
星アリア。本名は干皮ありさ。ナースの世界線では星川ありさ。
アリ・アスター監督から名前をとっています。ミステリアスでセクシー、という当初のオーダーをホラー好きキャラにずらしました。完全に私の趣味です。ホラーが好きなんだ。
小手調しらべ。本名は藤原調。
たしか最初に名前が決まったの、しらべだったと思います。演じてくれた牧野さんとは以前一緒にお仕事したことがあるので、イメージが浮かびやすかったのかも。結局物語には登場しませんでしたが、中学のとき剣道で県代表に選ばれているという裏設定があります。なんか、牧野さんって剣道やってるイメージないですか? 私だけ?
ぬいさん、玉さん、サリーさん、楠木、荒牧
ぬいさんは、最初ぬいぐるみを抱えてる設定だったんですよね。ぬいぐるみ抱えてる大谷さんも見たかったです。
玉さんは、花火師なんで。たまや~ってやつです。
サリーさんは、魔法使いサリーからとってるんですけど、じゃあなんで魔法使いサリーからとってるのかは覚えていません。
楠木と荒牧は、林Pの原案をそのまま採用しています。なんとなく、解釈一致だと思ったんですよね。くっすんという愛称は、もちろん「くっすん大黒」から来てるんですけど、だからなんだって話ですわね……
楽曲
スイッチ
1番と2番で韻を踏んだり、音や意味が対になるように歌詞を書いています。
「オフとオン」「お布団」「オンとオフ」「お豆腐」のあたりがお気に入りです。
フェアトレード・チョコレート
元々、別の場所にふざけて書いた歌詞をここで成仏させました。
ホンポの夢
編曲を有定さんに任せず、自分でやりました。ホンポが一人で作っているためクオリティがあまり高くない、という設定にしたかったので、プロに任せなくてもいいのではないか?俺が作ってもいいんじゃないか?と思ってやってみたらすげー作業量増えましたが、楽しかったです。深川さんの歌唱力があれば、裏で鳴ってる音がへぼくても大丈夫。
小ネタ
ドラゴンヘッドやめて
これ、見に来てくれた20年来の友人に言われて気づいたんですが、「ナイトヘッド」の間違いです。なんで気づかなかったんだ。
静かな演劇
藤原は一般名詞のつもりで「もっと静かな演劇にしてください」と言ったのに対し、玉さんは固有名詞としての「静かな演劇」だと勘違いした、という誰が分かるねん、というくだりが本当に好きです。
みこしやないんやから
マネーの虎です。とはいえ、僕は元ネタを知らなくて、オモコロチャンネルの企画で知りました。
カーテンコール
最後のそらのあの表情は、完全に林Pの趣味です!なので、あの演出が好き!という方は林Pに言ってください。私の感想は「いいけど……好きだよねぇ、ほんとにそういうの……(笑)」です。
最後に
一応、私達創作サイドで「こういう話」というのはあるのですが、皆さんの頭の中に残ったお話が正解です。
林Pは、自分の頭のなかを具現化してくれた、と言ってくれていますが、一方で私は、かなり好き勝手やらせてもらった、と思っています。これはあの演劇のオマージュで、あれはあの演劇のあの場面をモチーフに……、と、僕の好きだった演劇のごった煮みたいな作品に結果的にはなったように思います。
あ、そうだ。「スイッチ」をカラオケで歌いたい!という人がもしいたらなんですけど、これは完全に偶然なんですけど乃木坂の
【おしまい】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?