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ドラマ「0、5の男」について、対談してみました。 その①

連続テレビドラマ「0、5の男」の配信が始まり、今まで以上に、たくさんの感想をいただくようになりました。

普段、自分が映画を監督したりすると、映画館で公開して、その宣伝のための取材を受けたりなんかして、それが記事になったり、パンフレットに載ったりするのですが、テレビドラマの場合、そんなことは、たまにしかありません。

ドラマを観た後に、好きになってくれた人が、また違う形で楽しめる、映画のパンフレットの対談のようなものができないだろうか。監督による対談を、せめて、このnoteで、掲載するのはどうだろう、と思い立ち、もう一人の監督であった、玉澤恭平監督を、真夏の夜のコンビニに呼び出し、酒が入っているにも関わらず、モンスターエナジーで乾杯し、じゃがりこを食べながら、話をしてみました。

夜な夜な集まる虫、二匹。

その前に、少し玉澤監督の紹介を。
このドラマには、登場人物として「たまちゃん」が登場しますが、これは全くの偶然で、私は、彼のことを「たまちゃん」と呼びます。付き合いは古く、2011年に撮影した「キツツキと雨」で初めて助監督として参加しました。2017年撮影の映画「モヒカン故郷に帰る」という作品では、撮影場所の島に半ば住み込み、島の方たちの協力を得るため、奔走してくれました。以後、映画「子供はわかってあげない」「さかなのこ」と、助監督として、作品を支えてくれました。
ちなみに今回でいうと、
1話、2話、5話(最終話)が沖田。
3話、4話が、玉澤監督回でした。

あの頃を思い出す、たまちゃん。

玉:カチンと入れとこう

沖:あはは 職業病だよ

玉:ボールド入れときますね(笑)

沖:じゃ開けよう、よし(といって、モンスターエナジーを開ける)

玉:おめでとうございます(開ける)

沖:あー、酒飲んだ後のモンスターまじい

玉:これちょっと目覚めてきますね、効きますね

沖:撮影したのは2000何年?

玉:2022年の10月中旬から初めて、2023年の12月までじゃないですか

沖:今、配信がはじまって、いろんなとこで見てる人が増えてると思うんですけど、どうですか?

玉:(笑)めちゃ嬉しいですよね むしろどうですか?沖田さん

沖:俺はあの、、なんかいい雰囲気だったじゃん、ドラマも、松田さんも。だからいろんな人が見てくれたらいいなと思ってたけど

玉:映画は、映画終わって配信みたいな流れが今あったとしても、昔はD V Dとかもあるじゃないですか、でも今回ドラマがあって、あれが終わったらもう配信ないてなると、観れるとこがもうなくなるというか、勿体無さというか、ここまでオリジナルのドラマって近年絶対ないと思うから

沖:改めて久しぶりに見たじゃん?、玉ちゃん的には、思うところはあるの?自分の回とか

玉:2周しましたもん。いやー、めちゃめちゃ思いますよ

沖:ここ、上手くできたなとか

玉:撮ってる時も、仕上げてる時も、完成したのでも、ここ(頭上)に、どっか沖田さんだったら、ていうのが、ありましたよ。沖田さんだったらどうしてたか、とか。でも比べて撮ってて、オッケーて言えないじゃないじゃないですか。だから、自分で何が気持ち動くんだろうっていうのとか、色々自問自答しながらです。わかんないとこは沖田さんにも聞いたりしてはいたけど。

沖:3、4話で、ここはちょっと好きだぞ、みたいなの、ある?

