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オペラ座の怪人になりたい話。

「どこに住んでみたい?」

場所、間取り、日当たり、ほしい家具とか駅から何分とかお隣さんがどうこうとか、忙しい生活を日々送っている私たちにとっては、そう聞かれたら、こんな感じで具体的なおうちをイメージすることが多いと思う。だって、生活するってそういうことだから。今の私(日常ver.)だったら、ターミナル駅に近くて二面採光・南向きの緑あふれる丁寧なくらしに憧れます。

一方、今の私(非日常ver.)は「どこに住んでみたい?」と聞かれたら、
コンサートホールに住んで『オペラ座の怪人』みたいに暮らしたい!
って答えます。もちろん、シャンデリア落っことしたり事件を起こさない、オーナーと賃貸者契約を結ぶ系のオペラ座の怪人です。

甲乙って難しいなと思いながら契約する怪人(イメージ)

1.『オペラ座の怪人』、見たことありますか?

『オペラ座の怪人』(オペラざのかいじん、フランス語: Le Fantôme de l'Opéra)は、フランスの作家ガストン・ルルーによって1909年に発表された小説。1909年9月23日から1910年1月8日まで日刊紙『ル・ゴロワ』に連載されていた。1910年4月、ピエール・ラフィットにより出版された。

ウィキペディア

日本では劇団四季さんのミュージカルや映画が有名ですので、見たことがある方もきっと多いと思います。オペラ座で暗躍する怪人と、彼が恋する歌姫クリスティーヌ、その恋人のラウルが織りなす壮大なミステリーロマンス。劇中歌が名曲揃いで舞台も豪華絢爛、目と耳が喜ぶエンターテイメントです。私も大好きで「迷惑な怪人だな」と思いつつ、学生時代には映画を10回以上見ました。団員には見えないところを怪人がスッと通りすぎる場面があるのですが、舞台をこんなに間近に見れてうらやましいと思ったものです。

2.つまり、どんな暮らしをしたいの?

  • まずは、大好きな音楽に囲まれて暮らしたい。アマチュア音楽団で楽器を弾いていて、クラシック音楽を聴くのが大好きなのですが、時間の使い方が下手なうえ、仕事や育児があるなかでコンサートホールに行って生の演奏を聴く時間が作れない。広告ばかりの音楽配信サービスでは物足りない。でも怪人だったら、いつでも好きな時に音楽が聞けるんじゃない?しかも間近に聞けるぞ、と思ったわけです。

  • そして、コンサートホールは広くて綺麗です。収容人数が2000名を超えるサントリーホール(六本木)では楽屋が14室あり、そのうち2部屋にはシャワーとお手洗いが併設されています。ホワイエも広いので、私の他にもコンサートホールに住んでみたい怪人候補の方と一緒に、シェアハウスのように暮らすこともできそうです。客席からは見えないのですが、舞台裏の小さい階段、照明や音響設備、非日常感がありとてもワクワクするんですよ。誰もいなくなったホールも見てみたいです。ちょっとホラーだったりして。

  • 最後に、コンサートホールのおめかししたお客様、よくわかっていないお子様たち、座席表をスタッフに尋ねる人たちを見るのが好きなのです。お目当ての指揮者、楽団、楽曲、色々あるなかで同じ場所に集まった観客たち。お互い話かけることは全くないですが、音楽を通してゆるくつながっているところが、ちょっとした共同体のようで愛らしいです。そんな観客たちを怪人らしく遠目で「フフフ」と眺めたい。眺める場所によっては「そこ邪魔!」ってステージ関係者に怒られるかもしれません。

3.「住んでみたい」と「ずっと暮らしたい」はちょっと違う

長々と「オペラ座の怪人」みたいにコンサートホールに住んで、大好きな音楽に囲まれながら暮らしたいと書いてきましたが、そう思うのは最初に書いた通り非日常ver.の私。音楽鑑賞は大好きだし、広くて綺麗な住まいに憧れるし、怪人みたいにちょっと余裕を持った感じで過ごしたいけど、当たり前だがそんな生活はずーっとは続けられない。

駅から10分歩くし、部屋数も多くなければ広くもない。子どものおもちゃがリビングの床に延々と広がり、片付けなかった夕食の皿が朝までテーブルに残っていることもある。毎日あんまり余裕もなく丁寧なくらしとは程遠い家ですが、子どもが「ただいま!」と元気に帰って来たり、たまに旦那が夕食を作ってくれたり、仕事終わりで疲れてても掃除ができた妙な達成感とか、家族と作る小さなハッピーが積み重なっている、日常の空気が流れる今の家にずっと暮らしたいと思うのです。


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