玉:僕は、オフ会好きです

沖:(笑)でも俺、玉ちゃんの回だけ、4回くらい出てるじゃん

玉:そうすね

沖:見た人が、ドラマ面白かったけど、沖田が要らなかったって言ってて(笑)

玉:それは身内が言うだけでしょ、他の一般の方々は純粋に見てもらえれば、そんな、気づかないですけど、3話で最初に出て、4話で3回くらい出ましたから(笑)

ぜひ探してください。

沖田を探せ

沖:出過ぎだよ(笑)うちの母親まで探し始めたもん

玉:沖田さんを撮るっていうのも一つあって、沖田さんが『子供はわかってあげない』(注*2021年公開映画 沖田が監督 玉澤は助監督)の時に、史朗さん(注*故プロデューサーの佐々木史朗さん、オフィスシロウズ代表)を撮ったように、オフ会の台本読んだ時に、単純に、沖田さんと松田さんのツーショット撮りたいなというのがあって、この二人が純粋にゲームやってる。あれは欲に近かったかもしれないですね

沖:最初キャスティングの時に、雅治、誰がいい?ってなった時、松田さんがいいってなって、その時、玉ちゃんは、絶対松田さんがいい、って急に言い張ったのを、すごい覚えてる。

玉:沖田さんと台本作り、長くやってたじゃないですか、その時に誰がいいって話してた時に、いの先に松田さんの名前上がったから、俺もう、松田さんしか考えられなくなっちゃって

沖:(笑)似合ってたよね なんかああいう

玉:でも沖田さん、あれじゃないですか。自分の脚本を人に撮らせるとかないじゃないですか。だから、すごいそのプレッシャーはあって。これ全部沖田さんが撮った方がいいんじゃないですか?って話もしてたくらい。

沖:3、4話って、ちょうど恵麻ちゃんが心開いていく瞬間があるじゃない?、その辺の感じが玉ちゃん上手いなと思ったの。コミュニケーションの取り方とか。玉ちゃんが恵麻ちゃんのシーンの数々を担当したのは、結果的に良かったなと。

玉:確かに俺、1、2、5話を撮れってなってたら、逆にどうやったらいいかわかんないすよ

沖:あのさ、コメントがS N Sに上がってきてるのを読んでて、で、蓮くん。

玉:蓮くん、素晴らしいですよね

沖:ヤッピー(蓮くん役の永瀬矢紘くんの、現場での呼び名)のことについて、めちゃめちゃ書かれるわけ。こんなみんな反応してくれるんだって

玉:天使だって。なるべく自由に。しばられることなく。自由にやらせる空間を作れたのが、一番の勝算だっだかもしれないすね。

沖:最初にホン読み(俳優が台本を読む時間)やったじゃない

玉:やりました。下高井戸の公民館でやりましたね

沖:あん時にちょっと安心したんだろうね、みんなが優しかったから、と思ったんだけど、違うの。見返したら、そういうんじゃない!、あれは、ただ、ヤッピーがすごかったんだ!と思って。ヤッピーに助けられたんだよ、このドラマは!(笑)

撮影現場にて。アイドルカットをキメるやっぴー。

玉:緩衝材というか、現場も彼がいるから笑ってられるというか。俺、幼稚園のシーン多かったじゃないですか。やっぱ、ヤッピーに振り回される雅治を撮るだけで、こんな面白いんだっていう感じが。

沖:ああいうの好きだよね、作ってる方は

玉:そう、めちゃエモい 見てて泣きそうになって

沖:自然が写ってるから 子供の自然が写ってるから

玉:あのシーンは覚えてますね。芦澤さん(注*芦澤明子さん。#1,3,5話のカメラマン)が、やたら動くヤッピーに、ついていこうとやってくれるんですけど、毎回ヤッピーが違くて、その感じが面白くて。

沖:蓮をこっちの都合でやらせちゃいけない、みたいのはあったよね。

玉:バグレンジャーの2話で踊ってるとこなんて、ちょーいい。めちゃいいですよね

沖:まさかエンドロールで全部使うことになるとは思わなかった

玉:友人が、もう2周くらい見てるんですけど、事あるごと、なんかあるとあそこばっか見てるらしく(笑)

沖:それはもう子供が可愛いだけっていう(笑)猫動画と変わらないじゃん! 俺もなんか、最後の、バクレンジャーの、溜めて、絶叫で、吹いたもんね、編集してて

玉:やっぱ、2話のオープニングのクレーンとか、すごいなと思うんですよね、平面的なとこから一気に入っていくんですよね、平面的な動きは舞台とかあるけど、でもやっぱ奥の部屋に入っていくとかは、映像でしかできないと思うから

取り壊しの決まった体育館を借りて

沖:最初はウェス・アンダーソン(注*アメリカの映画監督)とか言ってちょっと笑ってたけど。

玉:いきなりフィクションの始まり方がえげつないなって思って、そんで、2話撮ってたのが、山村さんじゃないですか。

沖:どうだったんだろ、山村さんの話も聞きたいよね。

(今回、夜のコンビニに、もう一人呼び出したのが、カメラマンの山村卓也さんでした。今回の写真は彼によるものです。ちなみに、山村さんは、ドラマの#2#4の撮影もしています。実は、このドラマのミソは、監督とカメラマンを、たすきがけにしたことでした。#1、#3、#5のカメラマンが芦澤明子さんでした。要するに、毎回、監督とカメラマンのコンビを変えたのです)

沖:カメラマン、2人体制ってどうだったんですか?

玉:そういうのってあんまないけど、やれって言われたカメラマンの方は気使いますよね

山:気使いますね

沖:聞いてみたかったのは、この間、酒のみながら、玉ちゃんと見返したんですけど、これは沖田ぽい、これは玉ちゃんぽい、みたいなのがあって、そのあたりどうですか?

山:5話の雅治と西野さんが、幼稚園のお遊戯で、一緒に円の中にいるカット、芦澤さんは上手いなって思いました

刑務所という設定

玉:3話の方も芦澤さんですもんね

沖:あれは、確か、3話と5話で、同じカットのリフレインだったけど

玉:でもあれ、実は今思ったのは、5話から撮ってるんですよ 

沖:そだ!

玉:普通は、3話からやるのが正しいんだけど、沖田さんのイメージを、俺は継ぎたくて、でも沖田さんが3話を撮るわけにはいかないから、5話を、沖田さんが問題なければ先にやって欲しいって提案したんです。5話からやってもらって、それに便乗したのが俺の3話に近いっていうか。

沖:でもほんと、自分たちしかわかんない小さなことかもね

山:ありますね

沖:俺も、あの恵麻ちゃんのカメラ目線のこととかね

玉:そう。沖田さんすごいなと思ったのは、決定的に、玉ちゃんと俺で違うところが2つあった、って言われて。で、俺は正直わかったんすよ

沖:4話のメールのやり取りで、恵麻ちゃんが、ぐっと正面向くところなんだけど。改めて全話通してみたときに、あそこでグッときたの。で、これは、玉ちゃんの勝利だなと思ったの

玉:情念って言ってましたね 笑

玉澤監督の情念たち

沖:俺、恥ずかしがって、やれないから

山:そう言われるとそうですね

玉:3話でも、芦澤さんが目線のカット撮ってくれたんです、雅治と恵麻で、上と下で、引きこもってる同士、てところ

沖:最初のは効いてる気がしなかったんだよ、でも2回目にグッときたんだよ

玉:廊下のドア挟んで

沖:あれ何だったんだろうなー、もちろん、白鳥玉季ちゃんの可愛らしさもあったのかもしれないけど

玉:そこだけコンテ描いてるんすよ。あのメールのところだけ。コンテに明確に「カメラ目線」って、書いてあるんですよ。メールのやり取りはシーンバック(違う場所のカットが交互に続くこと)するから、言葉にするのも、見えずらいかなと思ってコンテにしたんですけど。それ以外は現場の雰囲気に任せて、全然、こだわってなかったんですけど。

モンスターの威力たるや。深夜の虫たちは、話がつきません

後半へ続く。

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